AMDは4月14日11時、デスクトップPC向けCPU「Ryzen 7 7800X3D」の日本における販売を解禁する。税込みの想定販売価格は7万1800円となっている。
このCPUは、3D V-ChacheでL3キャッシュを増量した「Ryzen 7000X3Dシリーズ」の現時点におけるエントリーモデルとなる。上位モデルである「Ryzen 9 7900X3D」「Ryzen 9 7950X3D」は既に発売済みで、本誌でも先日レビューを敢行している。
想定価格ベースで比べると、Ryzen 7 7800X3Dは先行製品よりも2万4000〜4万円安い。目玉のL3キャッシュの容量こそ32MB少ない96MBとなるが、それでも通常の「Ryzen 7000シリーズ」と比べれば多い。
果たして、Ryzen 7 7800X3Dは誰に向けたCPUなのだろうか? 発売に先駆けて試した上で考えてみたい。
「Ryzen 7」は、8コア16スレッドのCPUである。Ryzen 7 7800X3Dも、この点においてご多分に漏れない。動作クロックは4.2GHz〜4.7GHzと、3D V-Cacheを備えない「Ryzen 7 7700X」の4.5GHz〜5.4GHzと比べると控え目となっている。
一方で、L3キャッシュの容量はRyzen 7 7700Xが32MBなのに対して、Ryzen 7 7800X3Dでは3倍の96MBとなっている。要するにRyzen 7 7800X3Dは「動作クロックは少し低いが、L3キャッシュは多い」という製品である。
ただ、TDP(熱設計電力)を比べると、Ryzen 7 7700Xが105Wなのに対し、Ryzen 7 7800X3Dは15W多い120Wとなっている。これは先行して登場したRyzen 9 7900X3D/7950X3Dと同じなのだが、両CPUは3D V-CacheのないモデルよりもTDPが低い(※1)。3D V-Cacheを搭載したことで、TDPに何らかの縛りが出てしまったのだろうか……?
タイトルでネタバレしているような気もするが、消費電力については後で検証してみよう。
(※1)Ryzen 9 7900X/Ryzen 9 7950XのTDPは170W
先日行ったRyzen 9 7950X3Dのレビューでも触れた通り、Ryzen 9 7950X3Dは2基のCCD(Core Complex Die:CPUとL3キャッシュを搭載したダイ)のうち、1基のみL3キャッシュを増量している。よって片方のCCDは96MB(32MB+64MB)、もう片方のCCDは32MBとキャッシュ容量に“偏り”が出ている。
両方のCCXに3D V-Cacheを適用しなかったのは「パフォーマンスとコストのバランス」を考慮した結果で、12コア24スレッド構成のRyzen 9 7900X3Dも同様の設計を取っている。
一方、8コア16スレッドということもあって、今回レビューするRyzen 7 7800X3Dは有効なCCDが1基のみ。つまり、3D V-CacheでL3キャッシュを増量したCCDのみを使うことになる。
AMDによると、多くのゲームではRyzen 9 7950X3Dと大きく変わらないパフォーマンスを発揮できるという。中にはパフォーマンスで上回ったゲームもあったようだ。
あくまで予想でしかないが、どちらのCCDを使うか判定する“オーバーヘッド”が必要ない分、Ryzen 7 7800X3Dの方が有利に動くゲームもあるのかもしれない。
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