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情シスにもっと“光”を! インテルが「vPro対応ノートPC」をプッシュする理由(3/3 ページ)

» 2023年02月24日 19時30分 公開
[井上翔ITmedia]
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何よりの強みは「CPUパフォーマンス」

安生氏 パフォーマンス面の解説をするインテル 第二技術本部の安生健一朗本部長

 vProへの対応の有無を除けば、vPro Essential/Enterprise対応CPUは、非対応のCPUと何ら変わりなく利用できる。第12世代/第13世代Coreプロセッサなら、処理パフォーマンスに優れた「パフォーマンスコア(Pコア)」と、電力効率に優れた「高効率コア(Eコア)」のハイブリッド構成のメリットを享受できる。

ハイブリッド vPro対応の第12世代/第13世代Coreプロセッサは、デスクトップ向けモデルを含めて全てPコアとEコアのハイブリッド構造を取っている

 インテル 第二技術本部の安生健一朗本部長によると、昔のノートPCをそのまま使い続けると5年間で24時間の無駄な時間が発生するという。それを裏付けるべく、今回のイベントで、第12世代のCore i7-1260P(Pコア4基8スレッド+Eコア8基8スレッド)を搭載するvPro Enterprise対応ノートPCのパフォーマンステストが披露された。

 比較対象は、第7世代(開発コード名:Kaby Lake)のCore i7-7500U(2コア4スレッド)を搭載する“昔のノートPC”と、競合であるAMDのRyzen 7 PRO 6850U(8コア16スレッド)を搭載する“ライバルの最新ノートPC”の2台である。

 条件を極力そろえた上で「Microsoft PowerPoint」においてPDFファイルを書き出してみると、Core i7-1260Pを搭載するノートPCが一番早く作業を終えた

 ライバルの最新ノートPCは「全部Pコア」でパワフルに見える。Pコアだけの勝負ならCore i7-1260Pに勝ち目はないが、Eコアを含めた「物理コアの数」では有利に立つ。そのことが、ライバルに勝てた秘訣(ひけつ)なのかもしれない。

時短 昔の第7世代Coreプロセッサを搭載するPCと比べると、あらゆる作業において時短を図れることをアピールした図版。OSのサポート期限を無視してさらに5年間使うと、まる1日分の時間が“無駄”になるという
PowerPoint PowerPointでPDFファイルをエクスポートする作業では、中央のCore i7-1260P搭載モデル(ThinkPad X1 Nano Gen 2)がダントツで早く書き出しを終えていた

Ryzenは「バックグラウンド作業」と「バッテリー駆動」に弱い?

 今回のパフォーマンステストで少し興味深かったのが、バックグラウンドタスクバッテリー駆動時の挙動だ。

 先述の通り、ライバルの最新ノートPCは「全部Pコア」だ。Pコアのリソースはパフォーマンスのいる作業に優先して割り振られるため、ウィンドウを最小化するなどして「バックグラウンド」に回しても、高負荷な作業がCPUのリソースを握り続けてしまう。ゆえに新たにフォアグランドに回ったアプリのパフォーマンスは著しく低下することになる。

 一方、Core i7-1260Pを搭載するノートPCでは、バックグラウンドに回ったアプリの処理は、自動的にEコアに引き継がれ、Pコアの処理は解放される。そのため、常にフォアグランドで作業するアプリへと優先的にCPUリソースを割ける

 “思想”が絡むので、どちらの実装が良いのかは一概には言いきれない。しかし、「バックグラウンドアプリによる処理上のイライラが我慢ならない」という人は、第12世代/第13世代Coreプロセッサの方がストレスを軽減できそうである

バックグラウンド Core i7-1260P搭載ノートPCにおいて、3Dレンダリングを行っている「Blender」のウィンドウを最小化した直後の画面。PコアのCPU使用率はストンと落ちた一方で、EコアのCPU使用率は引き続き高い。フォアグランドのアプリのために、Pコアのリソースを空けた格好である
バックグラウンド 同じことをライバルの最新ノートPCでやってみると、最小化されたBlenderの処理がCPUリソースを握り続けている。これでは、新しいフォアグランドアプリのパフォーマンスに影響が出てしまう

 Intelは「Ryzenはバッテリー駆動時にパフォーマンスが大きく落ち込む」と主張してきた。それに対して、AMDは「改善した」というアピールを行っている。

 今回の比較は「第12世代Coreプロセッサ対Ryzen 6000シリーズ」と、アーキテクチャが変わっているため単純比較はできない。しかし、先に紹介したPowerPointのPDFファイル生成テストの途中でAC電源の抜き差しを行うと、Ryzenはバッテリー駆動時のパフォーマンスを明らかに抑えていることが分かった。

 テスト時はOSの標準電源設定で行っていたため、設定を変えると結果は変わる可能性がある。ただ、PCに詳しくない人にとっては、第12世代/第13世代Coreプロセッサ搭載モデルの方が“優しい”といえるかもしれない。

バッテリー駆動 Ryzen 7 PRO 6850Uを搭載するノートPCでは、AC電源の抜き差しで「CPU使用率」が有意に変動する様子が見受けられた。少なくとも標準の電源設定のまま使う場合は、バッテリー駆動時のパフォーマンスは大きめに抑制されていることになる
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