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» 2011年05月19日 10時00分 公開

携帯で自転車レンタル ロック解除は“かざすだけ”――ドコモが取り組むコミュニティサイクル

「移動するものや人を管理するのに携帯電話は相性がいい」と、自転車のシェアリングに注目したドコモ。札幌、湘南での実証実験に関わり、横浜では3年間の長期社会実験にも取り組む。

[山田祐介,ITmedia]
photo 「横浜都心部コミュニティサイクル社会実験」により設置されたポート

 街のあちこちにあるポートを通じ、自転車を好きな場所で借り、好きな場所に返せるコミュニティサイクル――。環境に優しく健康にも良い交通システムとして注目されており、パリの「velib(ベリブ)」など海外では本格的な運用事例もあるが、日本ではなじみが薄い。

 そんな中、NTTドコモが横浜市と「横浜都心部コミュニティサイクル社会実験」をスタートした。初めての利用者でも“おサイフケータイ対応の携帯電話”を持っていれば、その場で会員登録や利用/返却の手続きを済ませられるのが特徴だ。もちろん、携帯キャリアを問わず利用できる。「地元の住民はもとより、観光客などにも使いやすい」と、ドコモ フロンティアサービス部長の高木一裕氏は説明する。

“その場”で“すぐに”手続き完了――ケータイ活用のメリット

photo ドコモ フロンティアサービス部長の高木一裕氏

 収益多様化の一環として環境や健康分野での取り組みを進める中で、「移動するものや人を管理するのに携帯電話は相性がいい」(高木氏)と、同社はコミュニティサイクルに注目。2010年6月に札幌市内でドーコンと実施した実証実験を皮切りに、事業性を検証しながらノウハウを蓄積している。

 札幌では都心部に18のポートを設置し、4カ月の実験期間中に2400会員が利用した。当初は、利用希望者にICカードを送付し、ポートにICカードをかざすことで自転車が借りられる仕組みを採用していたが、申し込みからICカードの発行までに時間がかかるため、「いざ使おうと思っても、その時にすぐ使えないのは不便」(高木氏)という課題があった。

 そこで実験の後半では、ICカードに加えておサイフケータイでも利用できるようにサービスを改良した。ICカードは有人受付での会員登録が必要だったが、おサイフケータイではポートに端末をかざすことで会員登録サイトに遷移し、その場で登録を完了できる。こうした手軽さも手伝って利用者は増え、ホテル付近のポートでは観光客に使われるケースも出てきたという。

 2010年9月からは、ペダル、藤沢市、湘南工科大学が実施する社会実験にも協力し、携帯電話を使った決済・利用システムを提供した。同実験ではコスト面なども重視して、簡素なポートを採用しており、おサイフケータイに対応させることができなかった。替わりに、ケータイサイトにログインし、サイトから発行される借用コードをポートに打ち込むことで、自転車を借りられるようにしたという。

モバイル連携ならではの付加価値を

photo

 同社はこうした実験で得たノウハウを生かし、横浜で3年間の長期社会実験の運営主体としてコミュニティサイクル事業に取り組んでいる。サービスの愛称は「baybike(ベイバイク)」。みなとみらいや関内・山下町といったエリアを対象に、14ポート(順次拡大)を設置している。実験には札幌のシステムを活用しており、ICカードとおサイフケータイのどちらでも自転車が借りられるようになっている。また、ケータイから自転車を予約することも可能だ。

 札幌の実験ではフィーチャーフォンのみの対応だったが、今回はスマートフォンでも利用できるようにアプリを開発するという。さらに、実験地域が観光地ということもあって、コミュニティサイクルと連動したコンテンツサービスの提供も検討している。例えばユーザーが観光情報などを投稿でき、オススメのサイクリングコースなどを紹介するAR(拡張現実)アプリなどが考えられるという。

 同社では今後、こうした実証実験の結果も踏まえながら、事業化が可能かどうかを見極めていく。また、自転車自体に通信モジュールを積むといった、M2Mのモバイル通信活用も検討する考えだ。例えば自転車が位置情報を発信できるようにすれば、盗難時の追跡などに役立つという。

 事業化する上での課題は、ポートの設置交渉の難しさや、運用コストと利用料金のバランスなど。現状は「長い目で見ていく実験」(高木氏)を進めている段階であり、本格的な商用サービスの提供時期はまだ見えていないというが、自治体と協力したり、あるいは鉄道会社と協業したりと、事業展開の方法はいろいろと考えられるという。

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