AppleやSamsungとガチンコ勝負――Huaweiの「P8」「P8 max」は何が変わったのか?日本での発売は?(1/2 ページ)

» 2015年04月18日 21時06分 公開
[山根康宏ITmedia]

 4月15日、HuaweiはロンドンのOld Billingsgate The Grand Hallで新製品発表会を開催した。金属ボディを採用した美しいデザインの「P8」と「P8 max」は、いずれもスタイリッシュかつハイスペックな同社のフラッグシップモデルと呼べる製品だ。

デザインと機能を融合させた最上級モデル「P8」

 Huaweiは毎年、夏シーズンに向けて、同社のフラッグシップに位置づけられる「Pシリーズ」の新製品を発表してきた。今回は2014年5月に発表した「Ascend P7」よりも約1カ月早く新製品を発表。しかもP7の後継モデルといえる「P8」に加え、大画面モデルの「P8 max」の2つの製品を投入する。これは販売が好調なAppleの「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」や、4月から世界各国で販売が始まったSamsungの「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」へいち早く対抗する目的もあるのだろう。なお、2015年から同社のスマートフォンは「Ascend」ブランドを取りやめ、今回の新製品も「Huawei P8」「Huawei P8 max」というモデル名のみとなっている。

photophoto Huaweiの新製品発表会場となったロンドンのOld Billingsgate(写真=左)。「P8」1モデルだけと思われたが、「P8 max」と合わせ2モデルが発表された(写真=右)

 P8は同社の2015年の「顔」ともいえる製品となるべく、前モデルのAsecnd P7から多くの進化を遂げている。その進化は「デザイン」「カメラ」「コネクティビティー」「ユーザービリティー」の4つ。中でも最も力が入行っているのがデザインだ。HuaweiのコンシューマービジネスグループCEOのリチャード・ユー氏も「本日は世界でも最も美しい製品を発表する」とP8を形容し、デザインにも注力した製品であることを大きくアピールした。

 Huaweiのモバイルデザインチーム・ヘッドのキム・ジュンス氏は「P8は先進のテクノロジーと洗練されたデザインが融合された新世代のスマートフォンだ」と語り、機能、デザインどちらも最高の製品であることに自信をのぞかせた。本体はアルミ合金製のユニボディで、直線と曲線のデザインをうまく融合させたという。また一体化されたボディは6.4ミリという薄さながらも強度を確保。ディスプレイにはゴリラガラス3を採用した。サイズは72.1(幅)×144.9(高さ)×6.4(奥行き)ミリ、重量は144グラム。

 金属の質感を生かすべく、カラーバリエーションはメタリック系の4色を提供。ミスティックシャンパン、プレスティージゴールド、チタニウムグレイ、カーボンブラックのいずれもプレミアム感のある上品な色合いとしている。このように高いデザイン性を持ったP8だが、美しい見た目だけではなく本体のサイズ感もよりコンパクトになっている。P8のディスプレイサイズは5.2型だが、それよりもワンクラス下の製品のように、手にしっかりとフィットする形状になっているという。

 ヘッドフォンなどのアクセサリーも、プレミアムなデザインとしたほか、パッケージも本体を縦に入れるタイプで、まるで本棚から書籍を出すようにP8を取り出せるそうだ。そのパッケージのフタは半透明でシックな色合いのプラスチック製だ。製品を購入し、パッケージを手に取った時からP8の高級感を味わうことができるのである。

photophoto P8は4つの大きな製品特徴を持つ。優れたデザインも大きな魅力だ(写真=左)。P8を発表するリチャード・ユーCEO(写真=右)
photophoto デザインチームのキム・ジュンスヘッドはP8をテクノロジーとデザインの融合と話す(写真=左)。4.7型のiPhone 6と変わらない握り心地だという(写真=右)
photophoto 金属の特性を大きく生かした4つのカラーバリエーション(写真=左)。まるで書棚に入れられた本のように、P8はパッケージの中に縦向きに入れられている(写真=右)

カメラは大幅に強化、スマホとしての性能も進化

 機能面での大きな進化はカメラだ。P8のカメラ解像度は1300万画素だが、RGBの光の3原色に加えW(ホワイト)を加えたRGBWの4色処理が可能で、より鮮やかな色再現が可能だ。それに加えてiPhone 6 Plusの倍の補正角に対応する光学式手ブレ補正も搭載。さらには台湾AltekのISP(画像処理プロセッサ)を搭載。その結果、肌色はよりきれいに、また室内など暗いシーンでもよりきれいな撮影結果が得られるという。

