大画面化の「iPhone 6 Plus」に大満足――老眼が進んだ2014年でしたITmediaスタッフが選ぶ、2014年の“注目端末&トピック”(ライター荻窪編)

» 2014年12月24日 16時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 2013年を振り返るコラムで、いくつかのネタを提示してみたのだが、その1つが「手首争奪戦」の話。スマホの次は普段身につけるアイテム、特に手首に何かを巻かせようという方向にいきそうだったので「手首争奪戦」と書いたのだが、どうもこれの本番は2015年になりそうな案配。ライフログ系のシンプルなものとしてはJawboneの「UP3」が登場するし、ハイスペックなスマートウォッチ的なものではとうとう「Apple Watch」が登場する。2015年がちょっと楽しみ。

ドコモの“見守り”用ウェアラブル端末「ドコッチ」 シニア向けも早く出すべし

 今年登場した時計型デバイスで注目したのは「ドコッチ」。サービス開始が2015年3月なので2014年のネタに入れるべきかどうかは微妙だけど、こういう製品ってアリだな、と。

photo ドコッチ。NTTドコモの新製品発表会にて

 子供用のスマートウォッチで「GPSを使い、子供の居場所を親がいつでもつかめる」という代物なのだけど、これの本番はシニア向けじゃないかと思ったわけである。ふらっと散歩に出かけてなかなか帰ってこないおじいさんとかが身近にもいるし、連絡用にケータイを持たせようとしてもそういう習慣がないから家に置きっ放しにすることが多いという話も聞く。その世代の人は腕時計をする習慣は昔からあるので付け忘れることもないだろうし、歩数計などのライフログ系(今日は何歩歩いたとか何キロ歩いたとか、そういう話をよく聞かされるので)が結構好きだ。そこにドコッチ的な、家族が居場所をいつでも探せる機能や簡単なメッセージ機能をつけたらアリなんじゃないかと思う。

「iPhone 6 Plus」を楽しんで使っております

 2013年のこのコラムの末尾に「2014年はぜひ128Gバイト版のiPhoneを、さらにはスマホのストレージの少なさを補うのはやはりクラウドなわけで、そっち系の拡充もしていただきたいなと思う次第です」と書いたわけだが、前者がとうとう登場し、「iPhone 6 Plus」の128Gバイト版を即買いしたわけである。

photo 「iPhone5s」(左)と「iPhone 6 Plus」(右)

 でも2015年はまた64Gバイトで済むかもしれない。「iTunes Match」サービスが日本でも始まって音楽データは基本的にクラウドに置けるようになったので、容量に余裕が出てきたからだ。

 「iCloudフォトライブラリ」はいまだにβ版だけど、これがきちんと動いてくれれば古い写真をクラウドに投げちゃえるわけで、その分のストレージを開けられる。早くそうなることを期待。ただ、回線の方がちょっと厳しい。「今年はEye-Fiクラウドを使ってデジカメで撮った写真をその場にクラウドに上げるぞ」とちょっと運用したら、制限にひっかかって丸1日以上超遅い回線状況に置かれてしまったのだ。「制限にひっかかって激遅に」という叫びを今年はよく聞いたのであった。

 で、この話題に触れないわけにはいかないな、ってことで、iPhone 6 Plusのデカさについて。どうしてもネガティブ系の話題が挙がりやすいのだけれども、わたしは気に入って使っております。もう小さいのには戻れませんわ。そりゃあ、デカさのデメリットはあるけど(収納するポケットを選ぶとか、片手で操作できないとか)、メリットがそれを上回ったという感じ。

 そもそも、「iPhone 3G」から6年。端末、アプリ、サービスや回線状況も進化し、我々のスマホの使い方も変化してきたのは至極当然のことで、長く使っていると、自分がスマホに求めるものも分かってくる。通話を含むコミュニケーションが重要なのであれば「iPhone 5s」のあのサイズの方がいいだろうし、より多くの情報をやりとりしたい人や老眼の人は画面がデカい方がいい。写真を見るのにも、iPhone 6 Plusの方が圧倒的にきれい。

