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» 2014年06月09日 15時54分 UPDATE

小寺信良「ケータイの力学」:高校生のネット依存傾向(1)

今の高校生はネットとどう付き合っているのか。総務省の調査結果から、PCやスマホ、タブレットなどデバイス別の利用実態とSNSやゲームなどサービス別の利用傾向を考察した。

[小寺信良,ITmedia]

 2014年5月14日、総務省 情報通信政策研究所から、「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査(速報)」が公開された。

 東京大学情報学環の橋元良明教授らとの共同研究で、東京都立高校の生徒約1万5000人を対象とした、比較的大規模な調査結果である。今回はこれらの公開されたデータを元に、現代の高校生がどのようにネットと付き合い、また悩んでいるのか、そのあたりを考えてみたい。

 今回の調査では、インターネットの依存傾向を「高」「中」「低」の3段階に分けている。依存尺度は、これまでの調査でもよく使われている米国心理学者キンバリー・ヤング博士の提唱した20項目を採用している。

 このヤング基準に関しては、最近疑問の声も上がっている。そもそもこれは、アルコールやギャンブル、薬物といった依存の判定基準をネットに置き換えただけのものであること、さらにはネットを使うことはもはや現代人には避けられない事であり、生活習慣の中に深く浸透していることから、普通の人でも判定すると依存傾向が強く出てしまうという欠点がある。したがって現代社会にフィットする新しい尺度を作るべく、前出橋元教授を中心に、検討が開始されているところだ。

 したがって、ヤング基準で依存度が「高」であっても、ネットの活用度が高いとはいえるが、必ずしもネット依存として医学的な治療が必要なわけではない。今回の調査でもその点に十分留意する必要はあるものの、活用度が高い生徒と平均値を比較することで、様々な考察ができるものと考える。

photo 高校生のネット依存度を3段階で評価

 まずネット依存傾向を3段階で評価すると、全体を見ても依存度高の生徒はそれほど多くないことが分かる。傾向としては、男性より女性のほうがやや高く、学年が上がるにしたがって依存傾向は減少していることが見て取れる。これは従来の別の調査結果と同じ傾向である。

ゲームより依存度が高いSNS

 次に、利用機器について注目してみる。パソコン、スマートフォン/フィーチャーフォン、タブレット端末での1日の利用時間(分)で比較すると、スマートフォンの圧勝である。これを学年別で比較すると、パソコンの利用は学年が上がるごとに増えるが、逆にスマートフォン/フィチャーフォンは学年が下がるごとに増えている。

photo 学齢別の機器利用時間

 高校生へのスマートフォンの普及は2年ほど前から始まっているが、これにつれて所持率も学齢が下がるほど多いのではないかと考えられる。つまり、3年生はまだ1年生のときに買ってもらったフィーチャーフォンのまま子もそれなりに多いが、1年生は大抵スマートフォンである、2年生はその中間、といったことなのではないか。

 一方同じデータから、スマートフォン利用の有無で分けてみると、スマートフォンがない子のほうが、よりPCやタブレットを活用しているのが分かる。スマホがあればそれに頼るが、なければ他のものを使ってネットにアクセスするわけだ。ただこの調査は今年1月に実施されたものであり、今はそれぞれ学年が1年ずつ上に上がっている。正確なところは、継続的な調査の結果を待ちたい。

photo スマートフォン利用の有無と、機器別利用時間

 調査の速報ではタブレットの所持率などが分からないが、所持率は利用時間にはあまり関係ないはずである。学校で教材としてタブレットを導入するところも出てきているが、タブレットの有用性は、高校生にはまだ理解されていないのかもしれない。

 ではネットの利用時間の内訳はどうなっているのだろうか。男女差に注目すると、SNSの利用では、女子が男子の倍の時間を費やしていることが分かる。一方男子もオンラインゲームに関しては女子に2倍近い差を付けているが、それでもトータルでは女子のSNS利用時間には及ばない。

photo サービスごとの利用時間

 さらに依存傾向「高」と比較してみると、依存度が高い子は、男女の平均に対して、SNSを見るだけでなく、書き込み時間が顕著に高いことが分かる。すなわち相互のコミュニケーションが活発であることが、より長時間の利用に繋がっていることが伺える。

 一方で動画投稿サイトやオンラインゲームは、ちまたで言われているほど時間を費やしておらず、依存という観点ではそれほど大騒ぎする必要は感じられない。オンラインゲームは別途課金という問題があるにしても、すでにブームは過ぎたと言えるようだ。

小寺信良

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は、ITmedia Mobileでの連載「ケータイの力学」と、「もっとグッドタイムス」掲載のインタビュー記事を再構成して加筆・修正を行ない、注釈・資料を追加した「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)(amazon.co.jpで購入)。


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