イノベーションといえば、12月にレビューしたASUS JAPANの「ASUS Zenbook 17 Fold OLED(UX9702AA)」も見逃せない。17.3型という大画面の有機ELディスプレイだけでも迫力満点だ。折りたたんで持ち運べて、ブックスタイルやノートPCスタイルで利用することも可能と、時代の最先端を感じる製品に仕上がっている。
ASUS JAPANは、クリエイターPCだけでなく、ビジネスPCにも率先してスペックの良い有機ELディスプレイを搭載し、ノートPCの画面品質向上において業界をリードしている。ディスプレイはコストダウンされやすく、安いPCを買った時にがっかりすることが多い部分でもあるだけに歓迎したい取り組みだ。
より身近なところでは、USB Type-Cの普及も強く実感した。ノートPCの新製品の多くが、画面出力とノートPCの充電にも対応したUSB Type-Cポート(または上位互換のThunderbolt 4やUSB4)を備えるようになっている。
画面出力について「DisplayPort Alternate Mode」、充電は「USB Power Delivery(USB PD)」という具体的な仕様名が公式スペックに記載されることも多くなり、認知度が上がっている。購入前の不安感も低減され、Type-Cのメリットが生かしやすくなっている。
GPUについては、円安や部材、輸送費高騰などの影響を感じた1年だった。ゲーミングPCやクリエイター向けPCの新製品では、CPUが強化される一方で、GPUは以前から1グレード下のモデルが搭載される傾向があった。10月にはNVIDIAからGeForce RTX 4090が登場して目立ったが、個人的には2022年の新製品で一番活躍したのは、下位グレードのNVIDIA GeForce RTX 3050 Ti Laptop GPUという印象だ。
もっとも、GeForce RTX 3050 Ti Laptop GPU自体はとてもバランスの良いGPUである。ゲーミングではフルHD(1920×1080ピクセル)解像度であれば、大抵のゲームタイトルはGeForce RTX 3050 Ti Laptop GPUで必要十分な画質でプレイできる。クリエイティブ用途でも、ヘビーに使うとグラフィックスメモリ容量(4GB)がネックになることもあるが、一般的には上位のGPUとの差が表面化する場面はそう多くない。将来的な余力はないまでも、ミドルクラスのゲーミング/クリエイター向けPCに搭載するには良いGPUだ。
高性能GPUの活躍が目立たなかったのは、GPUの最大手であるNVIDAのラインアップが過渡期であったこともある。2023年はGeForce RTX 40シリーズのミドルクラスやノートPC向けモデルの登場が注目される。
また、後半にはIntel Arc GPUを搭載した製品も出てきた。まだ未知数な部分も多いが、AV1のハードウェアエンコーダーをいち早く装備するなど面白い存在で、2023年も引き続き動向を注目したい。
最後に、ベンチマークテストのスコアでレビューしたPCを見ていこう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.