6月26日、日本Androidの会が主催した開発者向けイベント「Android Bazaar and Conference 2009 Spring(ABC 2009 Spring)」にグーグル デベロッパー アドボケイトのクリス・プルエット氏が登場し、「Android in Japan」と題した講演を行った。
プルエット氏は、すでに携帯電話を通じたコンテンツ配信が根付いている日本でAndroidが成功することは重要だとし、日本版Androidマーケットの概要や、日本市場向けのアプリ開発を活性化させる施策について説明した。
Androidケータイは、最初の端末として「T-Mobile G1」が登場してから21カ国32通信事業者から発売されるなど、8カ月で急速に世界に広がり、日本でも6月下旬以降、HTC製の「HT-03A」がリリースされる予定だ。プルエット氏は、ほかの世界各国と比べて、携帯インターネットや携帯アプリの普及が進んでおり、アプリやコンテンツ開発に長けた人材が多い日本でこそ、Androidは成功しなければならないといい、日本での成功がひいては世界での成功につながるという見方を示した。「(日本で成功すれば)高い品質のAndroid向けアプリやコンテンツを世界中に広げることができる」(プルエット氏)
プルエット氏は、プラットフォームを進化させる上でも、日本市場が果たす役割は大きいと見る。すでに、Androidのインタフェースは日本語化されているが、「それだけで日本市場に合ったものになっているというわけではない」(プルエット氏)。プラットフォームの完成度を高めるためにも、実際の端末が市場に投入され、使われた上でのフィードバックが重要になると話す。「今のAndroidで機能的に足りるのか? という心配があるが、この点は、これからがんばらなければならないこと」(同)
プルエット氏は、Androidケータイで重要な役割を果たす、アプリケーション配信プラットフォームの「Androidマーケット」にも言及した。
Androidマーケットは、Android端末向けのアプリの配信プラットフォームで、iPhoneでいうところのApp Storeのような存在だ。App Storeとの大きな違いは、審査などの必要なくアプリを登録できる点。「アプリケーションをアップロードする際のチェックはなく、『アップロード』を押せば数秒後に世界へ公開される」(プルエット氏)。
ただ、この方式ではノーチェックでアプリが公開されるため、端末の機能を損なうようなアプリや、表現上問題のあるアプリなども公開されてしまう可能性がある。ウィルス対策については、Android自体がウィルスなどを作りにくい環境であることに加え、ユーザーがアプリケーションを追加する際に、端末内のどのデータや機能を利用するかを確認できる仕組みが装備されているので、一定のリテラシーが求められるものの、安全策はとられているという。
表現上問題があるアプリや、端末のパフォーマンスを著しく低下させるようなアプリについては、ユーザーからの通報を受けて削除する仕組みも用意。アップロードのハードルを低くして広くコンテンツを集め、問題があるものについては通報を受けて削除するという“YouTube的”な運営方式を採用している。
日本版Androidマーケットについては、ユーザーにマーケットでアプリケーションをダウンロードする習慣をつけてもらうために、初めの1〜2カ月は無料アプリケーションのみを提供。その後、有料アプリケーションにも対応する予定としている。
Androidマーケットにはすでに、日本語での登録も行えるようになっているが「実際に日本語で動作するアプリケーションや日本語で登録されているアプリケーションはまだ少ない」とプルエット氏。ただ、Androidマーケットにどの国からアプリが登録されているかを調査すると日本からのものが多く、英語版アプリなどの開発自体は進んでいることが分かるといい、アプリの日本語化と登録を開発者に呼びかけた。
プルエット氏がAndroidアプリ開発の活性化策として紹介したのが、Google主催のAndroid向けアプリケーションコンテスト「ADC 2(Android Developper Challenge 2)」。応募に当たっては、無料のアプリケーションのみが対象となり、すでにAndroidマーケットに登録されているものは応募できないので注意が必要だ。8月頃からアプリを募集し、11月頃に各賞を決定するという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.