vProへの対応の有無を除けば、vPro Essential/Enterprise対応CPUは、非対応のCPUと何ら変わりなく利用できる。第12世代/第13世代Coreプロセッサなら、処理パフォーマンスに優れた「パフォーマンスコア(Pコア)」と、電力効率に優れた「高効率コア(Eコア)」のハイブリッド構成のメリットを享受できる。
インテル 第二技術本部の安生健一朗本部長によると、昔のノートPCをそのまま使い続けると5年間で24時間の無駄な時間が発生するという。それを裏付けるべく、今回のイベントで、第12世代のCore i7-1260P(Pコア4基8スレッド+Eコア8基8スレッド)を搭載するvPro Enterprise対応ノートPCのパフォーマンステストが披露された。
比較対象は、第7世代(開発コード名:Kaby Lake)のCore i7-7500U(2コア4スレッド)を搭載する“昔のノートPC”と、競合であるAMDのRyzen 7 PRO 6850U(8コア16スレッド)を搭載する“ライバルの最新ノートPC”の2台である。
条件を極力そろえた上で「Microsoft PowerPoint」においてPDFファイルを書き出してみると、Core i7-1260Pを搭載するノートPCが一番早く作業を終えた。
ライバルの最新ノートPCは「全部Pコア」でパワフルに見える。Pコアだけの勝負ならCore i7-1260Pに勝ち目はないが、Eコアを含めた「物理コアの数」では有利に立つ。そのことが、ライバルに勝てた秘訣(ひけつ)なのかもしれない。
今回のパフォーマンステストで少し興味深かったのが、バックグラウンドタスクとバッテリー駆動時の挙動だ。
先述の通り、ライバルの最新ノートPCは「全部Pコア」だ。Pコアのリソースはパフォーマンスのいる作業に優先して割り振られるため、ウィンドウを最小化するなどして「バックグラウンド」に回しても、高負荷な作業がCPUのリソースを握り続けてしまう。ゆえに新たにフォアグランドに回ったアプリのパフォーマンスは著しく低下することになる。
一方、Core i7-1260Pを搭載するノートPCでは、バックグラウンドに回ったアプリの処理は、自動的にEコアに引き継がれ、Pコアの処理は解放される。そのため、常にフォアグランドで作業するアプリへと優先的にCPUリソースを割ける。
“思想”が絡むので、どちらの実装が良いのかは一概には言いきれない。しかし、「バックグラウンドアプリによる処理上のイライラが我慢ならない」という人は、第12世代/第13世代Coreプロセッサの方がストレスを軽減できそうである
Intelは「Ryzenはバッテリー駆動時にパフォーマンスが大きく落ち込む」と主張してきた。それに対して、AMDは「改善した」というアピールを行っている。
今回の比較は「第12世代Coreプロセッサ対Ryzen 6000シリーズ」と、アーキテクチャが変わっているため単純比較はできない。しかし、先に紹介したPowerPointのPDFファイル生成テストの途中でAC電源の抜き差しを行うと、Ryzenはバッテリー駆動時のパフォーマンスを明らかに抑えていることが分かった。
テスト時はOSの標準電源設定で行っていたため、設定を変えると結果は変わる可能性がある。ただ、PCに詳しくない人にとっては、第12世代/第13世代Coreプロセッサ搭載モデルの方が“優しい”といえるかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.