先述の通り、今回テストしているCPUはいずれもアンロック対応モデルで、元々の消費電力設定が高めである。それぞれのCPUにおけるアンロックしていない場合の標準消費電力と最大消費電力は以下の通りである。
アンロックしていなくても、最小値が“3桁”である。一応、前世代のデスクトップ向けアンロック対応モデルと変わりないのだが、「本当にこれ、大丈夫なの……?」という気持ちになるかもしれない。
そこで、Windows 11を起動してから10分間放置した状態の消費電力「アイドル」、3DMarkの「Time Spy Extreme」を実行中の最大消費電力を「高負荷時」としてワットチェッカーで調べてみた。結果は以下の通りだ。
アイドル時はいずれも大差ないが、Core i9-13900Kではピーク時の消費電力が500Wを超えてしまった。Core i7-12700KやCore i5-13600Kも、ピーク時はそこそこ高い消費電力となる。Core i7-12700FとCore i5-13600Kを比較すると、定格値では最大消費電力の差はわずか1Wなのだが、実際は差がやや大きく出ている。
最近の自作PC環境では、グラフィックスカードの消費電力に注目が集まりがちだが、ハイエンド構成を目指すとなると、CPUの消費電力も強く意識する必要がある。ハイエンドなグラフィックスカードとセットでシステムを組む場合は少なくとも750W、できれば850W以上の電源を用意することをお勧めしたい。
また、消費電力が大きいということはCPUの発熱も大きめになってしまう。ピーク時の消費電力が特に大きいCore i9-13900Kを使う場合は、360mmの水冷システムを使うことを検討してみてほしい(低電力運用をする場合はその限りではないが)。
第12世代Coreプロセッサは、従来から中身を変えて原則としてハイブリッド構成としたことで注目を集めた(※2)。その評判が非常に良かったのは記憶に新しいが、第13世代Coreプロセッサではその良さに更に磨きをかけ、完成度をより高めている。シングルスレッドはもちろん、マルチスレッドの性能が向上したことは何よりも“正義”である。
(※2)デスクトップ向け第12世代Coreプロセッサでは、Core i5以下のモデルはEコアを搭載していません(Kシリーズを除く:第13世代Coreプロセッサではどうなるか、現時点では未定です)
今回発売されるラインアップの中では下位であるCore i5-13600Kのように、従来のハイエンド相当をメインストリームで実現するような性能の底上げは、より快適なPC環境が手の届きやすい価格帯で実現できるという意味でも非常に喜ばしい進化といえる。
ただし、高負荷時の消費電力が気になる他、マザーボードのユーティリティーアプリで見る限り、Core i9-12900Kは発熱が100度に達する場面もあったので、既存の電源ユニットや冷却ソリューションでは力不足を感じる可能性も否定できない。もし3〜4年前のマシンから買い替える場合には、「組み替え」というよりは「新たに1台組む」ように検討した方が、そのパフォーマンスを余すことなく体感できるだろう。
また、円安傾向もあって実売価格も上がり気味なのも気になる所だ。発売時点での実売価格を比べてみると、以下の通りとなる(内蔵GPUのないモデルはおおむね3000円引き)。
CPU自体の性能は良好なだけに、円安が恨めしい感じだ。今後の価格の推移を見守りたい。
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