11月28日の時事ドットコムの報道により、日本郵便がMVNO事業への参入を検討していることがわかりました。
日本郵政グループの日本郵便が、格安スマートフォン事業への参入を検討していることが28日、明らかになった。携帯大手から通信回線を借り受け、自社ブランドの端末やサービスを低価格で提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)として、2015年度中にも事業を始める。日本郵政は15年度の株式上場を目指しており、収益拡大のために多様化を進める。
このニュースを受けて今回は、「日本郵便がMVNO事業へ参入するメリットとは?」「他のMVNO事業者との差別化のポイントは?」といった点について考えていきたいと思います。
日本郵便のお話の前に、MVNOを見る時のポイントについて。
今年爆発的に増えたMVNO事業者ですが、差別化を図るポイントは大きく分けて6つあります。
まず、「プラン」や「通信品質」に関してですが、これは同じメーカーなどから卸している可能性が高いため、自ずと価格競争になってしまっています。現に2014年の後半では、値下げや高速通信データ容量の増量などを各MVNOがこぞっておこなっていたのは記憶に新しいのではないでしょうか。
「機種」に関して言うと、メーカー系が直接MVNO事業をやる場合でないと、コスト面で大きなリスクとなることでしょう。ちなみに現時点で自社の完全オリジナルでスマホの企画販売を行っているのは、freebitやfreetelの2社。また、CCCmobileが2015年秋頃より、オリジナルスマホの販売とサービスインを目指しています。
以上のことから、事業者自身の資産や強みを活かせるのは「販路」「他サービスの提携」だと思います。
販路はそのサービスを販売・提供する場所・窓口になりますが、現在はWEBや家電量販店などが一般的だと思います。しかし、「自社にしかない窓口」があれば、他のMVNO事業者を出し抜ける可能性があります。
他サービスとの提携とは、自社が行っているサービスと、MVNO回線の提携です。楽天ポイントを付与する楽天モバイルや、IP電話サービス「050Plus」の月額基本料金が無料になるOCNモバイルONEなどがすぐに浮かんできますし、契約者に自社製のモバイルバッテリーをプレゼントするELECOMのMVNO事業・Sky Link Mobileなどもこれらに入ります。
大雑把にまとめると、プロバイダー系のMVNO事業者は「プラン」「通信品質」で勝負し、コンテンツプロバイダー系のMVNO事業者は「他サービスとの連携」で訴求している印象です。
そして今回参入が報じられた日本郵便は言うまでもなく圧倒的な数の「販路」である、郵便局があります。
調べてみた所、2014年11月末時点で全国に郵便局は20,114局、簡易郵便局も合わせると24,198局にものぼります。
例えばコンビニ最大手セブンイレブンの国内の店舗数は17,177店(14年11月末)、次点のファミリーマートでも11,146店(14年11月末)ですし、通信業界大手のドコモショップでも約2400店舗といわれているので、郵便局数「約2万」は相当な数でしょう。
また単純な数だけではなく、グループで保険事業「かんぽ生命」を行っているため、店内に契約に必要なスペースが整っているのもポイント。保険の顧客とは一定の信頼関係ができている事も想定されるため、保険業務の際に提案したら契約率も高まりそうです。さらに保険と提携したキャンペーンを打てば、「郵便局の格安スマホ」が盛り上がるのではないでしょうか。
また、現在さまざまなMVNOの主な販路である「WEB」「家電量販店」と郵便局の顧客では属性が被りにくそうです。郵便局をよく利用するシニア層をターゲットにし、FUJITSUの「らくらくスマホ」を郵便局の独自カスタマイズで出したりすれば、この層を一気に取り込めるかもしれません。
現時点で「参入を検討」以上の、具体的な話は出てきておりませんが、2015年のMVNO業界の1つの目玉になるのは間違いなさそう。今後の動きに注目したいと思います。
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