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エンスージアスト向けCPU「Ryzen Threadripper 7970X/7980X」を試す 2世代前の製品から乗り換えたくなる性能(1/3 ページ)

» 2024年01月17日 17時30分 公開
[迎悟ITmedia]

 AMDが2023年10月19日(米国太平洋夏時間)、Zen 4アーキテクチャベースのハイエンドデスクトップ/ワークステーション向けCPU「Ryzen Threadripper PRO 7000WXシリーズ」「Ryzen Threadripper 7000Xシリーズ」(開発コード名:Storm Peak)を発表し、同年11月21日から一部モデルを除いてCPU単体パッケージの販売を開始した。

 先代の「Ryzen Threadripper PRO 5000WXシリーズ」と比べると、最大96コア192スレッド構成と多コア多スレッド化がさらに進み、より高速なDDR5メモリ(RDIMM)やPCI Express 5.0バスのサポートなど、大幅なパフォーマンス向上が図られている。また、企業向けセキュリティー/管理機能「AMD PRO」対応を省いた、エンスージアスト(求道者)向けモデルが数年ぶりに登場したことも注目を集めている。

 今回は、久々に注目を集めている“PROなし”の「Ryzen Threadripper 7970X」と「Ryzen Threadripper 7980X」の実力をチェックしていく。

Ryzen Threadripper 7000X Ryzen Threadripper 7000Xシリーズのパッケージ。「AMD Threadripper」と、ロゴからはRyzenの表記が省かれているが、製品名はしっかりと「AMD Ryzen Threadripper」である
パッケージの背面からはCPU本体のヒートスプレッダーが見える。こちらのロゴも「AMD Threadripper」となっている

Ryzen Threadripper 7000Xシリーズの概要

 冒頭でも触れた通り、Zen 4アーキテクチャベースのハイエンドデスクトップ/ワークステーション向けCPUにはRyzen Threadripper 7000XシリーズとRyzen Threadripper PRO 7000WXシリーズの2種類がある。両者はAMD PRO対応の有無以外にも、以下の違いがある。

  • CPUのコア/スレッドの数
    • 7000Xシリーズは最大64コア128スレッド
    • PRO 7000WXシリーズは最大96コア256スレッド
  • 対応するメインメモリのチャンネル数と容量
    • 7000Xシリーズは最大4チャンネル/2TBまで
    • PRO 7000WXシリーズは最大8チャンネル/4TBまで(※1)
  • CPU直結のPCI Express 5.0バスのレーン数
    • 7000Xシリーズは最大48レーン
    • PRO 7000WXシリーズは最大128レーン(※1)
  • CPU直結のSerial ATA 3.0バスのポート数
    • 7000Xシリーズは最大2ポート
    • PRO 7000WXシリーズは最大4ポート

(※1)AMD TRX50チップセットを搭載するマザーボードと組み合わせる場合は、7000Xシリーズと同等スペックに制限される

 エンスージアストでも“究極”を求めるなら、Ryzen Threadripper PRO 7000WXシリーズを選ぶべきなのかもしれないが、CPU自体が超高価で100万円を超えるモデルもある上、その性能を引き出せるAMD WRX90チップセット搭載のマザーボードは少なくとも約18万円する。個人が手を出すには、かなり厳しいかもしれない。

 一方で、今回紹介するPROなしのRyzen Threadripper 7000Xシリーズは、最上位であるRyzen Threadripper 7980X(64コア128スレッド/3.2GHz〜5.1GHz)でも実売価格は90万円前後で、販路によっては88万円程度で買える。ワンランク下のRyzen Threadripper 7970X(32コア64スレッド/4GHz〜5.3GHz)なら45万円前後だ。対応するAMD TRX50チップセットを搭載するマザーボードは、安価なものなら12万円程度から用意されている。これなら、個人でも「何とか買えるかも……!」というレベルとなる。

 ただし、PROなしのRyzen Threadripper 7000Xシリーズも含めて、対応するメモリモジュールはDDR5規格のRDIMM(Registered DIMM)のみとなる。RDIMMはサーバを始めとするミッションクリティカルな用途で使われるモジュールで、一般的なDIMMよりも値が張る。価格面でこなれてきたDDR5規格のDIMMを利用できないことは心に留めておきたい。

マザーボードの違い Ryzen Threadripper 7000Xシリーズでは、AMD TRX50チップセットを搭載するマザーボードを利用できる

 次のページでは、レビューで利用する機材の中でも、特に面白かったマザーボードについて詳しく紹介する。

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