今回取材した各社の展示から、学習用端末においてはGIGA 1.0での経験を踏まえた「耐久性向上」と「使い勝手の向上」が大きなテーマとなっていることが分かる。
また、学習用端末におけるChromeOSの存在感が一層増していることも見逃せない。
文部科学省によると、公立小中学校(※1)における学習用端末のOS別シェアは、2021年7月時点でChromeOSが40%、Windowsが30.9%、iOS(iPadOS)がなっていた。
(※1)義務教育学校(小学校と中学校を統合した学校)、中等教育学校(中学校と高等学校を統合した学校)の前期課程、特別支援学校の小学部/中学部を含む
ところが、今回出展していた4つのPCメーカーに話を聞くと異口同音に「少なくとも公立小中学校ではChromebookの存在感が非常に増している」と語る。GIGA 1.0の時にWindows端末のみを用意していたDynabook(※2)やマウスコンピューターがChromebookを導入したのも、この“勢い”を意識した取り組みでもある。
(※2)GIGA 1.0の際にDynabookブランドのChromebookを投入したが、親会社であるシャープの製品として発売された(参考記事)
先述の通り、GIGA 2.0では原則として都道府県単位で学習用端末を共同調達することになっており、都道府県によっては学習用端末の要件を決定し、納入業者や端末を選定する段階に進んでいる。
あるPCメーカーに話を聞いたところ、「ある都道府県ではWindows 11、ChromeOS、iPadOSの“全て”を許容する要件を定め、どれを調達するかは市町村に委ねることにしたが、今のところオプトアウト(※3)していない市町村の7〜8割がChromebook、1割がiPadで残りがWindowsになりそう」と語っていた。また「まだ(要件を)決定していない都道府県でも、コストや運用の面からChromeOS(Chromebook)を優先して検討する節が見られる」ともいう。
別のPCメーカーでもおおむね同じ話を聞くことができたので、GIGA 2.0ではCromebookが“圧倒的な”シェアを確保する可能性が高い。
(※3)都道府県が要件を定めた段階で、一定の要件を満たす市区町村は共同調達の枠組みから外れることができる
PCメーカーは学習用端末の「軽量化」と「丈夫さ」のバランスを追求している点も印象的だ。特にChromebookでは、省電力性に優れたMediaTek製SoCを採用することでファンレス化を進める動きもみられる(これにはコスト面の理由もあるが)。画面サイズを小さくしたデタッチャブルで軽量化を図るDynabookなど、独自のアプローチも興味深い。
都道府県による共同調達が原則化されたこともあり、Next GIGAでは顧客を一気に獲得できるチャンスが生まれた一方、逆に顧客を一気に失うリスクも大きくなった。そこでPCメーカーは学習用端末において“メリハリ”のある差別化を図ることで、「うちの端末(PC)、どうですか?」という売り込みを進めている。
今後、自治体の選定がどのように進み、学習用端末のシェアにどのような変化が起きるか――各社の戦略が試されることになるだろう。
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