大阪・関西万博の「null2」、実はあのPCで動いていた! ヌルヌル動く「計算機自然」の舞台裏:大阪・関西万博(3/4 ページ)

» 2025年08月29日 12時00分 公開
[林信行,ITmedia]

さまざまな「モード」で楽しめる工夫

 ちなみに先で紹介したのがnull2の本来の体験で、「ダイアログモード」と呼ばれるものだ。実はこのハーフミラーの部屋『ヌルの森』の外には回廊があり、外から体験をしている人たちの様子をのぞくことができる。

 1回約15分間の体験をした後は、全てネタバレした状態で、希望者は次の時間枠で体験している人たちの様子を外から眺めることができる。

 ただし、このダイアログモードでは、ハーフミラー空間のキャパシティーもあり、1回15分あたり約50名程度しか体験ができないという問題がある。

 そこでnull2では、より多くの人にパビリオンの内部を見てもらおうと「インスタレーションモード」というものも用意している。これはハーフミラー空間の中には入らず、人がいない状態のハーフミラー空間に映し出される映像だけを楽しむというもので、1回あたり7分の体験になっている。

マウスコンピューター Null 落合陽一 大阪 関西万博 ヌルヌル パビリオン 人がいない状態のハーフミラー空間を外から眺める「インスタレーションモード」

 さらに最近になって、同じ経路を止まらずに歩きながら見学する体験時間約45秒の「ウォークスルーモード」も新たに追加された。プロデューサーの落合さんは日々、1人でも多くの人が体験ができるように観覧方法をアップデートしているので、訪問前にはぜひ公式Xで最新情報を確認してほしい。

表現したのは物質と情報、人間と機械が溶け合うデジタルネイチャー

 ところで、null2の不思議な体験は何を伝えようとしているのだろうか。

 落合さんは、遠からず自然と人工、物質と情報、人間と機械の境界が溶け合うデジタルネイチャー(計算機自然)の時代が訪れると考えており、ここ数年はそれをテーマに制作や執筆を行ってきた。

 それらを貫いているのは、般若心経にある「空即是色 色即是空(くうそくぜしき・しきそくぜくう)」、つまり色はすなわち空(から)であり、空はすなわち色、現象(色)と本質(空)は不可分であるという見立てであり、これを落合さんは「何もないところからあらゆるものが生まれ、あらゆるものは何もないところに帰っていく」と解釈している。

 この何もない状態「空」を、何もない状態を示すコンピュータ用語の「null」に掛け、さらには2つの「空」の間。つまり「null(即是色色即是)null」の()内の文字を省略してnull2としたのがパビリオン名の由来だが、もちろん、これは高性能なコンピュータを使うことで、パビリオンの内と外で映像がヌルヌルと動くことにも掛けている。

 ちなみに、パビリオンの外観が姿形を映し出す鏡だとしたら、パビリオンの内部は来場者の内面を映し出すデジタルの鏡となっているが、ここにも岡本太郎さんが関係している。

 岡本太郎さんの太陽の塔は、縄文文化にインスピレーションを得ていた。そこで落合さんは、null2では弥生文化をインスピレーションとした。この時代に神として扱われていた「鏡」をテーマにしようと考えたのだ。

マウスコンピューター Null 落合陽一 大阪 関西万博 ヌルヌル パビリオン ブースの外には、落合さんの過去の作品を展示しているコーナーもある
マウスコンピューター Null 落合陽一 大阪 関西万博 ヌルヌル パビリオン パビリオンショップも用意されている(Photo by 落合陽一)

 null2の背景に関する詳細は、プロデューサーである落合陽一さん本人がパビリオンの公式Webページ内で詳しく解説しているので、是非ともそちらを読んでいただきたい(ネタバレありの解説もあるので注意)。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月26日 更新
  1. Anthropicが常時稼働するエージェント「Claude Duet」を発表/AMDとIntelが協業 PyTorchのx86 CPU最適化を「oneDNN」に一本化 (2026年10月25日)
  2. 「Galaxy Watch9」を1週間使って分かったこと Pixel Watchと比べた使い勝手は? (2026年10月23日)
  3. “置き場所に困る”大容量ポタ電の壁を打破! 冷蔵庫を3日動かすEcoFlow「DELTA Gen4」シリーズが日本上陸 (2026年10月23日)
  4. 定格1650Wの7.5万円電源&Noctuaファン採用の異常検知アダプターが登場! (2026年10月24日)
  5. 約22万円の新型「Mac mini」で初めてのローカルAI体験 ストレージの価格高騰対策にピッタリかも (2026年10月20日)
  6. エイサー、Ryzen 3/5を搭載したコンパクトデスクトップPC Amazon専売モデルも用意 (2026年10月23日)
  7. 天空が12月25日に発売する「GPD WIN Max 3」国内正規版 実機に触れてきた (2026年10月23日)
  8. FCCLが「FMV Keyboard X」の一般販売を開始 ハイスペックマウス「FMV Mouse X」も同時発売 (2026年10月22日)
  9. 折りたたみ型から薄型まで! スマホやタブレットで“本気”の文字入力に使える持ち運び用キーボードを選ぶコツ (2026年10月23日)
  10. 「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた (2026年10月21日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー