インタビュー
» 2015年01月13日 11時00分 UPDATE

スマホ世代のJKが抱える問題とは? リクルートのフォトアルバム作成アプリ「picmiina」が若者の青春を守る

リクルートの「picmiina」は、女子高生をターゲットにしたフォトアルバム作成アプリ。実際にモノとしてアルバム手帳が届くという体験がイマドキの若者にとっては新鮮だと開発担当者は語る。

[村上万純,ITmedia]

 皆さんは、青春の思い出をどのような形で残しているだろうか。文化祭や体育祭、卒業式といった学校のイベントや、友達の誕生日会、恋人との思い出など、あとから振り返られるようにアルバムに写真を挟んで保存している人も多いはずだ。筆者が中学生の時も、校則で携帯電話が使えないという理由から、使い捨てカメラやデジタルカメラ片手に写真を撮っていたように記憶している。

 しかし、アナログの写真やプリクラという文化は時代とともに廃れていき、今はスマートフォンのカメラで日々の記録を大量に保存していくスタイルが大半だ。そんな時代にリクルートホールディングスは、アナログのフォトアルバム作成サービス「picmiina」を世に出した。今なぜアナログなのか? プロデューサー兼UXデザイナーである大西ラドクリフ貴士氏にアプリ開発の狙いや、サービス展開について話を聞いた。

photo 「picmiina」アプリのプロデューサー兼UXデザイナーである大西ラドクリフ貴士氏(真ん中)。女子高生たちにヒアリングを重ねてきた

女子高生が青春時代を振り返られない時代?

 大西氏は「スマホカメラで日々写真を撮りまくっている女子高生を見て、彼女たちの青春の記録は1年後には残っていないんじゃないかと思ったんです」と話す。スマホに写真を保存する日常を「現代における女子高生の社会問題」とまで危惧するには理由がある。

 「最近の女子高生たちはスマホでたくさん写真を撮って、LINEやTwitterにアップしているんですけど、案外送りっぱなしで長期的に保存されていないのが実態です。バックアップも取っていないですし、1年後、3年後に思春期で一番楽しい時間の写真が残っていないことは大問題だと思っています。そして何より、彼女たち自身がそれを全く自覚していないので、何らかの方法でサポートできないかと考えました」

 「撮った写真を整理したいけど、面倒くさい」「PCやクラウドへのバックアップの仕方が分からない」――そんな若者たちのために、フォトアルバム作成サービスpicmiinaは誕生した。もともとは、卒業アルバムを作成するためのサービスとして開発を行っていたという。

 「ネットのサービスは移り変わりが激しいですが、卒業アルバムを始めとしたアルバム類は部屋の片隅に何十年もずっと存在するものです。そんな存在になりたいと思っていますし、自分たちでオリジナルのアルバムを作っていく体験をしてほしいんです」と、ラドクリフ氏はアプリ開発の背景を語った。

 picmiinaを使えば、撮影した写真は自動で整理され、アプリ上でつながりのあるグループで共有できる。クラスの仲良しメンバーで1つのアルバムを作成していくイメージだ。作成した「ストーリーアルバム」は、コメントやタグ付け、お気に入り登録などが可能。写真に色ペンでコメントを書いたり、プリクラで写真をデコレーションしたりと、アナログ感覚で写真も飾ることもできる。

photo picmiinaの仕組み

女子高生へのヒアリングで、卒アルからフォトアルバムへ方向転換

 当初卒アル作成サービスとしてスタートする予定だったpicmiinaだが、実際に女子高生たちにアプリを使ってもらったり、意見を聞いたりする中で問題点が浮き彫りになってきた。

 「最初は、女子高生たちに毎月写真をアップロードしてもらい、卒業する3月にそれらを1つにまとめたフォトアルバムを送るというサービスを考えていました。しかし、実際にサービスを使ってもらうと、1年間写真をアップロードし続けるモチベーションがなかなか続かないんですよ」とラドクリフ氏は話す。

 そこで「発想の転換」(ラドクリフ氏)が行われた。まず最初に空のアルバムが届き、毎月お気に入りに登録した写真5枚が郵送で送られてくるというものだ。郵送された写真を女子高生たちがアルバムに入れることで毎月の更新感が出るほか、卒アルにこだわらない汎用(はんよう)性の高いフォトアルバムサービスとしてユーザーの間口を広げることもできる。また、女子高生にヒアリングをする中で、誰もがカバンの中にスケジュール帳を入れていたため、アルバムにスケジュール帳をセットして、いつでも持ち歩いてもらえるよう工夫した。

photophoto picmiinaのプロトタイプ(写真=左)。試行錯誤を経て現在の形になった(写真=右)

 女子高生たちに話を聞くと、デジタルデータで写真を保存する時代なので、モノとして思い出が残っていくことを誰もが新鮮に感じているのだという。ラドクリフ氏は、アルバムを友達に見せびらかしたくなるようなかわいくシンプルなデザインにすることで、口コミ効果でpicmiinaが話題になっていくことを狙っている。

photo 女子高生たちと一緒に企画開発を進めてきた

学校や企業とのコラボ展開でマネタイズを狙う

 こうした試行錯誤を経て、picmiinaは現在のようなフォトアルバム作成サービスとして完成した。まずは先着順に3カ月間無料で利用できるキャンペーンを実施し、ユーザーへの月額課金を行うかどうかはこれから検討していく。

 また、企業や学校と提携する方法でのマネタイズも模索する。例えば送られてくる写真に飲食店のクーポンが付いていたり、ヘアカタログのようなかっこいい写真にして美容室のロゴを入れたりなど、写真自体に広告に取り込んでいくという試みだ。そのため、「思い出に入っていてもおかしくない広告を作らないといけない」とラドクリフ氏は説明する。

 ラドクリフ氏は「picmiinaは写真を集める装置であり、写真が消えずにずっと残っているということが重要なんです」と話す。スマホで気軽に写真が大量に撮れる時代だからこそ、しっかりとモノで思い出を記録するサービスが求められているのだろう。

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