「独自の事情」で出遅れたauのAndroid――現在は予想以上の「好意的な反応」

» 2010年06月30日 11時31分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo KDDIの上月勝博氏

 KDDIが6月30日に発売するau初のAndroid端末「IS01」は、インターネットを快適に利用したいユーザーに携帯電話と併用してもらう“2台目需要”を狙ったモデルだ。パンタグラフ式キーを採用したQWERTYキーボードをはじめ、ユニークな特徴を備えている同モデルだが、開発にいたる経緯や狙いはどのようなものだったのか――。日本Androidの会が開催した開発者向けイベント「Android Bazaar and Conference 2010 Spring」で、KDDI サービス・プロダクト企画本部の上月勝博氏(オープンプラットフォーム部 課長)が語った。

なぜ、auのAndroidは出遅れたのか

photo 上月氏は通信方式や周波数の問題に加え、チップセットのAndroid 1.6への対応(IS01は米QUALCOMMのSnapdragonを採用している)、EV-DO Rev.Aの対応、SMS(Cメール)の対応などを、取り組みが遅れた要因に挙げる

 スマートフォンに対する各キャリアの取り組みが加速する中、KDDIは今夏にようやくコンシューマー向けスマートフォンのラインアップ「IS series」を投入した。取り組みが出遅れたのは「戦略的に考えられてなかった」という面もあるが、Androidに関してはKDDI独自の課題があったことを上月氏は説明する。

 同社は第3世代の通信方式としてCDMA2000を採用しているが、Androidは当初CDMA2000をサポートしておらず、2009年9月に発表されたAndroid 1.6から同方式に対応した。このため、開発のスタートが他キャリアより遅くならざるを得なかったという。さらに、同社のCDMA2000サービスは800MHz帯で利用する上り/下りの周波数が世界標準と逆になっており、海外モデルの導入が簡単にはできない事情もあった。

 なお、KDDIでは800MHz帯の周波数再編に伴って国際標準に沿った新800MHz帯への対応を進めており、現状は旧800MHz帯、新800MHz帯、2GHz帯の3周波数帯に対応するトライバンド端末をラインアップしている。新800MHz帯の環境が整えば、海外端末も比較的スムーズに導入できるようになると上月氏は語る。

KDDIのAndroidに対するスタンス

photo 独自機能は特に需要のある機能を優先的に搭載。しかし、“ガラパゴス化”とも言われる日本固有の構造にならないように配慮し、できるかぎりアプリで対応する考え。アプリマーケットはAndroidマーケットに加え、キャリア課金の仕組みが使える「au one Market」を展開する

 こうした課題への対応に時間を取られた同社だったが、提供時期が先延ばしになった分、日本の独自機能の実装に力を入れたという。IS01では、ワンセグや赤外線通信に対応したほか、8月にはソフトウェアのバージョンアップによってキャリアのEメール(@ezweb.ne.jp)に対応する。

 同社は今後、日本向けのカスタマイズを施したモデルに加え、最新のOSバージョンに対応した海外モデルなども積極的に導入してAndroid端末のラインアップを充実させていく考えだ。また、Android端末の開発にあたっては端末メーカーが海外展開をしやすいように配慮するという。具体的には、(1)世界的に展開されているAndroidマーケットに対応するためにGoogleのデバイス規定に準拠する、(2)国内独自の機能追加は最小限に抑え、アプリでのサービス対応を進める、(3)開発コストの国内外での共有化を意識する、という3点を原則に事業を展開する。

 また、KDDI独自のアプリマーケット「au one Market」の取り組みにも注力。標準のAndroidマーケットが「ユーザーが主体的にアプリを検索する場」であるのに対し、au one Marketでは、ランキングや記事、レコメンドなど、多彩な切り口でアプリへの導線を設ける考えだ。また、紹介するアプリは事前に検証を行い、安全性を確保。旧来のケータイと同じような感覚でアプリを購入できるように配慮するという。

 当初はau one MarketからAndroidマーケットへリンクを張り、アプリへの導線を設けるが、8月には自社サーバーを立ち上げ、キャリア課金によるアプリ販売ができる体制も整える。また、コンテンツプロバイダーの独自マーケットへの誘導も想定する。

IS01は「当初の計画の倍の発注」

photo カード状の登録画面に機能のショートカットを登録できるIS01の独自UI

 IS01は、スウェーデンのデザイン会社Ocean Observationとともに企画した独自UI(ユーザーインタフェース)を搭載し、他のAndroid端末との差別化を図っている。また、「一般的なWebサービス開発者なら開発できる」という独自のウィジェットにも対応した。筐体のデザインはプロダクトデザイナーの深澤直人の手によるもので、「一見すると大きいが、手になじみ、突起もないのでポケットにも入る」と上月氏は話す。さらに、音響機器の開発などを手掛けるダイマジックとともにオリジナルサウンドを製作するなど、さまざまなこだわりが詰まっているという。

 ユニークな端末ゆえに、同社もまだ市場の反応を予想できない面があるようだが、量販店などにデモンストレーション機を設置したところ、ユーザーから「予想以上の好意的な反応」が得られているという。「量販店さんからも『もっと売れるのでは』という声が急に高まった。細かい台数は申し上げられないが、当初の計画の倍の発注をすることになっている。我々が思っているよりも、台数は見込めるという雰囲気に変わってきている」

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