「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」は実に頼もしいアップグレードがなされたモデルだ 別の部分で悩ましい課題も(1/3 ページ)

» 2024年01月23日 23時00分 公開
[迎悟ITmedia]

 NVIDIAが1月9日(米国太平洋時間)に発表した新型GPU「GeForce RTX 40 SUPERシリーズ」を搭載するグラフィックスカードの販売が、1月17日から順次始まっている。

 その第2弾として「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」を搭載するグラフィックスカードが1月24日に発売される。日本における想定販売価格は12万7380円から(税込み)となっている。

 先日、本GPUの1ランク下の新製品「GeForce RTX 4070 SUPER」が発売されたが、想定販売価格ベースでは3万1900円の価格差がある(※1)。この価格差に見合うだけの性能差はあるのだろうか。

 今回、NVIDIAからPalit Microsystems製のグラフィックスカード「GeForce RTX 4070 Ti SUPER JetStream OC」を借用できたので、その実力を検証していく。

(※1)2024年1月23日時点でNVIDIAがWebサイトで掲載している想定販売価格同士で比較

GeForce RTX 4070 Ti SUPER JetStream OC 今回レビューするPalit Microsystems製のGeForce RTX 4070 Ti SUPER JetStream OCは、3連ファンを備えるグラフィックスカードだ。なお、GeForce RTX 4070 Ti SUPERにはNVIDIAの自社設計の「Founders Edition」は用意されない

GeForce RTX 4070 Ti SUPERのスペックをチェック!

 まずは、GeForce RTX 4070 Ti SUPERのスペックをチェックしていこう。

 製品名の通り、GeForce RTX 4070 Ti SUPERは2023年に登場したGPU「GeForce RTX 4070 Ti」の後継モデルだ。ゲーミングにおけるターゲット解像度は2160p(WQHD/2560×1440ピクセル)とGeForce RTX 4070(SUPER)と同様だが、より高いリフレッシュレートで遊べるスペックを備えている。主な仕様は以下の通りだ。

  • GPUコア:Ada Lovelaceアーキテクチャ
  • SM(Streaming Multiprocessor):66基
  • CUDAコア:8448基
  • Tensorコア(第4世代):264基
  • RTコア(第3世代):66基
  • L2キャッシュ:48MB
  • グラフィックスメモリ:16GB(GDDR6X/256bit)
  • メモリ帯域幅:毎秒672GB
  • 稼働クロック:2340MHz(基本)〜2610MHz(ブースト)
  • 動画エンコーダー(NVENC):第8世代×1
  • 接続インタフェース:PCI Express 5.0 x16
  • 消費電力:最大285W(平均226W、推奨電源容量は700W)

 GeForce RTX 4070 Tiと比べると、グラフィックスメモリが12GB(192bitバス)から16GB(256bitバス)に増強されたことが分かりやすい変更点だ。もちろん、CUDAコアやTensorコアといった各種コアも増えている。よって、ゲームに限らずさまざまなシーンでの処理能力の向上に期待できる。

 自作PCユーザー目線でうれしいのが消費電力のスペックだ。GeForce RTX 4070 Tiから性能向上が図られているにも関わらず、消費電力は最大285Wに据え置かれている。推奨の電源容量も750W以上と変わらないため、電源の入手性は高く、価格もそれほど高くない。「現在使っているゲーミングPCで、グラフィックスカードだけを交換してパワーアップする」という用途にもピッタリだ。

スペック表 1世代前(GeForce RTX 3070 Ti)と2世代前(GeForce RTX 2070 SUPER)とのスペック比較。GeForce RTX 3070 Tiと比べると理論性能は向上しているにも関わらず、TGP(消費電力)は5Wほど削減できている
すごいアップグレード 3世代のGPUで平均フレームレートを比較したグラフ。いずれも最高画質設定で、RTやフレーム補間を有効にできるタイトルでは有効化した状態だが、1世代前との差は思った以上に大きい(NVIDIA提供の資料より)

レビューするグラフィックスカードをチェック!

 先述の通り、今回はPalit製のグラフィックスカード「GeForce RTX 4070 Ti SUPER JetStream OC」を使って各種テストを実施する。日本ではPalit製のグラフィックスカードはドスパラ(サードウェーブ)が事実上独占して販売しており、恐らく本製品もそうなるものと思われる。

 GeForce RTX 4070 Tiを搭載するグラフィックスカードは、メーカーによってサイズ感はまちまちだが、本製品は全長が約328.9mmと少し長めで、厚さも約3.1スロット分ある。そのため、以下のような環境に組み込む場合は事前に組み込むパーツをチェックした方が良い。

  • Mini-ITXなど小型ケースに組み込む場合
  • ケース前方に多くのストレージを搭載している場合
  • 大型の水冷ラジエーターを搭載するケースに組み込む場合
3連ファン 現時点における他メーカー製のカードと同様、GeForce RTX 4070 Ti SUPER JetStream OCも3連ファンを搭載している
3.1スロット厚 カードの厚みは3.1スロット分ある。環境によっては組み込めない可能性もあるので、事前にチェックしておくことをお勧めする
背面 サイズが大きく重量もあることから、グラフィックスカードを固定するためのステー装着用ネジ穴も用意されている
側面 側面からはヒートシンクも見える

 GPUの補助電源ピンは、他のGeForce RTX 40シリーズ搭載グラフィックスカードと同じく「12VHPWR規格」を採用している。旧来のGPU補助電源を利用する場合は「8ピン×2」相当の電力が必要で、本カードには8ピン×2の変換ケーブルも付属する。

電源ピン 補助電源ピンは12VHPWR規格のものを備える
電源ピン 旧来のGPU補助電源ピン(8ピン×2)への変換ケーブルも付属する
バックプレート バックプレートも装備している

 次のページでは、本カードを使ってGeForce RTX 4070 Ti SUPERの実力をチェックしていく。

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