インタビュー
» 2013年07月04日 02時20分 UPDATE

docomo IDがターニングポイント:ドコモが取り組む「新しいキャリア」の姿とは?――NTTドコモ 加藤社長に聞く (1/3)

スマートフォンの普及期において市場が変化する中、NTTドコモはどこに軸足を置いていくのだろうか。“ツートップ”で話題を集めた夏モデルから、サービス、インフラに至るまで、代表取締役社長の加藤薫氏に聞いた。

[神尾寿,ITmedia]

 スマートフォン“普及後”の時代に向けて、NTTドコモの変化が急速に進んでいる。眼前の夏商戦については「ツートップ戦略」で競争力を強化しつつ、dマーケットを軸にコンテンツ&サービス分野の新規事業・新サービスを矢継ぎ早に展開。通信キャリアの枠組みを超えて、積極的に新たなチャレンジを行っている。

 この「新しいドコモ」の実現に向けて、陣頭指揮を執っているのが、NTTドコモ 代表取締役社長の加藤薫氏だ。加藤氏は2012年の社長就任以降、「スピード&チャレンジ」を掲げてドコモの変化と進化を促している。

 筆者は今回、その加藤氏に単独インタビューをする機会を得た。スマートフォンの本格普及期も半ばを超えて、市場がドラスティックに変化する中で、新しいドコモの挑戦はどこまで進んでいるのか。加藤氏に聞いていく。

docomo ID稼働で、ドコモはOTTレイヤーに進出する

photo NTTドコモ 代表取締役社長 加藤薫氏

――(聞き手、神尾寿) 2012年から2013年にかけて、ドコモは魅力的な新製品を投入するだけでなく、dマーケットを軸に、サービス分野での競争力拡大への取り組みが目立ちます。

加藤氏 我々はサービス業そのものですから、ある意味で原点を強化しているともいえます。収益の柱である通信回線の契約もサービス業であるわけですが、(より多くの人々と接点を作るために)顧客基盤そのものを見直しているのです。

―― これまでの通信キャリアのビジネスでは、回線契約のユーザーの上にキャリアが用意する各種サービスを追加していくという考え方でした。回線契約者数が母数だったわけですが、新しい方針ではdocomo IDをキャリアフリーで展開する方針を打ち出しました。今までの構造と逆転させようとしています。

加藤氏 そのとおりです。ただ時代の流れで考えますと、これはFacebookなどOTT (Over The Top)のプレーヤーは普通にやっていることなのです。この領域にドコモが入っていく。この鍵になるのが、「docomo ID」や「ドコモメール」です。

―― 現在、ドコモは約6000万の回線契約を保有していますが、その上に位置するdocomo IDの顧客数はどのくらいの規模を目標にしているのでしょうか。

加藤氏 日本の人口は1億2000万人いるわけですが、まずは国内で1億以上という規模を目指します。むろん、これはすぐに実現できるものではなく、段階を経る必要はあります。また、(docomo IDは)国内に限った話ではありません。アニメストアなどドコモのコンテンツサービスは欧州をはじめ海外展開を行っていきますが、それを通じて海外にもドコモの顧客基盤を広げていきます。

 docomo IDによって広くあまねくドコモのお客様になっていただく。接点を広げます。その上で、ドコモを信頼し好きになっていただいた方には、昔ながらの回線契約も結んでいただくことで、より大きなメリットを提供したい。

photo 従来の電話番号に加え、キャリアフリーのdocomo IDを基盤に置き、さらなるサービス拡大を目指す
photo

―― ドコモがOTT領域で広く普及するには、GoogleやFacebookに対しても優位性を持つ訴求力が必要です。「docomo IDを取得するメリット」がなければならない。

加藤氏 そこはシングルサインオンを実現する「認証」と、もうひとつは「課金・決済」の部分だと考えています。すでにドコモの回線契約をお持ちの方は(ドコモの)認証・課金のプラットフォームを使って、簡単にネット上での決済をご利用いただいています。これが他キャリアのユーザーにも広がり、(コンテンツサービスや物販など)さまざまなところで利用できるようになることで、お客様のメリットが打ち出せると考えています。

―― docomo IDではドコモユーザー以外でも、口座引き落としなどクレジットカード以外の決済が利用できるようになるのでしょうか。

加藤氏 支払い方法の選択肢は、現在のドコモユーザー向けと同じものを用意したいと考えています。認証と課金・決済の部分はキャリアの強みですから、それを生かしていきたい。また、ドコモはクレジットカードのイシュア事業や、(銀行法における)資金移動業者の免許も持っています。将来的には、それらの連携や融合も視野に入っていくでしょう。

―― そこまで行くと、ドコモはネットとリアルのさまざまな事業に対して、「広く浅く関わることもあれば、深く関わることもある」という普遍的なOTTプレーヤーになりますね。

加藤氏 それを目指して、これまで頑張ってきましたからね(笑)。

―― docomo IDは年内の本格導入が計画されていますが、具体的には“いつ”になるのでしょうか。

加藤氏 今年11月を目指しています。

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