ここからは、第13世代Coreプロセッサの実力をベンチマークテストを通してチェックしていく。テストに利用するCPUは以下の通りだ。
今回のテストではASUS JAPANの協力を仰ぎ、Intel Z790チップセットを搭載する新型マザーボード「ROG MAXIMUS Z790 EXTREME」と、オールインワン水冷ユニット「ROG STRIX LC II 360」を組み合わせたシステムを用意した。GPUはAMDの「Radeon RX 6800 XT」を接続している。
一方、機材調達の都合から、メインメモリはDDR5-4800規格のものを利用している。そのため、テストの結果は「メモリへのアクセススピードが変わらない場合、どのくらいのパフォーマンス差が生じるのか?」という観点で確認いただけると良いだろう。
手始めに、3Dレンダリングを通してCPUの性能を確認する「CINEBENCH R23」を実行してみた。スコアは以下の通りとなった。
メインメモリが若干遅いことを差し引いても、シングルコアとマルチコア共に第13世代Coreプロセッサは良好なスコアとなった。先代の第12世代Coreプロセッサはもちろん、先に発売された「Ryzen 7000シリーズ」と比べても想像以上に良いスコアを残している。
最上位のCore i9-13900Kに着目すると、やはりEコアやCPUキャッシュを増やした効果は大きいようで、マルチコアスコアは過去のテストにおけるCore i9-12900Kと1万ポイント以上の“大差”を付けた。加えて、わずかな差ではあるものの、ライバルである「Ryzen 9 7950X」(4.5GHz〜5.7GHz、16コア32スレッド)に対しても勝利を収めている。
一方、(現時点での)エントリークラスであるCore i5-13600KでもCore i7-12700Fを上回っている。シングルコアのスコアはクロックの差、マルチコアのスコアはEコアの基数の差が効いているのだろうか。ライバルの「Ryzen 5 7600X」(4.7GHz〜5.3GHz、6コア12スレッド)と比べた場合は、シングルコアのスコアでは敗北するものの、マルチコアのスコアでは勝利している。エントリークラスでもマルチコア処理を重視するなら、Core i5-13600Kは案外良い選択肢となりそうである。
続けて、2D/3Dアニメーション製作ツール「Blender」をベースとしたベンチマークテストアプリ「Blender Benchmark」のWindows版を使って、CPUによるレンダリングパフォーマンスをチェックする。今回は「Monster」「Junkshop」「Classroom」の3つのシナリオにおいて、1分間当たりの生成サンプル(オブジェクト)数を計測している。結果は以下の通りだ。
スコア差の傾向は、CINEBENCH R23とおおむね同様だ。率直にいうと、Core i7-13700Kはおろか、Core i5-13600Kでも処理パフォーマンス的には十分すぎる。
概ね、第13世代Coreプロセッサは第12世代なら「1つ上のモデル」くらいの性能を持っている考えていいだろう。
「普段使いはどうなんだ?」という声もあると思うので、ULの総合ベンチマークテストアプリ「PCMark 10」でも一通りのテストを行った。総合スコアは以下の通りだ。
「Core i7-12700Fでも十分快適かな?」と思っていたのだが、第13世代CoreプロセッサはCore i5-13600Kの時点でCore i7-12700Fのスコアを上回っている。CPUをフルに使った演算だけでなく、普段使いのシーンでもEコアの存在(≒多さ)は思った以上に有効に働くように思える。
もちろん、「K」が付くCPUと付かないCPUでは、定格クロックに差がある。CPUキャッシュが増えたことも、性能向上に大きく貢献している。「K」の付かないデスクトップ向けCPUのラインアップは未発表なので現時点では分からないが、ひとまず第13世代かつEコアが付いているCPUを買うと幸せになれそうだということは、想像に難くない。
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