新しい「16インチMacBook Pro」に見るM3 Maxチップの“実力” M1 Ultraチップ搭載モデルからの乗り換えも現実に:本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)

» 2023年11月06日 23時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 Appleが、Mac向けApple Siliconの最新版「Apple M3チップファミリー」において、無印チップ/Proチップ/Maxチップの3種類を一気にそろえたことと、新型14インチMacBook ProにエントリークラスのM3チップモデルが用意されたことは、既報の通りだ。

 M3チップは、Thunderbolt/USB4の端子数や接続可能な外部ディスプレイの数に制約がある。ゆえに「え、Proで無印チップなの?」と思った人もいるかもしれないが、CPUコアのパフォーマンスはM1 Pro/M2 Proチップ並みだし、動画のエンコードもこなせる「Media Engine」も備えることを考えれば、Proモデルに搭載する価値はあると考える。

 一方で、M3 ProチップはCPUコアの構成が見直され、先代までの「P(高性能)コア8基(6基)+E(高効率)コア4基」というパフォーマンス重視の構成から、「Pコア6基(5基)+Eコア6基」の省電力寄りの構成に見直された。GPUコアの基数も、M3 Maxチップの上位構成と比べると半分未満で、ProチップとMaxチップの差が開いた(≒Proチップが無印チップに近くなった)。これはユーザーの利用状況やアプリの利用状況に応じて調整した結果だそうだ。

 そしてM3 Maxチップは、CPUコアを「Pコア12基(10基)+Eコア4基」という構成とし、“パフォーマンス重視”をより鮮明に打ち出している。新設計のGPUコアも、最大で40基備えている。これにより、「M1 Maxチップ」比で最大50%の高速化と、最大128GBのユニファイドメモリ搭載を実現したが、プロセスルールの微細化(5nm→3nm)もあってか、M1 Max/M2 Maxチップよりも発熱は抑えられているそうだ(※1)。

(※1)これにより、M3 Maxチップ搭載の14インチMacBook ProでもGPUパフォーマンスで「最高」を選べるようになった(先代のM2 Maxチップ搭載構成では16インチのみ対応)

 短時間ではあるが、筆者はM3 Maxチップ(16コアCPU+40コアGPU)を備える新型「16インチMacBook Pro」を試す機会を得た。評価機は128GBメモリと8TBストレージ(SSD)を備える正真正銘の“最上位”構成で、Apple Storeでの販売価格(税込み)は105万6800円となる。このパワフルさが何をもたらすのか、紹介しよう。

16インチMacBook Pro 今回レビューした、16インチMacBook Proの最上位構成(スペースブラック)。Apple Store価格で105万6800円と“3桁万円”に突入している

レイトレーシング処理で本領を発揮する新GPUコア

 M3 Maxチップを求めるユーザーがどれだけゲームを楽しむのかは分からないが、まずは新型GPUコアの実力を見るべく、Unreal Engine 5(UE5)を使って作られた最新ゲーム「偽りのP(Lies of P)」(NEOWIZ)をテストしてみよう。

 UE5は、AppleのグラフィックスAPI「Metal」に最適化されている。そのため、UE5を使って開発されたmacOS/iOS/iPadOS向けのゲームであれば、M3チップファミリーの新型GPUコアによる「レイトレーシング」「メッシュシェーダー」のアクセラレーション機能を間接的に利用可能だ。

 今回の評価機では、偽りのPを以下の設定でプレイしてみた。

  • 描画解像度:2000×1350ピクセル
  • Metal FX Upscaling(超解像処理):高品位
  • グラフィックス品質:最高

 macOSの「ターミナル」で、「defaults write -g MetalForceHudEnabled -bool yes」というコマンドを打ち込むと、Metalの動作状況を表示させつつゲーム(Metalを使うアプリ)を実行できる。この機能でフレームレートを確認したところ、少なくとも60fpsはキープできた。垂直同期させない設定にしてみると、およそ90fpsで安定する。

 ちなみに先代のM2 Maxチップ構成(38コアGPU/96GBメモリ)で同じようにプレイすると、平均フレームレートは60fpsを切り、45〜50fpsで安定する。メモリの容量はどちらも128GBと潤沢なので、GPUに搭載されたレイトレーシングとメッシュシェーダーのアクセラレーターの有無がフレームレートの差として現れたのだろう。

 UE5は、最近はゲーム以外のアプリでも使われることが増えている。UE5ベースのアプリなら、この性能を別の場面で生かすこともできるだろう。なにしろ、一般的なゲーミングノートPCよりもはるかに薄く、軽く、そして小さなACアダプター(※2)で動作することは驚きだ。

(※2)一般的なゲーミングノートPCはACアダプターが150W超であることも珍しくないが、M3 Proチップ(CPUコア12基)/M3 Maxチップ搭載モデルでも96W出力だ

回しまくり 今回の評価機では、偽りのPを最高画質設定にしても60fps以上で安定してプレイできた/(C)NEOWIZ. All Rights Reserved.

 続けて、GPUのレンダリング性能と演算性能をチェックしていく。

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