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「Next GIGA」で学習用端末はどう変わる? 「教育DX推進フォーラム」で見たPC/周辺機器メーカーの戦略(1/4 ページ)

» 2025年03月14日 17時00分 公開
[石井徹, 井上翔ITmedia]

 2019年度から始まった文部科学省の「GIGAスクール構想」によって導入された学習用端末の置き換えが、2024年度から順次始まる。

 文部科学省はこの置き換えをGIGAスクール構想の第2期(Next GIGA)と位置付け、2023年度から予算措置を進めると同時に、学習用端末(PC/タブレット)の新要件を定めてきた。Next GIGAでは、学習用端末の調達が原則として都道府県単位となるため、端末で使われるOSやメーカーのシェアに大きな変動が起こる可能性もある。

 このこともあってか、PC/周辺機器メーカーは機会あるごとにNext GIGA向けの端末やソリューションをアピールしている。今回は、2月27日〜28日にかけて国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で開催された「2024年度 教育DX推進フォーラム」に出展していたPC/周辺機器メーカーを取材し、Next GIGAを巡る動向を探った。

教育DX推進フォーラム 2024年教育DX推進フォーラムは2日間にわたって開催された。講演や展示を見るべく、全国から教育関係者が集まった

学習用端末の「耐久性」と「軽量化」にこだわったDynabook

 Dynabookは10.1型のデタッチャブル(キーボード着脱型)ボディーの学習用端末「dynabook K70」「Dynabook Chromebook C70」を中心に展示していた。他社の多くが11.6型のコンバーティブル型ボディーを採用する中、デタッチャブル式にした上で、小さめの画面サイズで軽量化を図っていることが特徴だ。

Dynabookブース dynabook K70とDynabook Chromebook C70を中心に展示していたDynabookブース
2モデル Dynabook Chromebook C70(左)とdynabook K70(右)

 dynabook K70とDynabook Chromebook C70は共に、GIGAスクール構想の第1期(GIGA 1.0)向けに投入された「dynabook K50」で得られた知見が反映されているという。

 同社によると、dynabook K50では「(PCが起動しなくなるなどの)故障よりも、ボディーの破損事例が圧倒的に多かった」という。これを受けて、新機種では落下や不意の衝撃に対する耐性を高める工夫を施した。具体的には、本体外周をTPU(熱可塑性ポリウレタン)素材で覆うことで、机から滑り落ちにくくしつつ、角からの落下時に衝撃を吸収できるようにしている。

 また、端末の角にあったUSBポートを中央部に移動し、落下時の破損リスクを低減した。ポートを本体左側に集中させているのも工夫の1つだ。USBポート類に鉛筆を差し込むなど、特に小学生は手持ち無沙汰になったときに手遊びすることが多く、それが故障につながることもままあるという。右利きの児童/生徒が多いことを踏まえて、ポートをその反対側に配置することで、不意の破損を防いでいるのだ。

周囲をTPU素材で囲む 本体周囲をTPU素材で囲むことで、滑り止めと衝撃の吸収を図っている

 10.1型と他社よりも画面が小さめなのは、「学習机の上で邪魔にならないようにするため」の配慮だ。

 実は学校に設置する学習机は「JIS(日本産業規格)」で規格が定義されており、1999年以降の新規格では「幅65cm×奥行き45cm以上」に改められた。しかし、少なくない学校が「幅60cm×奥行き40cm以上」という旧規格の学習机をいまだに使っている。ただでさえ狭い机に学習用端末を置くと、教科書やノートを置くスペースが残らないということもままあるのだ。

 学習用端末をあえて小型化したのは、日本のメーカーとして日本の学校環境を熟知していることの表れなのかもしれない。

旧規格の机 本体をあえて小型化することで、旧JIS規格の学習机でも何とか収まるように配慮している。キーボードを付けた状態でキックスタンドなしで自立するように重量バランスも取っている

 キーボード部分を除く本体重量は、dynabook K70が約590g、Dynabook Chromebook C70が約563g(LTEモデルは約575g)となっており、キーボードを外すと1kgを大きく下回る。デタッチャブル構造は「小学校1年生から中学校3年生まで使うことを考えると、軽さは非常に重要」という考えも踏まえている。

 キーボードドッグも強化ポイントだ。本体との接続インタフェース部分は、爪にマグネシウム合金を採用して丈夫さを確保した。本体を裏表反対に差し込むと、キーボード面を隠した状態で使えるようにもなっている。

 この他、アウトカメラにもカメラ起動中ランプが備わっている。これは周囲に写真撮影中だと知らせるための配慮だ。

ハードケース ハンドル付きのハードケースもオプションとして用意される

「消しゴム」と「eSIM」で差別化を図る日本HP

 日本HPのブースでは、学習用端末に加えて教職員が使う校務用端末も展示されていた。学習用端末に絞ると、Windows搭載モデルが1種類、ChromeOS搭載モデル(Chromebook)が2種類という構成だった。

日本HPのブース 日本HPのブースでは、学習用端末と校務用端末が所狭しと並んでいた

 学習用端末として同社の担当者がイチオシするのが、MediaTek製SoCを搭載する「HP Fortis Flip G1m 11 Chromebook」だ。Flipの名の通り、コンバーティブル式の2in1ボディーを備えつつも、約1.19kgの軽量設計を実現した。これは「MediaTekのSoCを採用することで発熱が少なく、ヒートシンクが不要になった」ために実現できたことだという。

 耐久性にも徹底的にこだわり、ディスプレイにはCorning製の「Gorilla Glass 3」を採用することで「ペンで強く押しても割れない設計」としている。キートップの強化や、端子部分の金属板による補強、ヒンジ部分の一体化など、細部に渡る耐久性向上策が施されている。

 別売のUSIペンも特徴的で、ペン頂部に消しゴム機能を搭載している。一般的な描画アプリなら、ペンを消しゴムに切り替ることなく利用できるという。定価は1本6000円(税別)だが、紛失対策として自治体には購入数量の5%を追加で無償提供する方針だという。

HP Fortis Flip G1m 11 Chromebook HP Fortis Flip G1m 11 Chromebookは、発熱の少ないMediaTek製SoCを採用することで軽量化に成功した
オプションペン オプションの純正USIペンは、頂部に「消しゴム」を装備している

 同社は、au(KDDI)回線を利用した「HP eSIM Connect」に対応するeSIM内蔵モデルにも注力している。離島などの通信インフラが整備されていない自治体や、CBT(Computer Based Test)時の通信混雑対策(分散化)など、具体的なユースケースを想定した提案を行っているという。

 GIGA 1.0では、自治体/学校間、あるいは家庭間の「通信格差」も課題となった。eSIMをうまく使うことで、自宅の持ち帰り学習も含めてより円滑に進められるのかもしれない。

 なお、eSIM対応モデルは、HP eSIM Connectの5年分利用権込みで約6万円増しとなる。それでも、普通に5年間通信契約をするよりも手頃なこともあって引き合いはそれなりにあるようだ。

eSIM事例 沖縄県伊平屋村では、村立伊平屋中学校にHP eSIM Connect付き学習用端末を導入する実証実験が行われた。Wi-Fiがない環境でもネットを利用できることもあって好評だったという
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