「SIGNATURE M550/M650/M750」はマウスの常識を変えるのか――ロジクールが提案する新スタンダードを試す(4/4 ページ)

» 2023年01月26日 17時00分 公開
[瓜生聖ITmedia]
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「こだわりマウスの入門機」から「これからのスタンダード」へ

 以前執筆したSIGNATURE M650のレビューで、最後にこう書いた。

 M650の最大の特徴は、高級機の機能/性能の踏襲とコストダウンを両立させたバランスにあるのかもしれない。こだわりマウスの入門機として最適のモデルだと言えるだろう。

 実売4000円台のミドルレンジモデルながら、ハイエンドモデルの機能を盛り込んだM650の製品仕様は、同社の豊富な製品群の中でもカニバリズムを起こすことなく、かつ、ユーザーのニーズをくみ取った野心的なものだ。ハイエンドモデルを選択するユーザーは、自身が求める機能や性能に対する対価として、その製品の価格が相応だという認識がある。

 だからこそ、マウスに対して1万円台後半という決して安くない金額を支払うわけだが、その一方で、全ての機能や性能を足し算して妥当性を評価している人ばかりではない、という実態もある。

 例えば、同社のフラッグシップモデルである「MX Master 3S」には、MagSpeed電磁気スクロールホイールを始め、Easy-Switch、Darkfieldセンサー、最大8000DPI対応、7ボタン、静音ボタン、サムスクロールなどハイエンドな機能が山盛りに搭載されている。

 価格も同社直販で1万6940円と高いものの、全てのMX Master 3Sユーザーが「MagSpeed電磁気スクロールホイールが4000円、Easy-Switchが2000円、静音ボタンが1000円、サムスクロールが……」と合計で考えるわけではない。自分に必要な機能や性能、感触、あるいはいくつかを得るための対価として全体価格を考える人の方が多いはずだ。極端に言えば「MagSpeed電磁気スクロールホイールに1万7000円出せるか」と考える。

 つまり、ハイエンドモデルの機能のうちのいくつかは、ユーザーにとって必要不可欠ではないことも少なくない。ある程度は許容されるものの、誰も必要としない機能が価格を押し上げる原因となっていればユーザーの満足度も下がる。その「盛り込む機能」をどう選定するかが価格と機能、そしてユーザー満足度を決めるポイントとなる。

 ミドルレンジモデルでは、その選定はさらに難しい。高耐久性のモデルであっても「普段使うもの、スペア用、そしてスペアが無くなった時のスペア用」とばかりに複数買いする慎重すぎる人や、新モデル発売のタイミングで買い換えたりする人もいるハイエンドモデルユーザーに比べ、ミドルレンジモデルユーザーはコストにシビアで、購入の基準は「普通のマウス」という、なかなか難しいものであることも多い。

 今回のM550/M750の発売、そしてM650のカラーバリエーション追加は、これら3シリーズを「普通のマウス」と位置づけるものだ。つまり、SIGNATURE M650が「こだわりマウスの入門機」から「これからのスタンダード」に変わったことの表れではないだろうか。サイドボタンが邪魔であれば3000円台のM550、複数台と接続するなら5000円台のM750、そうでなければ4000円台のM650――それが、これからのマウスの選び方の常識となるのかもしれない。

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