Eコアとキャッシュの増量でより強く! 第13世代Coreプロセッサの実力をチェックネックは価格?(1/4 ページ)

» 2022年10月20日 22時00分 公開
[迎悟ITmedia]

 10月20日22時、Intelの最新デスクトップ向けCPU「第13世代Coreプロセッサ(開発コード名:Raptor Lake-S)」のアンロック対応モデルの販売が解禁された。

 ITmedia PC USERでは、Intelから「Core i9-13900K」(Pコア8基16スレッド/3GHz〜5.8GHz+Eコア16基16スレッド/2.2GHz〜4.3GHz)と「Core i5-13600K」(Pコア6基12スレッド/3.5GHz〜5.1GHz+Eコア8基8スレッド/2.6GHz〜3.9GHz)からなる先行レビューキットを入手したことは既報の通りである。

 この記事では、レビューキットに含まれる2つのCPUに「Core i7-13700K」(Pコア8基16スレッド/3.4GHz〜5.4GHz+Eコア8基8スレッド/2.5GHz〜4.2GHz)を加えて新世代の“実力”をベンチマークテストを通してチェックしていく。

第13世代Coreプロセッサたち 第13世代Coreプロセッサの実力やいかに……?

クロックアップ+Eコア追加+キャッシュ増量でパワーアップ!

 ベンチマークテストを始める前に、第13世代Coreプロセッサの基本的な仕様をおさらいしようと思う。

 第13世代Coreプロセッサは、「第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)」の改良版だ。プロセスルールが「Intel 7(改良された10nmプロセス)」であること、CPUコアがハイブリッド構成で、処理パフォーマンス重視の「パフォーマンスコア(Pコア)」と処理効率(電力性能)重視の「高効率コア(Eコア)」を組み合わせていることなど、基本的な特徴は第12世代Coreプロセッサから引き継いでいる。

 その上で、以下の改良を施すことで処理能力の向上を図っている。

  • Pコア/Eコア双方の最大クロックの向上
  • Eコアの基数の増加(最大16コア16スレッドに対応)
  • L2キャッシュの増量(Pコアは1基当たり2MB、Eコアは4基当たり4MB)
  • L3キャッシュ(Intel Smart Cache)の増量(最大36MB搭載)
  • より高速なメモリモジュールへの対応(定格でDDR5-5600規格に対応)

 パフォーマンス・ハイブリッド・アーキテクチャと呼ばれる処理能力重視の「パフォーマンスコア(Pコア)」と省電力性重視の「高効率コア(Eコア)」、2つの異なるコアを1パッケージにまとめている点は変わらない。

 今回のテストでも登場する最上位のCore i9-13900Kは、先代の最上位モデルである「Core i9-12900K」(Pコア8基16スレッド/3.2GHz〜5.2GHz+Eコア8基8スレッド/2.4GHz〜3.9GHz)と比べるとシングルスレッド性能は最大15%、マルチスレッド性能は最大41%向上したという。

コアの性能 シングルコア性能は最大クロックの向上によって改善した部分が大きいが、マルチコア性能の向上はEコアの増量やキャッシュの追加も大きく貢献している

 Eコアを追加したことにより、Core i9-13900Kではマルチコア(マルチスレッド)のパフォーマンス向上はめざましい。Intelの資料によると、Core i9-13900Kの消費電力を65Wに固定した場合のマルチスレッド性能は、Core i9-12900Kのフルパワー(消費電力241W)と同等だという。処理内容にもよるが、消費電力当たりの処理効率も着実に向上したといえるだろう。

 PコアとEコアにタスクを振り分ける「Intel Thread Director」やWindows 11 2022 Updateの「タスクスケジューラー」の改良も手伝って、バックグラウンドタスクの処理効率も改善されている。

消費電力 Eコアが倍増したCore i9-13900Kを65Wで稼働させると、Core i9-12900Kをフルパワー(241W)で稼働した場合と同等のマルチスレッド性能になるという。「アンロック対応の『K』付きCPUなのに消費電力を落としてどうするの?」という声もありそうだが、低消費電力で最大限の演算性能を得たいのであれば“アリ”な選択ではある
スレッド Intel Thread DirectorやWindows 11のタスクスケジューラーの改善もパフォーマンス改善に寄与している

 第13世代Coreプロセッサの発表に合わせて、Intelは新型のチップセット「Intel 700シリーズ」も投入する。現時点で発表されているハイエンド向けの「Intel Z790チップセット」は、従来の「Intel Z690チップセット」から以下の点が強化されている。

  • PCI Express 4.0レーンの増強
    • 最大12レーン→最大20レーンに
    • PCI Express 3.0レーンと合計で最大28レーンなのは変わらず
  • USB 3.2 Gen 2x2ポートの最大数を追加
    • 最大5ポート搭載可能
  • DMI 4.0バス(CPUとの通信バス)における実効通信速度の改善

 このIntel 600/700シリーズチップセットを搭載するマザーボードは、第12世代と第13世代のCoreプロセッサで共通利用できる(※1)。コストパフォーマンスを重視するなら、あえてZ690チップセットのマザーボードを使うという選択肢も用意されているのはありがたい。

(※1)第13世代Coreプロセッサと組み合わせて使う場合、事前にUEFI(BIOS)の更新が必要となることがあります


 「基本設計が第12世代から代わってないということは、処理スピードも言うほど変わっていないのでは?」と疑問に思う人もいるだろう。次のページからは、実際に第13世代Coreプロセッサのパフォーマンスをチェックしていく。

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