 カメラを「楽しく」使う機能としては、暗闇で光の軌跡を描くようなエフェクトをかけられる「ライト・ペインティング」を搭載。4月27日からはInsatram上で画像処理を楽しむためのキャンペーンを開催する。ほかにはP8を含め最大4台のスマートフォンのカメラを連携させ、4つの異なるアングルから撮影したビデオを合成する「ディレクター・モード」も搭載。複数の友人が集まった時にそれぞれのカメラを使い、ちょっとした映画のようなビデオを撮影できる。結婚式やスポーツのショートムービーを作るのが楽しくなりそうだ。

photophoto 光学式手ブレ補正はiPhone 6 Plusの倍の補正角に対応(写真=左)。世界初というRGBWの4色対応のイメージセンサーを搭載(写真=右)
photophoto AltekのISPにより、暗いシーンや高コントラストの状況でも撮影を苦にしない(写真=左)。4フレーム合成撮影は室内撮影に威力を発揮する(写真=右)
photophoto Instagramでライト・ペインティング効果のキャンペーンも開始する(写真=左)。4つのスマートフォンで動画を同時に撮影して合成できるディレクター・モード(写真=右)

 P8はスマートフォンとしての機能もしっかりと進化している。本体の上と下に内蔵したデュアルアンテナを、感度に応じて自動で切り替える「Signal+」、複数のWi-Fiアクセスポイントの中から感度の高いものへ自動で切り替える「Wi-Fi+」が、優れた通信環境を提供してくれる。また海外へ行った際に、飛行機を降りてもなかなかローミングの電波をつかまないことが多々あるものだが、P8の「Roaming+」機能では、従来のスマートフォンより3分の1の時間で現地のネットワークをつかめる。

 旅行の多い人や、複数の回線を併用している人のために、P8ではシングルSIMカードモデルに加え、デュアルSIMカードモデルも提供される。デュアルSIMカードモデルは2つのスロットのどちらもがLTE/3G対応となるため(排他仕様で片側は常に2G)、SIMカードを入れ替える必要なく常に高速な通信環境を自分の好みのSIMで利用できる。なお、本体右側面にはmicroSDスロットを2つ備えるが、シングルSIMカードモデルは「SIMカードスロット+microSDスロット」、デュアルSIMカードモデルは「SIMカードスロット+SIMカードスロット/microSDカード兼用スロット」となる。SIMカードサイズはいずれもnanoSIMだ。

photophoto 本体の上下に2つのアンテナを配置。感度の良い方を自動的に切り替える「Signal+」(写真=左)。Wi-Fi感度が悪くても手動で再サーチや切り替えが不要になる「Wi-Fi+」(写真=右)
photophoto 飛行機を降りたのに、なかなか電波をつかまず、急な連絡が取れずに困る人も多いだろう。「Roaming+」なら、従来比3分の1の時間で電波をつかむ(写真=左)。デュアルSIMカードモデルはスマートフォン2台持ちを解放する。なお片側は4G/3G/2G通信、もう片側は2G通信で固定される(写真=右)

新しいUIや機能、アクセサリーも充実

 操作やユーザーインタフェース面でも新たな機能が追加されている。その中でも指を曲げた関節部分で画面をタップするとスクリーンショットが取れる「ナックル・センス」は、スマートフォンの画面に表示された情報を手軽に素早くクリッピングできる。複数の指を使ったり画面の特定部分をタッチする必要が無く、「指を曲げる」という動作は簡単で覚えやすいという。

 一方、音声を使った新機能にも注目したい。スマートフォンを自宅内のどこかに置き忘れてしまい、探してもなかなか見つからないことはよくあることだ。P8の「Voice Wake up+」機能なら、あらかじめ設定しておいた掛け声をかけると、スマートフォンが認識して音と音声で「ここにあるよ」と教えてくれる。この機能はスマートフォンがスリープ状態やマナーモード中でも動作する。

 特徴的なアクセサリーも用意される。E-ink coverは4.7型のEインク画面を搭載したカバーで本体の背面に装着する。電子書籍を読んだり、スケジュールなどをこの画面で確認したりできるという。本体の画面よりも電力を食わないため、長時間読書をするときにこのカバーを使えば、P8の利用時間を延ばせるというわけだ。

 本体は特殊なナノコーティングで覆われており、日常生活レベルの防水機能を有する。本格的な防水機能ではないものの、キッチン周りでの利用や屋外で急に雨が降ってきたときなどに、安心して使えるだろう。

photophoto 指を曲げて画面タップでスクリーンショットを取るナックル・センス(写真=左)。部屋の中でP8が行方不明になっても、声をかければ音で反応する(写真=右)
photophoto Eインクを搭載したカバーも発売される。電子書籍や漫画を読むときは、こちらを使うのもよさそうだ(写真=左)。本体はナノコーティングによる防水対応(写真=右)
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