島根富士通はこのほど、2024年度第3四半期(2024年10〜12月)にもPCの累計生産台数が5000万台に到達する予定であることを明らかにした。それに合わせて、非売品の特別モデルを製作する計画も公表した。
同社では、2019年5月にPCの累計生産が4000万台に到達した際にも、世界最軽量ノートPC「LIFEBOOK UH-X/C3」をベースに、島根県のふるさと伝統工芸品に指定されている「八雲塗(やくもぬり)」を天板に施した特別モデルを製作した経緯がある。
2024年4月以降に、同社内に特別モデルを製作するためのワーキンググループを立ち上げ、新たな特別モデルの具体的な検討を開始することになる。
今回、筆者はそんな同社を訪れ、地域貢献への取り組みを取材すると共に、現時点で分かっている「5000万台記念モデル」の概要も聞いた。
島根富士通は、富士通ブランドでPC事業を行う富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の100%出資子会社だ。
同社は1989年12月に島根県斐川町(現・出雲市)で誕生し、1990年10月から富士通初の“PC専門工場”として操業を開始した。初めに生産していたのは「FMRシリーズ」「FM TOWNSシリーズ」といったデスクトップPCだった。
1995年以降はノートPCの生産に特化していたが、2011年からタブレットPCの生産も開始。2021年にはデスクトップPCの生産を再開した。現在、国内における富士通ブランドのPC生産は、島根富士通に一本化されている。
累計生産台数の歴史を振り返ると、1994年8月に50万台に到達して以降、1995年8月には100万台、1997年8月には200万台、1998年11月には300万台、2000年7月には500万台をそれぞれ達成している。その後も2003年6月には累計1000万台、2008年2月には2000万台、2013年5月には3000万台を達成し、2019年5月に4000万台に到達した。
仮に2024年度第3四半期に5000万台に到達できれば、4年半をかけて1000万台を上乗せした格好となる。
島根富士通では、累計生産台数において“節目”となった製品を、同社ショールーム内に展示している。展示している製品は、その時々のフラッグシップモデルに、金色を施してみたり、富士通のブランドカラーである赤色を採用したりと、特別仕様となっている。
例えば2008年2月の「2000万台記念モデル」は、ビジネスモバイルノートPC「FMV-BIBLO LOOX R70Y」をベースに、天板にイタリアンレッドを採用すると共に、限定品を示す「LIMITED EDITION」を刻印した。本モデルは直販サイト「富士通 WEB MART」を通して222台限定で一般販売も行われた。222台は、「フジツー」の語呂合わせとなっている。
記念モデルの中でも、特にこだわりを持って製作されたのが「4000万号機」だ。
先に触れたように、本機はLIFEBOOK UH-X/C3をベースとして天板に八雲塗を施している。デザインは「日本の夕日百選」に登録されている地元の宍道(しんじ)湖の夕日をモチーフとしている。
八雲塗は、明治初期に中国の漆器をヒントに創案され、出雲の古歌「八雲立つ」から命名された。島根県ならではの伝統技法の1つだ。塗り重ねられた透漆(すきうるし)は、年月を経るごとに透明度を増し、文様が色鮮やかに浮かび上がるのが特徴だという。この天板塗装は、松江市の老舗に依頼したそうだ。
このモデルは“1台”限定で、、現在も島根富士通のショールームに展示されている。関係者は「天板の八雲塗の色合いが、どう変化していくのかを、長年に渡って注視している」ところだ。
では、間もなく登場するであろう「5000万台記念モデル」はどのようになるのだろうか。
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