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» 2013年12月20日 19時56分 UPDATE

ITmediaスタッフが選ぶ、2013年の“注目端末&トピック”(ライター佐野編):“iPhone”と“ゲーム”に沸いた2013年のアプリシーンを振り返る

2013年もハードやインフラなどさまざまな面で業界が大きく盛り上がった年だったが、スマホアプリの盛り上がりも忘れてはならない。“アプリ”の視点から、この1年を振り返ってみたいと思う。

[佐野正弘,ITmedia]

iPhoneのシェア拡大はアプリベンダーにメリット、だが……

 2013年の国内におけるモバイル業界最大のトピックといえるのは、やはりNTTドコモが「iPhone」シリーズの取り扱いを始めたことではないかと思う。3大キャリアで唯一iPhoneを取り扱ってこなかった同社の大幅な戦略変更は、一部国内メーカーの撤退や、Apple以外の海外メーカーの大幅な戦略見直しを招くなど、国内のスマートフォン市場に大きな影響をもたらしたのは間違いない。

photo NTTドコモがiPhoneを販売し、iPhoneのシェアが伸びたことは、アプリベンダーにとっては有利な要素といえる

 一方で、このことを最も歓迎しているのは、アプリベンダーではないかと感じている。Androidは機種によるばらつきが多く、以前からアプリベンダーの悩みの種であった。そこにドコモがiPhoneを販売したことでシェアはさらに拡大。相対的にAndroidのシェアが落ちれば、比較的開発がしやすいとされているiOS向けタイトルの開発に集中できる。これの意義は大きいだろう。

 無論、今後のことは分からないし、Android陣営にも大いに頑張って欲しいところだが、現在もiPhoneの販売シェアは順調に伸びているようなので、日本市場はしばらくiOSに有利な状況が続くといえそうだ。とはいえ現在のAppleの動向を見ていると、従来と比べアプリに関しては課題が増えつつあるようにも感じる。

 理由の1つは、従来よりiOSデバイスの分断化が一層進みつつあること。iPhone 5sは64Bitのプロセッサーを搭載するなど性能自体を向上させてはいるが、今後のことを考えると、32bitプロセッサーを採用した従来機種との間に、今後何らかの差異が出てこないかと心配になる部分もある。2012年のiPhone 5においても、ディスプレイサイズが大きくなるという変化が起きており、新機種が出るたびに分断化の要素が増えていくのは、開発する側からしてみればやはり不安要素となってくるだろう。

 そしてもう1つはApp Storeだ。日本のApp Storeは、現在米国と1、2位を争う巨大マーケットとなっているが、それだけにマーケットの大きさに目を付けた、問題アプリも増加傾向にある。だがApp Storeは米国運営であることもあって、日本のマーケットをしっかり把握できておらず、問題アプリに対する対応に遅れが見られるようにも感じられる。アプリマーケットの健全性を維持するためにも、“巨大市場”となった日本にフォーカスした積極的な対応が求められるところだ。

「Clash of Clans」が日本でウケるとは予測できなかった

 アプリ市場全体を振り返ると、2013年は2012年より引き続いてゲームアプリが活況を呈したことで、大きく盛り上がった1年だったといえる。

 「パズル&ドラゴンズ」は年間を通じて各アプリマーケットのランキング1位をほぼキープし、「LINE」は世界で3億ユーザーを超えるなど定番となったアプリの強さが目立ったが、その一方でコロプラの「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」が1400万、LINEの「LINE ポコパン」が2000万を超えるダウンロード数を記録するなど、2013年に登場した新勢力の台頭も著しいものがあった。現在もなお多くのゲームアプリが連日テレビCMを放映しており、その活況ぶりを見て取れる。

 こうした国内の盛り上がりは、世界的にも日本のアプリマーケットの重要性を大きく高めている。実際、アプリマーケットの調査をしている米App Annieが、10月に日本のアプリ市場が米国を抜いて売上高で世界最大になったと報告。その巨大なマーケットを狙って、今年は海外のゲームベンダーが、日本に本格進出するケースが目立っていた。

photo 2013年ヒットした海外ゲームアプリの1つ「Clash of Clans」。日本人からするとキャラクターに違和感を抱くが、そうしたマイナス要素を乗り越えてヒットに結び付けている

 FacebookやGoobleマップなど実用系のアプリはともかく、海外のゲームアプリは日本と嗜好性がかなり異なるため、人気が出にくいのでは? と感じていた人も多いだろう。実際、フィンランドのsupercellが提供する「Clash of Clans」も、髭を生やして唾を飛ばしているバーバリアンのアイコンを見た時に、筆者は正直なところ“日本では難しいだろう”という感想を抱いたのは事実だ。だがそうした嗜好性の違いをクリアして、supercellや「キャンディークラッシュ」のKing.comなどは、日本市場でも成功を収めつつある。素直に評価したいところだ。

 ちなみにsupercellといえば、ガンホー・オンライン・エンタテインメントとともに、ソフトバンクに買収されたことでも大きな話題をふりまいた。そして最近になるが、コロプラも米国のモバイルゲームベンダー「Glu Mobile」と、スマートフォン向けゲーム開発で提携すると発表している。アプリマーケットの活性化を受けて、国を超えたベンダー同士の連携が一気に進みつつあるといえそうだ。

アプリ文化のけん引役が再び“ギャル”に?

 もう1つ、今年のアプリシーンで筆者が注目したのが、若い女性層に人気を獲得しているアプリが増えつつあることだ。アプリマーケットが立ち上がってから現在に至るまで、ゲームに代表されるように、アプリ文化はどちらかというと男性がけん引役となってきた。だがLINE人気の高まりに加え、フィーチャーフォンからの移行者が増えたこともあり、2013年はその流れが徐々にではあるものの、女性へと変わりつつあったように感じられる。

photo 若い女性から支持を集めた「ツイキャス」。かつてのケータイブログ同様、リアルな等身大の姿をリアルタイムで配信できるのが、人気の要因となった

 中でも、LINEとともに若年女性のモバイルコミュニケーションの形を変えているのが、ライブ放送ツールの「ツイキャス」だ。ツイキャスはスマートフォンから手軽にライブ放送ができることから、自己発信欲の強い若年層からの支持を急速に集めたといえる。若年女性はかつてのケータイブログのように“等身大のリアルな姿をさらけ出す”人がネット上で人気を獲得しやすいが、ツイキャスはその人の生の声や姿を知ることができる、ある意味“究極形”だったことが、ブログに代わる自己表現の手段として人気を獲得したといえよう。

 さらにもう1つ、若い女性に急速な広まりを見せているのが、いわゆる“フリマ”アプリだ。スマートフォンのカメラで撮影してそのまま出品でき、オークションと比べ手軽に落札できるなど、気軽に利用できることが彼女達の心をつかんだようで、今年はフリマアプリが急増した年だったといえる。Google Playが今年の優秀アプリを表彰する「ベストアプリ2013」において、“ベストショッピングアプリ”部門にフリマアプリの1つ「メルカリ」が入ったことからも、その人気と注目の度合いをうかがい知ることができるのではないだろうか。

 振り返ってみれば、“ケータイ小説”や“プロフ”など、若年女性に人気のモバイルネットサービスや、そこから生まれたカルチャーが注目されるようになったのは、iモードが誕生してからおよそ6〜7年が経過した、2005〜2006年頃からだった。そして2014年は日本で「iPhone 3G」の販売がスタートした2008年から、およそ6年が経過することとなる。それだけに2014年は、女子中高生が再びモバイル・カルチャーの主役となり、アプリマーケットに大きな影響を与える存在になっていく……のかもしれない。

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