最後に、テレビCMの地域性についても触れておきたい。地上波のテレビCMは全国一律に放映されている訳ではなく、各地域のテレビ局によって、異なるCMが放映されている。全国的に放映されていると思っていたCMが、実は地域限定だったというケースも少なからずあるのだ。
その典型的な例となるのが、地域限定で提供されているキャンペーンに関するCMだ。直近の事例でいうと、ソフトバンクモバイルが「Yahoo! BB光」も対象としたセット割キャンペーン「スマート値引き」がそれに当たる。このキャンペーンは東北6県と東海4県でしか実施されていないことから、テレビCMも該当地域でしか放映されていない。
また最近では、タレントのヒロミ・松本伊代夫妻が登場する、その地域でのエリアの広さをアピールするソフトバンクモバイルのCMが、一部地域で放映されているという。
スマホアプリのCMも地域限定のものが意外と多く、例としてコロプラの「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」や「プロ野球PRIDE」など人気ゲームのCM放映に関するリリースを確認すると、その多くが放映する地域を絞っているのが分かる。キャリアと比べ資金力が弱いアプリベンダーは、投資に対して高い効果を得るためにも、CMの放映地域を、特に都市部に絞る傾向があるようだ。
逆に、都市部より地方で多くCMを放映している事例もいくつか存在する。その1つが、ガンホーの「ディバインゲート」というゲームのCM。このCMは2013年末より放映されているのだが、調べてみると関東での視聴報告は少なく、それ以外の地方で視聴したという声の方が多い。実際筆者も、年末に福島へ帰省した際、首都圏では見かけなかったディバインゲートのCMがかなりの頻度で放映されているのを見て、驚いたのを覚えている。
テレビCMは内容がその時節を表しているのに加え、時間や場所によって放映内容が変化することから、非常に奥が深いものだ。普段何気なく見ているテレビCMも、業界の背景や動向を確認しながら見てみると、意外と面白い要素が見えてくるだろう。
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