これまでのロードテストで「Nexus 6」のさまざまな特徴を取り上げてきたが、この端末最大の特徴はやはり6型のディスプレイだろう。一般的に画面サイズが5型以上7型未満の端末を“ファブレット”と総称するが、Nexus 6はこの定義に当てはまる。
スマホよりも画面が大きく、タブレットよりも持ち運びやすいので、活用できるシーンは日常からビジネスシーンまで多岐にわたる。今回はファブレットとしてのNexus 6を、さまざまなシーンで活用してみた。
まずは、“カーナビ”として使ってみた。具体的には、市街地の一般道を実際にドライブし、Nexus 6の大画面がどれくらい見やすいのかを検証した。なお、ナビゲーションには「Google マップ」のナビゲーション機能を使用した。
Nexus 6はディスプレイに有機ELを使用しているため、視野角が広い。運転席から斜めに閲覧しても、くっきりと細部が表示されるので、地図画面が見やすかった。また、端末前面にスピーカーを搭載しているので、ナビゲーションの音声が明瞭に聞こえる点も評価したい。ただし、有機ELディスプレイは太陽光が強いときに、若干画面が見にくくなるという弱点がある。画面の明るさを調整することである程度は対応できるが、この点はあらかじめ覚えておきたい。なお、1人で運転する際には、車載ホルダーを用意しておくと、安心・安全に利用できる。
Nexus 6のようなファブレットは、大画面で文章を読めるので、電子書籍リーダーとしても活用しやすい。そこで今回は、一週間ほど通勤時間などで読書をしてみた。なお、電子書籍は「Google Playブックス」でダウンロードし、標準搭載の「Play ブックス」アプリで閲覧した。
Nexus 6のサイズは新書判よりひと回り小さいので、片手で持って書籍を読める。また、動作はサクサクしていて、ページめくりの違和感は少ない。コントラストが高く、活字もハッキリと視認できるので、満員電車などでは紙の本よりも読みやすく感じた。特に縦書きで書かれた書籍は相性が良い。ただし、重さが184グラムと若干重いので、長時間使うと手が疲れた。なお、Play ブックスのウィジェットを設置しておけば、ホーム画面で手軽に書籍を選べるので便利だ。
ファブレットの長所は、自分だけでなく複数人にも画面を見せやすいことだ。少人数の会議などでは、プレゼンテーション用のディスプレイとしても活用できるだろう。むしろ、簡単なスライドなら手元で見せた方が効率的な場合もある。向かい合って座る場合なら、わざわざ大型タブレットを持ち込むより、ポケットに入れたNexus 6で資料を見せるほうがスマートだ。
ただし、スライドの作成には、難がある。ボックスの配置や、写真の挿入など、タッチパネル操作では必要以上に時間がかかってしまった。スライドの準備に関しては圧倒的にPCの方がやりやすい。Nexus 6では、あくまでスライドの閲覧をメインにするべきだろう。
スマホでPCの遠隔操作をするには、ある程度の画面サイズが望まれる。Nexus 6の高精細なディスプレイなら、細かい部分も鮮明に表示できるだろう。そこで、「Chromeリモート デスクトップ」という「Chrome」ブラウザのアドオン機能を使い、Nexus 6からPCの遠隔操作にチャレンジしてみた。まずは、PC側でブラウザを開き、アドオン機能をインストール。続いて、Nexus 6でも本アプリをインストールし、遠隔操作できるようにした。
端末を横にすると、大画面でPC画面を表示できる。拡大表示にも対応するので、使い方に慣れさえすれば細かい操作も問題ない。画像を添付したメールを作成し、送信するといった作業はスムーズに行えた。少々処理が重い作業にも対応できるのは、SIMロックフリー端末としては最高ランクのCPUを搭載しているNexus 6ならではだ。ただし、それでもまれにNexus 6側のアプリが落ちる場合があった。
しかし、ファイルの整理などは、敢えて遠隔操作で行うメリットがない。Nexus 6が実際に活躍するシーンは、会社のPCに置き忘れたファイルをクラウドにアップするなど、補助的な使用用途に限られるだろう。
大画面を搭載するファブレット端末の魅力は、スマホとしてもタブレットとしても利用できる柔軟性にある。普段はポケットに入れて手軽に持ち運びつつ、時にはPCのようなヘビーな使い方も可能だ。Android 5.0搭載のリファレンス(標準)モデルという印象が強いNexus 6だが、画面の大きさや処理能力の高さなどを生かして、さまざまなシーン活躍するはずだ。
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