「GeForce RTX 4070 SUPER」は実売9.6万円程度から買える“ちょうどいいGPU”だった ゲーマーやクリエイターにこそお勧め先行レビュー(3/3 ページ)

» 2024年01月16日 23時00分 公開
[迎悟ITmedia]
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重量級のゲームタイトルで超解像技術の効果を確認!

 ここまでのテストを見る限り、GeForce RTX 4070 SUPERにはあまり苦手なシーンはないように思える。

 そこで、システムへの負荷がより大きくのしかかる重量級のゲームタイトルにおける描画パフォーマンスをチェックしてみよう。

 今回は「Cyberpunk 2077」と「Microsoft Flight Simulator」の2つのタイトルを用意した。いずれもNVIDIAの超解像技術「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」に対応しており、GeForce RTX 40シリーズ以降ではフレーム補間も適用できる。フレームレートを重視するユーザーは、どのくらいの効果があるのかチェックしたいはずだ。

 そこで、今後のゲーミングPCにおけるアップグレードとして考えられることの多い「WQHD」「4K」の2つ解像度で、DLSSのオン/オフ時の平均フレームレートを確認してみよう。

 Cyberpunk 2077については、画質プリセット「ウルトラ」におけるDLSS無効時(4Kネイティブ)とDLSS有効時(Performance Mode/ウルトラライティング)の双方で平均フレームレートを計測している。一方、Microsoft Flight Simulatorでは、ディスカバリーフライトの「モナコ」をAI操縦とした上で、「CapFrameX」で2分間の平均フレームレートを計測した。結果は以下の通りだ。

  • Cyberpunk 2077
    • WQHD/DLSSオフ:43.26fps
    • WQHD/DLSSオン:130.29fps
    • 4K/DLSSオフ:20.78fps
    • 4K/DLSSオン:81.51fps
  • Microsoft Flight Simulator
    • WQHD/DLSSオフ:63.7fps
    • WQHD/DLSSオン:139fps
    • 4K/DLSSオフ:52.8fps
    • 4K/DLSSオン:128.3fps

 結果は見ての通りで、DLSSの効果は絶大だ。これまでのGeForce RTX 40シリーズでも、DLSSの効果はてきめんで、ミドルレンジ以上のGPUであれば重量級のゲームタイトルであっても60fps以上で安定してプレイできることは分かっている。

 その上でGeForce RTX 4070 SUPERをチェックしていくと、Cyberpunk 2077の4K解像度厳しいものの、それ以外はDLSSを無効にしたネイティブ解像度での描画でも、そこそこのフレームレートを確保できる

 そのままでもそこそこ遊べるけれど、厳しそうならDLSSを有効にすればストレスフリーでプレイできる――そんな感じだ。

Cyberpunk 2077 Cyberpunk 2077(Ultra設定)の平均フレームレート
Microsoft Flight Simulator Microsoft Flight Simulatorの平均フレームレート

クリエイター向けアプリは快適?

 最近のGPUに求められるのはゲームの性能だけではない。クリエイター向けのアプリケーションを快適に動作させるのにも、高性能なGPUは求められている。

 簡単ではあるが、クリエイター向けアプリケーションでのパフォーマンスのチェック幾つか行ってみよう。

Blender Benchmark

 まず、2D/3Dアニメーション製作ツール「Blender」をベースとしたベンチマークテストアプリ「Blender Benchmark」のWindows版を用いて、パフォーマンスの比較を行った。今回は「Monster」「Junkshop」「Classroom」の3つのシナリオにおいて、1分間当たりの生成サンプル(オブジェクト)数を計測した。結果は以下の通りだ。

  • Monster
    • GeForce RTX 4070 SUPER:3217.217964個
    • GeFroce RTX 4070:3076.904531個
    • GeForce RTX 4070 Ti:3697.841085個
  • Junkshop
    • GeForce RTX 4070 SUPER:1523.221452個
    • GeFroce RTX 4070:1496.971164個
    • GeForce RTX 4070 Ti:1693.661584個
  • Classroom
    • GeForce RTX 4070 SUPER:1625.986902個
    • GeFroce RTX 4070:1511.919688個
    • GeForce RTX 4070 Ti:1863.355900個

 傾向は、今までのテスト結果と同様だ。ただし、GeForce RTX 4070との差は小幅で、大きくても5%程度で収まる。

 さすがに「GeForce RTX 4070から買い換えよう」というのは難しいだろうが、これから「GeForce RTX 30シリーズ以前のGPUからの買い替える!」というのであれば、価格と予算次第だが基本的にはGeForce RTX 4070ではなくGeForce RTX 4070 SUPERを選んだ方がいい

Blender Benchmark Blender Benchmarkの結果

Adobe Premiere Pro(4K動画書き出し)

 続けて「Adobe Premierer Pro」を使って、4K動画のエンコードに要する時間を比較してみよう。今回は「GoPro HERO 10」で撮影した数本の4K動画を30分ほどにまとめて書き出すのに要した時間をまとめた。結果は以下の通りである。

  • GeForce RTX 4070 SUPER:7分41秒
  • GeForce RTX 4070:7分47秒
  • GeForce RTX 4070 Ti:7分40秒

 内蔵エンコーダーは同一なので、三者共に所要時間に大差はない……のだが、GeForce RTX 4070と比べると他二者は明らかに高速である。より尺の長い動画を書き出したり、書き出し回数が多くなったりする場合は、このわずかな差が大きく効いてきそうだ。

 動画編集を快適にするための投資としてGPUの買い替えを行うのであれば、長い目で見るとGeForce RTX 4070ではなく、GeForce RTX 4070 SUPERを選んだ方がよいだろう。

動画の書き出し Adobe Premiere Pro(4K動画書き出し)の速度

新たな“普通”を作るGPU 古いGPUの置き換えにもお勧め

 2022年秋に「GeForce RTX 4090」が登場してから1年以上が経過した。2023年にはGeForce RTX 40シリーズの下位〜中位モデルも出そろったことで、「どのモデルが自分の用途にピッタリか」が見極めやすくなったと思う。

 このタイミングで「1440p解像度をターゲットにしたやつを買おう」と考えていた人にとって、GeForce RTX 4070 SUPERは「待ったかいがある!」と感じられるだけの順当なパフォーマンス向上を感じられる内容となっている。消費電力も、今回のテスト機ではアイドル時に「85W」、3DMarkの「Time Spy Extreme」実行時のピーク値でも「315W」と、特にピーク時は想像よりも控え目だった。

 3年ほど前、自作PC市場ではマイニング需要などもあり、GPUが枯渇して欲しくても買えない時期が長く続いた。それもあり、先代モデル(GeForce RTX 30シリーズ)末期に購入した人や、そもそも買い時を逃してしまって、さらに以前のGPUを継続して利用している人もそれなりにいるはずだ。

 そうした人にとって、ゲームもクリエイター向けアプリもそつなく快適なGeForce RTX 4070 SUPERは、ちょうどよい買い換え先になるだろう。

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