壁掛け対応スマートディスプレイ「Echo Show 15」を試して分かった際立つ個性山口真弘のスマートスピーカー暮らし(4/5 ページ)

» 2022年04月21日 12時00分 公開
[山口真弘ITmedia]
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動画再生の実用性は設置方法にも大きく依存

 最後に本製品の売りの1つである、動画再生機能もチェックしておこう。本製品はホーム画面上のショートカットから、Amazon Prime VideoやNetflixを再生したり、あるいはWebブラウザを表示してYouTubeなどを再生できる。1つのショートカットにまとまっているので呼び出しやすく、利便性は高い。

Echo Show 15 Amazon Prime Videoの画面。ウォッチリストは、この画面の「次に観る」に相当する
Echo Show 15 Netflixの画面。こちらは、ほぼおなじみの外観だ

 この動画鑑賞だが、実用性は微妙なところだ。本製品が壁に掛かっていたとして、動画コンテンツを見ようと思い立って本製品の前まで行き、そこで直立不動のまま長時間鑑賞するというのは、利用スタイルとしてまずあり得ないだろう。

 では離れたところから座って見ればいいかというと、こちらは画面サイズが小さすぎる。試しにベッドの足元に本製品を設置して寝転がって鑑賞してみたが、さすがに15.6型では無理があるという結論に達した。本製品はグレア加工でかなり外光を反射するため、見づらい場合に向きを変えることもできない。

 となると本製品で動画を鑑賞するのは、スタンドとして卓上に置いた状態に限られるわけだが、その場合にネックになるのは音声だ。本製品のスピーカーは壁掛けで背面に音が跳ね返る状態ではそこそこ聞けるのだが、卓上に設置した場合は音が後ろに抜けてしまい、動画鑑賞時に細かいセリフを聞き取るには少々つらい印象だ。

Echo Show 15 スピーカーは背面左右にあり、壁面で音が跳ね返ることを前提としている

 従ってスタンド利用では、Bluetoothイヤフォンやスピーカーでの音声出力の強化が望ましく、そうなってくると本製品ではなくFire タブレットFire TVでよいのでは? となりかねない。もちろん選択肢が多いに越したことはないし、また本製品はフルHDゆえ画質面でのネックは感じないが、実際に使うとなると、こうした問題点が浮き彫りになってくる。

 ただし、これはコンテンツ次第だ。例えばたき火がパチパチとはぜる様子だったり、熱帯魚が泳ぐ水槽を延々と映していたりするような、環境音楽ならぬ環境動画であれば、壁掛けで設置されている本製品で流しっぱなしにするのには、よくマッチするのではないかと思う。

 現時点でそれらのコンテンツは、Prime VideoやNetflixから自力で探さなくてはいけないのだが、あらかじめ本製品での流しっぱなしに適した動画ライブラリーが用意されていたり、前述のフォトフレーム機能がバックグラウンドでの音楽再生をサポートしていたりするだけでも、かなり違ってくるように思う。そうした可能性はあると感じた。

 ちなみに、本製品は外部ディスプレイとして利用することができない。本製品のサイズであれば、ノートPCのサブディスプレイとして使えると便利そうだが(もちろん壁掛けではなくスタンドを使ってPCの横に立てるのが前提である)、本製品は外部入力機能を持たないため、そういった使い方は不可能だ。

 実際のところ、本製品の動きを見る限りフレームレートはそれほど高くなく、またタッチ操作に対するレスポンスもそれほど俊敏ではないので、仮にそうした機能があっても実用性は低いだろう。とはいえ、こうした“できそうでできない”機能があると、ユーザーとしては何となく損をしたように思ってしまうのが自然で、もったいない印象はある。

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