PCやスマートフォン、タブレット、ゲーム機などにCPU/GPUは欠かせない。CPU/GPUのようなプロセッサ製品は、「初期設計」「前工程(シリコンダイの製造)」「後工程(パッケージ化/検証)」といった複数のプロセスを経て出荷される。
RyzenブランドのCPUやRadeonブランドのGPUで知られるAMDの場合、初期設計から後工程の一部までをシンガポールの拠点で実施している。先日の記事で紹介したGPUアクセラレーター「AMD Instinct」シリーズや、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの据え置きゲーム機「PlayStation 5」シリーズ向けのAPU(GPU統合型CPU)は、シンガポールの拠点を“通過”しているという。
同社がシンガポールで開催した報道関係者向けイベントでは、プロセッサ製品の品質担保を担う「Chai Chee Lab(チャイチーラボ)」を見学する機会を得たので紹介したい。
先日の記事でも触れた通り、AMDのシンガポール拠点は元々「大規模な量産工場」という位置付けだった。それが現在では、多くのエンジニアリングスタッフを抱え、今日のAMDの利益の源泉とも呼べるAI(人工知能)/データセンター/HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)といった分野における「NPI(New Product Introduction:新製品導入)」に関わるエンジニアリングを主導するグローバルにおける重要拠点として機能している。
NPIは、製品設計からテスト、量産から市場投入(発売)までの一連のプロセスを指す。つまり、シンガポール拠点はAMDにおけるHPC向け主力製品群全体の投入サイクルのコントロールを行っている拠点ともいえる。
下図は、一連のNPIサイクルにおいてシンガポール拠点が担う部分を示したものだ。赤色で示した部分が実際にシンガポールで行われている工程で、黄色がシンガポールが強く影響を及ぼしている工程となっている。
見れば分かるが、「パッケージデザイン」「パッケージの組み立て」(製造されたシリコンダイを“プロセッサ”のパッケージに封入する作業)を除く、全ての「プレシリコン」「ポストシリコン」工程を担っていることになる。
それだけ、AMDにとって重要な拠点であることが分かる。
今回Chai Chee Labで見学できたのは、「パッケージの組み立て」以降に行われる5つのテスト/解析工程を担うラボスペースだ。
Chai Chee Labは、施設面積の約63%がラボスペースとなっており、特に顧客への製品出荷前に行われる「品質テスト」など、重要な工程を担う。ある意味でAMD製品の信頼性を担保する上での重要施設で、昨今急増するAI需要を下支えする存在だ。
そのこともあり、Chai Chee Labは外観を含めて撮影禁止だった他、PCやスマートフォン、ボイスレコーダーといった機材の持ち込みもできなかったが、可能な範囲でLabの中身を紹介していこう。
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