ということで、テストの締めとしてCore Ultra 200Sプロセッサの消費電力を確認しよう。
繰り返しだが、Core Ultra(シリーズ2)では、どのCPU/SoCもワッパにかなり重点を置いた設計を取っている。今回試しているCore Ultra 200Sプロセッサのアンロック対応版も、その点でご多分に漏れない。Intelによると、先代と同等のパフォーマンスでは消費電力を最大40%削減できるという。
果たして、それは本当なのだろうか。ワットチェッカーを使って、消費電力を測ってみよう。今回はWindows 11を起動して10分放置した状態を「アイドル時」、3DMarkのTime Spy Extremeを実行している際のピーク時の消費電力を「高負荷時」として計測した。結果は以下の通りだ。
まず、アイドル時でも消費電力を3割弱削減できている。Core Ultra 9 285Kについては、高負荷時の消費電力も3割以上減っている。あまりに差があるので、ワットチェッカーの不具合かと思ったが、何度測っても結果は変わらなかった。消費電力は本当に減っている。
Time Spy Extremeの総合スコアを比べると、Core Ultra 9 285KはCore i9-14900K比で3%減にとどまっている。「ほぼ同じパフォーマンスで消費電力を確実に減らせる」となれば、Core Ultra 200Sプロセッサのワッパの良さはかなり光るのではないだろうか。
新世代のCPUとなると、どうしても「前世代を圧倒するパフォーマンス」を期待してしまう。その観点でいうと、Core Ultra 200Sプロセッサのアンロック対応版には驚きが少ない。
しかし、ワットチェッカーで消費電力を測ってみると、性能はそれほど変わらないのに消費電力が大きく低下している。これは「自作PCパーツ」としてはかなり喜ばしい。
昨今のハイエンドクラスのCPUやGPUは、とにかく“大食らい”な傾向にある。ゆえに特に電源の容量を大きめに取らないと足りなくなることもありがちだったが、Core Ultra 200Sプロセッサを使えば、少なくともCPUの消費電力は確実に削減できるので、それだけでもPCパーツの組み合わせの幅を広げられる。
消費電力が低いということは、CPU自体の発熱も抑えられるということでもある。クーラーやラジエーターのサイズを一回り小さくしやすいので、「小容量のPCケースにハイエンドCPUを収める」という夢も実現しやすい。
性能のためには、大型の冷却パーツや大容量の電源ユニットを積まなければいけない――Core Ultra 200Sプロセッサは、そんな昨今の風潮に“待った”をかけるCPUだ。
「大艦巨砲主義」に近い昨今のハイエンドPCに思う所がある人は、まずCore Ultra 200Sプロセッサのアンロック対応版をチェックしてみてもいいだろう。
(機材協力:インテル株式会社/ASUS JAPAN株式会社)
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