ここからは、ベンチマークテストでZenBook Pro 16X OLEDの実力を確かめる。
本機は「MyASUSアプリ」からファンモードを変更することで、パフォーマンスを引き上げることもできる。“素の”実力をチェックする観点から、今回は全てデフォルトの「スタンダードモード」のままでテストを実行した。また、Windowsの電源モードもデフォルトの「最適なパフォーマンス」としている。
まず、3Dレンダリングを通してCPUパフォーマンスをチェックする「CINEBENCH R23」の結果を見てみよう。結果は以下の通りだ。
Core i9-13900Hの標準消費電力は「45W」という設定だ。ノートPC向けとはいえ、Core i9ということもあり、スコアは良好だ。これなら、クリエイティブな作業を含めて何でも快適にこなせそうである。
続けて、PCの総合ベンチマークテストアプリ「PCMark 10」の結果もチェックしてみよう。
外部GPUを搭載していることもあり、Digital Content Creationのスコアも高めだ。普段使いには十分すぎる性能を備えている。
主にゲームにおける3Dグラフィックスのパフォーマンスをチェックする「3DMark」の結果は以下の通りとなった。
GeForce RTX 4080 Laptopを搭載するノートPCとしては良好な結果といえるだろう。本機はクリエイター向けではあるが、ゲーミングでも十分な性能を発揮できそうだ。もちろん、3Dグラフィックスツールも快適に使えそうだ。
実際のゲームをベースとするベンチマークテストアプリである「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(FF14ベンチマーク)と「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(FF15ベンチマーク)も実行してみよう。
グラフィック設定は「最高品質(FF15ベンチマークは高品質)」として、「フルHD」「WQHD」「4K(FF14ベンチマークは3200×2000ピクセル)」の3種類の解像度で計測した結果は以下の通りだ。
ノートPC向け(Laptop GPU)とはいえGeForce RTX 4080を搭載していることもあって、4K解像度でもそこそこ良いスコアを記録している。機械学習ベースの超解像技術「DLSS(Deel Learning Super Sampling)」に対応していれば、WQHD/4K解像度でも重量級のタイトルを快適にプレイできそうだ。
今度はオープンソースの3Dレンダリングツールがベースの「Blender Benchmark」を使って、外部GPU(GeForce RTX 4080 Laptop)の3Dレンダリング性能をチェックしてみよう。1分当たりの生成オブジェクト数は以下の通りだ(小数第一位で四捨五入)。
Webサイトに記録されているベンチマーク結果を確認する限り、上記のスコアは全体の上位8%に入っている。モバイル向け外部GPUとしては十分過ぎるパフォーマンスだ。これなら、3Dレンダリングも十分にこなせる。
本機は、PCI Express 4.0接続の1TB SSDを備えている。今回の評価機にはSamsung Electronics製の「PM9A1」の1TBモデル(MZVL21T0HCLR-00B00)が搭載されていた。公称では、シーケンシャルの読み出しが毎秒7000MB、書き込みが毎秒5100MBというスペックだ。
「CrystalDiskMark 8.0.4」を使ってこのSSDのパフォーマンスをチェックしたところ、おおむね公称値通りだった。「公称値通りなのか」と思うかもしれないが、最近のSSDはパフォーマンスが良い分だけに発熱もしやすい。ゆえにSSD回りの放熱設計をしっかりしておかないと、熱によってパフォーマンスを発揮しきれないこともある。放熱にゆとりがあるからこそ、しっかりとポテンシャルを発揮できるのだ。
本機のバッテリー駆動時間は最長で約10.3時間とされている。これは「JEITA バッテリ動作時間測定法(Ver2.0)」に基づくメーカー測定値で、利用状況によって大きく変動する。
そこでPCMark 10のバッテリーテスト機能を使って、実利用環境に近い状況での連続稼働時間を計測してみよう。シナリオは「Modern Office」を利用し、液晶輝度を50%、音声はミュートにして残量が100%(満充電)から3%(強制休止状態)になるまでの時間は6時間30分だった。
ノートPCの場合、CPUと外部GPUのパワフルさがバッテリー駆動時間の短さにつながることも珍しくない。その点、本機は少なくとも「普段使い」の範囲では実用的な駆動時間を確保できている。「電源を確保できない出先で、腰を据えて事務作業やWebでの情報収集をする」といったシナリオなら、ACアダプターを接続しなくても、案外何とかなりそうだ。
独自のSupernova SoM Designデザインでメモリのアクセス速度を向上しつつ、よりパワフルになったZenbook Pro 16X OLED(UX7602BZ)は、クリエイターが求めるスペックを高いレベルで満たし、普段使いも快適なノートPCである。先代から引き継いだASUS DialやNumberPad 2.0搭載タッチパッドを使いこなせば、数値に表れない部分の快適さを存分に享受できる。
それだけに、気になるのが60万円に限りなく近い価格だ。機構の特殊性や性能、「Microsoft Office Home & Business 2021」が付属することを考えると“納得”はできるのだが、それでも高く感じてしまう。
とはいえ、独自の機構がもたらす快適性やOLEDの見やすさを鑑みると、クリエイターの“道具”としての価値は非常に高い。気になる人は、ぜひチェックしてみてほしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.