2022年11月26日、東京都内で「国際教育博2022」というイベントが開催された。「博」と付いているので展覧会かと思われるかもしれないが、このイベントは「親は知っておきたい9つの教育トレンド」をテーマに、どちらかというとシンポジウム(講演会/座談会)をメインに据えて行われた。
同イベントには、台湾BenQの日本法人であるベンキュージャパンが出展し、同社の電子黒板の導入事例と新製品を紹介するセッションを開催した。BenQといえばコンシューマー向けのディスプレイやプロジェクターの印象の強いメーカーだが、実は教育市場における電子黒板や大型ディスプレイでも一定のシェアを確保している。
小学校や中学校では、GIGAスクール構想をきっかけに電子黒板や大型ディスプレイを導入したというケースも多い。一方で、構想以前から導入を進めていた事例も少なからずあり、リプレースの需要も一定数あるとされている。
電子黒板や大型ディスプレイを取り巻く市場環境はどのようなものか。そしてBenQの電子黒板/大型ディスプレイはどのように使われており、どのような特徴を備えているのか。イベントの模様をお伝えする。
セッションの冒頭では、ビジネス・ブレークスルー(BBT)の宇野令一郎氏(グローバル人材育成事業本部長)が登壇し、学校現場におけるICT機器の導入率や、今後の市場規模の見通しを解説した。
電子黒板/大型モニターや、児童/生徒が使う学習用端末に関して、導入/置き換えのブレイクスルーとなる出来事が2024年度に訪れる。「デジタル教科書」の本格導入だ。
デジタル教科書は、現状では原則として「補助教材」としての利用にとどまり、特別な配慮を必要とする児童/生徒のみ「主たる教材」として利用できるようになっている。それが2024年度から小学5〜6年、2025年度から中学1〜3年の「英語科」においてデジタル教科書が「主たる教材」に位置付けられる。
宇野氏は、このことが電子黒板(大型ディスプレイ)やタブレット端末はもちろん、デジタル教科書を活用した「デジタル教育」の普及に確実につながると語る。
世界の「教育デジタル化市場」の規模は、2021年時点で115億ドル(現在のレートで約1兆5248億円)とされている。これは年間30%以上で成長を続けているといい、2026年には467億ドル(同じく約6兆1920億ドル)に達すると予想されている。
日本でも、コロナ禍を通してGIGAスクール構想が加速され、学校における「教室のデジタル化」は当たり前になった。2022年度の教育用コンピューターの総台数は、前年度比142.5%の約1453万台になった。2021年度の教育用ソリューション市場の規模は約319億円だが、2026年度には約1.5倍の481億円になると予想されている。
学習用端末(PC/タブレット)の導入状況だが、全国の小中学校では配備が完了しており、高等学校でも約55.3%が導入済みである。学習用端末というとGIGAスクール構想に合わせて導入されたケースが多いが、導入の早かった自治体では2010年代に導入された端末や周辺機器を使っているケースもある。つまり2024〜2025年度は一定の機器リプレース需要が見込めるということだ。
ICTデバイスや各種ソリューションは、日進月歩の世界でもある。どう活用するかがポイントとなると宇野氏は語る。
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