 で、私は街歩きをしている時にしょっちゅうさまざまな地図を見るし、写真を撮ったり見たりするし、調べ物をするし、「Evernote」に記録した細かい情報をチェックしたりするし、何より老眼である。2014年から、新潮社の新潮講座で「東京古道散歩」の講師として2〜30人ほど引率して歩いているのだが、歩きながら古地図を何度もチェックしたり、現在いる場所の過去を調べたりするようになり、街歩き用に「iPad mini」を買おうと思っていたのだ。

 でも、iPhone 6 Plusのおかげでそうしなくても済みそうなのである。ありがたいことだ。「Appleならではのデカ画面スマホのあり方を見せて欲しかった」という意見には全面的に同意するが、自分の趣味に合わないからといってわざわざiPhone 6 Plusに文句を言う人の気持ちはさっぱり分からん。ましてや、そのために今は亡き人を引き合いに出すなんて趣味がいいとは思えません。

スマホ? デジカメ? 「LUMIX DMC-CM1」

 このネタ、モバイルジャンルかデジカメジャンルかどっちにするか悩んだのだけど、やはり「スマホである」と思う。2014年度内の日本での発売(というか、正式な発表すら)はなかったけれども、2014年のトピックとして入れておきたいパナソニックの「LUMIX DMC-CM1」である。CM1はデジタルカメラとスマートフォンを合体させた製品である。カメラ部は同社のデジカメ用画像処理エンジンを別途搭載したくらい、「LUMIX」である。DMC-CM1という型番はLUMIXのものだから、パナソニック的には「デジカメ」なのだろう。

photo 自転車のサドルと「DMC-CM1」

 でもこれはスマホかデジカメかと言われれば、スマホである。デジカメであることを意識しすぎない方がいい。「超高画質な写真を撮れるスマホ」なのだ。使ってみるとそう感じるし、それがよいところなのだ。今までもニコン(COOLPIX S800c)やサムスン(GALAXY Camera)がデジカメとスマホを合体させた製品を出してきた。これらは見た目も使い勝手も「撮影時はデジカメ」「それ以外はスマホ」という製品だった。

 CM1は撮影時もそれ以外もスマホである。スマホ感覚で持ち歩き、スマホ感覚で写真を撮れる。中身はハイエンドコンデジである。1型センサーを搭載した28ミリ相当の単焦点カメラ。スナップ用としては申し分ない性能である。でも撮影時はそんなことは意識しなくていい。高機能なカメラアプリを搭載したスマホのつもりでさっとカメラを起動してさっと撮ればいい。「今はデジカメモード」「今はスマホモード」って頭を切り換える必要がなく、シームレスなのだ。ハイエンドコンデジの画質を持ちながら、スマホ感覚で撮れ、撮ったものはさくっと公開できるし、Android用のアプリを使えばその場で写真の編集/加工もできる。スマホカメラに必要なのは高倍率ズームではなく、クオリティだったのだ。

 日本でいつ発売されるか、価格がいくらになるか分からないけれども、SIMロックフリーで10万円以下で出てきたらいいなあ。パナソニックが個人向けスマホから撤退するというニュースを聞いたときは残念に思ったが、おかげでこういう面白い製品が出てくるのならそれはそれでよし。

 今年、各キャリアが音声通話をよく使うユーザーを重視する料金体系にかじを切った。来年はそこからあぶれる(つまり私のように通話はほとんどしない)人が徐々にSIMロックフリー端末に流れていくことが予想できるわけで、日本の各メーカーも爆発的ヒットにはならなくてもある種の層に強烈に訴えかけるような個性的なSIMロックフリーのスマホを作って欲しいなと思うわけである。CM1はそんな個性的な製品の先駆け的存在だと思う。

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