2kg切りの洗練された薄型ボディーにRTX 5090 LPを搭載した「ROG Zephyrus G16(2025)」の実力を検証するゲーミングノートPC ナビ(4/4 ページ)

» 2025年06月03日 12時00分 公開
[鈴木雅暢ITmedia]
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TGPの影響はあるが、一流のパフォーマンスを発揮

 ベンチマークテストの結果を確認しよう。Armoury Crateユーティリティーで選べる動作モードに関しては、特に言及がない限りシステムモードは「Turbo」、GPUモードは「Ultimate」、Windows 11の電源設定は「最適なパフォーマンス」に統一した。比較対象は、直近でレビューした「ROG Strix SCAR 18 G835」と「ROG Strix SCAR 16 G635」のスコアも掲載した。

photo テストに利用した環境
photo Armoury Crateユーティリティーで選べる動作モードに関しては、特に言及がない限り、システムモードは「Turbo」、GPUモードは「Ultimate」、Windows 11の電源設定「最適なパフォーマンス」に統一した

CINEBENCH 2024

 CINEBENCH 2024(最低実行時間10分)のCPUスコアは1150pts、CPU(シングルコア)が121ptsだった。

 比較対象はモンスター級のCore Ultra 9 275HXを搭載しているので地味に見えるが、Core Ultra 9 185Hを搭載していた先代機のスコアは、それぞれ1050pts、107ptsなので、順当に強化されている。

photo CINEBENCH 2024(最低実行時間10分)のスコア比較
photo CINEBENCH R23(最低実行時間10分)のスコア
photo Blender Benchmark 4.4.0のスコア
photo PCMark 10のスコア比較
photo PCMark 10/Modern Office Battery Lifeのスコア。画面輝度最大、Armoury Crateのモード「サイレント」、GPUモード「パフォーマンス」、Windows 11電源設定「バランス」で実施した
photo Geekbench AIのスコア

3DMark

 NVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPU(120W)を搭載するGPUパフォーマンスはどうだろうか。3DMarkのスコアをROG Strix SCAR 18 G835と比べると、Steel Nomad(DirectX 12)で87%、Speed Way(DirectX 12 Ultimate)で84%となっており、Steel Nomad以外は5080 Laptop GPU搭載のROG Strix SCAR 16 G635よりもスコアが低い。

photo 3DMarkのスコア比較

UL Procyon Benchmark Suites

 UL Procyon Benchmark Suitesでの画像生成AIのテスト(AI Image Generation Benchmark)、テキスト生成AIのテスト(AI Text Generation Benchmark)でもやはりROG Strix SCAR 16 G635以下のスコアであり、TGPのパフォーマンス面での影響はしっかりある。

 しかし、これだけの薄型、2kg未満のフォームファクターで約2.8kgもあるROG Strix SCAR 16 G635に近い、一流の性能が出せること自体が珍しいことであり、大きな付加価値になっている。

 放熱能力も十分に確保されている。Turboモードでは高負荷時はゲーミングノートPCの中でも一段と大きな音がする上に、中負荷程度でもファンがそれなりに回るためノイジーな印象は否めない。

 パフォーマンスモードにすればそこまでノイジーな印象はなくなるので、高負荷時でも静音なサイレントモードも合わせて使いわければよいだろう。動作音が大きいぶん冷却はしっかりされていて、高負荷時でも手がよく触れるパームレストが熱いと感じるようなことは全くなかった。

photo UL Procyon Benchmark Suites/AI Image Generation Benchmark(画像生成AI)のスコア比較
photo UL Procyon Benchmark Suites/AI Text Generation Benchmark(テキスト生成AI)のスコア比較
photo モンスターハンターワイルズベンチマーク(2560×1600ピクセル/画質プリセット:ウルトラ/レイトレーシング:高/フレーム生成:無効)のスコア
photo モンスターハンターワイルズベンチマーク(2560×1600ピクセル/画質プリセット:ウルトラ/レイトレーシング:高/フレーム生成:有効)のスコア
photo FINAL FANTASY XIV:黄金のレガシーベンチマーク(2560×1600ピクセル/最高品質/フルスクリーン/DLSS)のスコア
photo FINAL FANTASY XIV:黄金のレガシーベンチマーク終了直前にFLIR ONEで撮影したサーモグラフィー。室温は24.5度だ

ASUSの技術力を世界に示す薄型ハイスペックノートPC

 約1.95kgで薄型のフォームファクターながら、一流のパフォーマンスを備えることに加えて、美しい有機ELディスプレイや洗練された外観、発光演出など魅力が大きい反面、TGPが120Wのため、パフォーマンス面ではその影響もある。

 このフォームファクターならば、本来はアッパーミドル〜ミドルクラスのスペックを載せた方がバランスがよく、コストパフォーマンスも良くなるのだろうが、もとよりそうしたことを意識している製品ではないのだろう。

 多くの人に届けたいモデルというよりは「2kg以下でできる限りのハイスペックが欲しい」というニッチなニーズに応えるモデルであり、あるいは「先進のハイスペックを薄型軽量のフォームファクターに収めた上で、しっかり放熱もできる技術力」と、それを「プロトタイプレベルではなく量産品として出荷できる開発力」をアピールするテクノロジーデモ的な性格も持つ商品だと思われる。

 ASUS JAPANの直販サイト、ASUS Storeでの販売価格は73万9800円と非常に高価だ。上記のように万人向けではない製品だが、付加価値は高く、完成度も十分で、この金額を出せる人を満足させる魅力はしっかりある商品だ。

 なお、ROG Zephyrus G16の2025年モデルとしては、CPUにCore Ultra 7 255H、GPUにNVIDIA GeForce RTX 5060 Laptop GPUを搭載するエントリーモデル(GU605CM-U7R5060W)も新たに追加された。こちらは直販価格で33万9800円と比較的入手しやすくなっているので、あわせて注目したい。

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