学校のICT活用のハードルを下げる、ロイロノート・スクール(2):小寺信良「ケータイの力学」

» 2014年05月26日 15時00分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 前回に続いて、今回はロイロノート・スクールがどういう仕組みなのかを、実機で動かしながら見ていこう。

 ロイロノート・スクールは、アプリ自体は無料で、現在はiOS版とWindows 8版が提供されている。先生バージョンと生徒バージョンに違いはなく、クラウドに対してどのアカウントでログインしたかによって、先生用と生徒用に機能が自動的に切り替わる。

 つまり前回で見たような生徒と先生間のロイロノート連携は、ロイロが提供するクラウドサービスが実現しているわけだ。プランとしては、1ユーザーが保存できる容量で月額料金が決まり、あとは人数分のかけ算となる。ただ、利用料はかなり安い。1人2Gバイトのスタータープランでは1人月額100円(税別)なので、年間1人あたり1200円となる。これぐらいなら、教材費として保護者負担でも納得できる範囲である。

プラン 月額利用料(税別)/ユーザー 保存できる容量/ユーザー
共用タブレット向け 40円 800Mバイト
スターター 100円 2Gバイト
シルバー 200円 4Gバイト
ゴールド 500円 15Gバイト
プラチナ 800円 30Gバイト

 容量は、1人に対して2Gバイトの壁があるわけではなく、かける人数分の容量を全員で分け合うというイメージだ。全生徒が大量に動画を撮影しなければ、1人2Gバイトでもどうにか足りるだろう。あとは生徒の習熟次第、あるいは授業への活用度次第で、上のプランに移行すればいい。

 もちろん、タブレット本体をどう手配するかという問題はあるが、ロイロノート・スクールはアカウント情報をクラウド側で持っているので、少ないタブレットを生徒間で共有することもできる。タブレットはとりあえず1クラス分で、という運用も可能だ。ただし、アカウントだけは人数分必要である。またクラウド型であれば、どこからアクセスしてもいいので、生徒がタブレットを家に持って帰って、宿題を提出するといったこともできる。

 一方クラウドを利用せず、学校内でサーバを用意して、そこにサーバーソフトをインストールするという運用もできる。ただ、メンテナンスやサーバ代金、外部のサービス利用などを考えると、学校内で閉じるよりクラウド版を利用したほうが、コスト的には押さえられるだろう。

簡単にインタラクティブな授業を展開できる

 今回はクラウドサービスを利用しているという前提で、先生用はWindows 8タブレット、生徒用にiPadを1台用意した。先生はまず、何組でどの教科の授業をやるかを選択する。教科によって機能が変わるわけではないが、資料やノートがごっちゃにならないようにフォルダ分けするという意味合いである。

photo クラスと教科を選択して授業開始

 先生用アカウントでは、授業に必要な資料を保管できる「資料箱」や、教材を生徒全員に配るか、個人に配るかのリンクが表示される。また生徒間通信のロックや、生徒のタブレットのロック、参加者の確認といった機能が表示される。

photo 先生用の画面。生徒端末のロック機能などがある
photo ロックされた生徒側の端末画面

 また先生のPCからクラウドにログインすれば、資料箱への教材の流し込みや提出物の取り出しなども、ブラウザでスピーディに行なえる。

photo クラウドにログインしたところ

 生徒側も最初に教科を選ぶ必要があるが、授業のスタート時にそんなところでグズグズしたくない。これは先生のアカウントに紐付けて、自動で授業が選ばれるようになっていたほうがいいだろう。生徒が別の授業を選んでしまった場合は、参加者一覧画面で先生側に通知される。

photo 生徒のステータスも確認出来る

 授業としては、先生が板書代わりにこれを使う方法もあるが、先生が質問を投げて生徒に回答を求める、生徒参加型のスタイルが効果的だろう。先生が質問を投げると生徒側のノートに表題として表示される。生徒はそれに回答して「先生」のところへドラッグ&ドロップすると、先生側へ送信される。複数の回答を選んで比較することも、質問から回答収集まで1つのユーザーインタフェース内でできるので、簡単だ。

photo 先生の質問とそれに対する生徒の答えを一覧で把握
photo 質問時の生徒側の画面

 Webへのアクセス機能は、デフォルトでは教科書会社やNHKなど、教材を提供しているサイトが表示される。検索にはGoogleセーフサーチがオンになっているので、原則的には怪しいサイトへは行けないが、学年ごとに細かくフィルタリングレベルを分けたいといった場合は、どこかのステップに専用のフィルタリングを導入する必要があるだろう。

photo Webアクセスでは、デフォルトでは教材提供サイトが表示される

 実際の現場では先生からいろんな要望も出てくるだろうが、現時点では一番学校側に負担をかけず、手軽に導入できるインタラクティブシステムである事には違いない。あとはこのアプリをどう使って授業を展開していくのか、先生の腕次第ということになるだろう。

小寺信良

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は、ITmedia Mobileでの連載「ケータイの力学」と、「もっとグッドタイムス」掲載のインタビュー記事を再構成して加筆・修正を行ない、注釈・資料を追加した「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)(amazon.co.jpで購入)。


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