国内6キャリアのトップが語る、ケータイ戦略の今とこれからワイヤレスジャパン2009(4/6 ページ)

» 2009年07月24日 19時17分 公開
[日高彰,ITmedia]

XGPが持つ3つの優れた要素を説明――ウィルコム喜久川社長

Photo ウィルコム 代表取締役社長の喜久川政樹氏

 4月から、ユーザーとエリアを限定して「WILLCOM CORE XGP」の試験サービスを提供しているウィルコムの代表取締役社長を務める喜久川政樹氏は「(試験サービスでは)ウィルコムが言っていた通りのスピードが出ている」とし、XGPの優位性に自信を見せる。その優位性のポイントとして、「TDD」「スマートアンテナ」「256QAM」という3つの技術要素を挙げた。

 携帯電話で使われる「FDD」方式では、送受信にそれぞれ別の周波数を使用するため、2つの周波数帯域をセットで確保する必要があるが、XGPは送受信を瞬間的に繰り返し切り替えることで、下りと上りの通信を同じ周波数で行う「TDD」方式を採用している。将来的にXGPサービスを海外で展開しようとした場合、国によっては周波数の割り当てが整理されていない可能性もあり、確保する必要のある周波数帯域が1つで済むTDDのほうが提案しやすいとしている。

 「スマートアンテナ」は、1つの周波数を複数のユーザーで効率よく使用するため、ユーザーのいる方向のみに指向性を絞り込む技術だが、これもTDDだから実現したという。基地局は受信した上りの信号からユーザーの位置を特定し、ビームの方向を最適化するが、FDDでは上下の信号で周波数が異なるため伝搬特性にも違いが発生し、効果的なビームの絞り込みが行えないという。

 「256QAM」は一度に8bitのデータを送信できる変調方式。モバイルWiMAXやLTEで使用される「64QAM」(一度に6bit)に比べて約1.3倍の伝送速度が得られるが、ノイズに弱くエラーが発生しやすい。喜久川氏は「256QAMは移動体通信では実用困難ではないかと言われていたが、XGPでは実際のフィールドでもその実力を発揮した」と話し、スマートアンテナやマイクロセルの効果が発揮できるXGPだからこそ256QAMでの通信が実現可能となったと強調した。

Photo ウィルコムの3つのキーワード(左)と「256QAM」の実現(右)

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