AMDが2023年10月19日(米国太平洋夏時間)、Zen 4アーキテクチャベースのハイエンドデスクトップ/ワークステーション向けCPU「Ryzen Threadripper PRO 7000WXシリーズ」「Ryzen Threadripper 7000Xシリーズ」(開発コード名:Storm Peak)を発表し、同年11月21日から一部モデルを除いてCPU単体パッケージの販売を開始した。
先代の「Ryzen Threadripper PRO 5000WXシリーズ」と比べると、最大96コア192スレッド構成と多コア多スレッド化がさらに進み、より高速なDDR5メモリ(RDIMM)やPCI Express 5.0バスのサポートなど、大幅なパフォーマンス向上が図られている。また、企業向けセキュリティー/管理機能「AMD PRO」対応を省いた、エンスージアスト(求道者)向けモデルが数年ぶりに登場したことも注目を集めている。
今回は、久々に注目を集めている“PROなし”の「Ryzen Threadripper 7970X」と「Ryzen Threadripper 7980X」の実力をチェックしていく。
冒頭でも触れた通り、Zen 4アーキテクチャベースのハイエンドデスクトップ/ワークステーション向けCPUにはRyzen Threadripper 7000XシリーズとRyzen Threadripper PRO 7000WXシリーズの2種類がある。両者はAMD PRO対応の有無以外にも、以下の違いがある。
(※1)AMD TRX50チップセットを搭載するマザーボードと組み合わせる場合は、7000Xシリーズと同等スペックに制限される
エンスージアストでも“究極”を求めるなら、Ryzen Threadripper PRO 7000WXシリーズを選ぶべきなのかもしれないが、CPU自体が超高価で100万円を超えるモデルもある上、その性能を引き出せるAMD WRX90チップセット搭載のマザーボードは少なくとも約18万円する。個人が手を出すには、かなり厳しいかもしれない。
一方で、今回紹介するPROなしのRyzen Threadripper 7000Xシリーズは、最上位であるRyzen Threadripper 7980X(64コア128スレッド/3.2GHz〜5.1GHz)でも実売価格は90万円前後で、販路によっては88万円程度で買える。ワンランク下のRyzen Threadripper 7970X(32コア64スレッド/4GHz〜5.3GHz)なら45万円前後だ。対応するAMD TRX50チップセットを搭載するマザーボードは、安価なものなら12万円程度から用意されている。これなら、個人でも「何とか買えるかも……!」というレベルとなる。
ただし、PROなしのRyzen Threadripper 7000Xシリーズも含めて、対応するメモリモジュールはDDR5規格のRDIMM(Registered DIMM)のみとなる。RDIMMはサーバを始めとするミッションクリティカルな用途で使われるモジュールで、一般的なDIMMよりも値が張る。価格面でこなれてきたDDR5規格のDIMMを利用できないことは心に留めておきたい。
次のページでは、レビューで利用する機材の中でも、特に面白かったマザーボードについて詳しく紹介する。
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