ここからはベンチマークソフトを利用し、実際にTUF Gaming A14のパフォーマンスをチェックしていく。テストに際してはACアダプターを接続した状態で、Windowsの設定から電源プランを「最適なパフォーマンス」を選択した。
また、比較用として先日レビューをお送りした「HP OMEN Transcend 14」と、筆者が現在使用しているモバイルノートPC「FMV LIFEBOOK UH(2023年モデル)」で、同一の設定にてテストを行った結果も併記する。
3Dレンダリングを通してCPUの性能を確認する「CINEBENCH R23」を実行してみた。スコアは以下の通りだ。
TUF Gaming A14に搭載されるRyzen AI 9 HX 370の記録したスコアだが、シングルコアのスコアはデスクトップ向けの現行CPUと遜色ない。
さすがにマルチコアともなると発熱や消費電力との兼ね合いで少し動作クロックもおとなしめになるからか、デスクトップ向けで同等のシングルコア性能を誇るCPUと比べた際に、コア数の割にはスコアが伸び悩んだ。しかし、ゲームで12コアをフルに使う場面もなかなかないため、TUF Gaming A14のCPU性能は「デスクトップ並」と言い切っていいだろう。
続けて、PCの総合ベンチマークテストアプリを試していく。まずは定番の「PCMark 10」の総合スコアだ。
PCMark 10のテスト内容はブラウジングやオフィススイートでのドキュメント作成や表計算、ビデオ会議や画像編集など、一般的なPC操作全般でのパフォーマンステストだ。
同時に複数のアプリケーションを実行するようなシチュエーションもあるため、CPUコア数の多さや動作クロックの高さが、比較対象のPCを上回った理由だろう。
3Dグラフィックスベンチマークにおける定番アプリ「3DMark」で主要なテストを実行してみよう。
今回はDirectX 12をテストする「Time Spy」シリーズと、DirectX 11をテストする「Fire Strike」を実行し、パフォーマンスのチェックを行った。結果は以下の通りだ。
ここからは搭載されているGPU性能がモノを言うテストになっているのだが、比較対象のOMEN Transcend 14に搭載されているGPUは「NVIDIA GeForce RTX 4070 Laptop GPU」で、TUF Gaming A14のGeForce RTX 4060 Laptop GPUよりも上のモデルだ。本来ならば、ここでTUF Gaming A14がスコアで負けると予想していた。
しかし、見ての通り、TUF Gaming A14がOMEN Transcend 14を3割程度上回る結果を出している。
これは最大グラフィックスパワーの違いによるものだ。Laptop GPUはメーカーが任意に最大出力を設定できる。OMEN Transcend 14は上位GPUを搭載しているが、最大グラフィックスパワーが65Wに抑えられている。これは発熱やバッテリー駆動時間などを考慮して設定されたものだろう。
一方で、TUF Gaming A14は100Wに設定されており、GPUが持つ本来のパワーを発揮できるようになっている。これを実現できているのは、外観チェックの際に紹介した通り、TUF Gaming A14の優秀な排熱機構のおかげではないかと考えている。GPUのパワーを引き出すためには、特にゲーミングノートPCではトータルの設計が重要というわけだ。
よってLaptop GPUを搭載しているPCを検討する際は、単純にGPUのモデル名だけを比較するのではなく、最大グラフィックスパワーにも注目することを忘れないようにしたい。
では実際のゲームではどうか。次に試したのは「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」のベンチマークだ。
前者は今でこそ軽いゲームだが、MMORPGの定番ソフトでもあり、ゲーミングPCで何かしらのMMORPGを遊びたいとなれば、テスト結果としては分かりやすい指標になる。
後者は同じファイナルファンタジーでも、スタンドアロンでプレイする従来のRPGゲームだ。発売から年数は経過しているが、今でも国産タイトルとしては重たいゲームに分類されるため、ゲームコンソールとPCの双方で発売されるゲームタイトルを遊ぶ際の指標になる。
どちらも解像度はフルHD、グラフィックス設定はもっとも高い設定にしてテストを行った。結果は以下の通りだ。
先ほどの3DMarkのテスト結果同様に、TUF Gaming A14のスコアは上位GPUを搭載するOMEN Transcend 14を上回る結果になった。
どちらも最近の重たいゲームタイトルと比べれば軽いといっても、テスト時間は1回あたり10分ほどとそれなりに長く、やはり熱の影響は避けられない。実際、TUF Gaming A14はテスト中にそれなりにファン動作音もするが、「しっかり冷やす」ことを意識した動作をしていたため、最大グラフィックスパワーも含め熱設計の違いが良好なパフォーマンスに影響していることは間違いないだろう。
ここまでのテストは比較的「一般的」な内容だったが、最近はPlayStation 5などのゲームコンソールの代わりとして、ゲーミングPCを購入する人も多い。
となると、ゲームコンソール向けの大作として、しかしPC向けにもリリースされるような重量級のゲームタイトルがどこまでゲーミングノートPCで遊べるかは気になるだろう。
そこで今回は重量級のゲームタイトルでの動作を確認するため「Cyberpunk 2077」に内包されたベンチマーク機能を使い、動作の確認を行った。
ベンチマークテストの設定はプリセットの「レイトレーシング・中」を選択し、解像度はフルHD、ウィンドウ設定はフルスクリーンでテストを行った。
また、超解像度技術・フレーム生成を行う「DLSS」のオン、オフの2回、計測を行っている。結果は以下の通りだ。
DLSSをオンにした状態であれば、重量級ゲームタイトルであっても60fpsを超えるため、TUF Gaming A14でも十分に遊べると判断していいだろう。
これまでのテストと違い、OMEN Transcend 14の方が良好なスコアになった理由だが、これは「レイトレーシングが有効になっていること」が影響していると考えている。
レイトレーシングを処理するRTコアの数がOMEN Transcend 14に搭載されているGeForce RTX 4070 Laptop GPUの方が多く、その分だけ余裕が生まれたと考えると納得はできる。
とはいえ、一般的なゲームコンソールとTVの組み合わせではフレームレートの上限は60fpsに制限されるため、TUF Gaming A14は平均で60fpsを超えるのだから、ゲームコンソールに負けないくらい、重量級ゲームタイトルを遊ぶのに適した性能があるといっていいだろう。
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