国内6キャリアのトップが語る、ケータイ戦略の今とこれからワイヤレスジャパン2009(5/6 ページ)

» 2009年07月24日 19時17分 公開
[日高彰,ITmedia]

「小さく、軽く、安い」基地局で迅速なエリア展開に成功――イー・モバイルのガン社長

Photo イー・モバイル代表取締役社長兼COOのエリック・ガン氏

 イー・モバイル代表取締役社長兼COOのエリック・ガン氏は、同社が提供しているモバイルデータ通信サービスの最新動向を紹介するとともに、ベンチャー企業の同社がなぜ、迅速にサービスエリアを構築できたのかについても説明した。

 同社はスウェーデンのEricssonと、中国のHuawei Technologiesを主要インフラベンダーとして採用している。両社はグローバル市場に向けて膨大な数のネットワーク設備を販売しているベンダーであり、設備そのものの価格が低廉というメリットがある。無線ネットワークは地域によって担当ベンダーを分けており、基本的に東名阪エリアにはEricsson、その他のエリアにはHuaweiの基地局が設置されている。

 3G携帯電話の技術が成熟してから参入した後発事業者であることを逆手に取り、基地局設備には最新の製品を採用していることも特徴だ。これまでの3G基地局は、まず堅固な土台を築き、その上に物置のような大きな格納庫を建て、その中に設置したラックに無線機を収めていた。消費電力や発熱が大きく、格納庫にはエアコンの設置も必須。アンテナまで含めると10トン以上の設備になることもあった。これだけの重量物を設置できるのは、耐荷重に余裕のある大きな建物に限られ、エリア構築に制限が生まれるばかりか、屋上の賃料も高くつく。

 イー・モバイルが採用する最新の基地局では、無線機からアンテナまで含めても500キログラム以下まで小型軽量化され、既存のものに比べて設置できる建物の選択肢も大きく広がった。専有面積が小さいので賃料が安く、消費電力が小さいのでランニングコストも安い。当然、設置作業にかかる時間も短いので、工事を迅速に進めることができる。

 このような特徴を生かして、サービス開始から1年11カ月で人口カバー率90%超を達成した。現在は地下鉄・地下街でのエリア拡充に力を入れており、今年6月末時点の全国地下カバー率(物件数に対する割合)は43%だが、来年3月末までにこれを100%まで引き上げられると見込んでいる。

Photo イー・モバイルは主要インフラベンダーとしてスウェーデンのEricssonと、中国のHuawei Technologiesを採用(左)。後発事業者であることを逆手に取り、基地局設備には最新の製品を採用。短期間でのエリア拡充に成功した(右)

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