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» 2015年04月22日 17時30分 UPDATE

「キーワード頭出し ボイスレコーダー」で記事執筆の効率化なるか? とある編集部員の場合

カシオのiPhone用録音アプリ「キーワード頭出し ボイスレコーダー」。聞きたいフレーズを入力すると、録音データから素早く検索し再生してくれるという。記事を書く効率が上がるのか使ってみた。

[平賀洋一,ITmedia]

 仕事やプライベートを問わず、日常のちょっとしたメモをスマートフォンのカメラで撮影する機会が増えてきた。ビジネスシーンであれば、メモだけでなくホワイトボードの板書や名刺などを静止画で残したり、プレゼンテーションや勉強会の一部を動画で記録して、メンバーとシェアするなんてことも多い。

 カメラだけでなく、タッチパネルを生かした手書きメモや、クラウドサービスと連携したスケジュール管理、そして電卓など、身の回りのステーショナリーグッズが今やスマホ1台に集約されようとしている。そしてスマホに備わっている便利機能の中で忘れてならないのが、ボイスレコーダーとしての使い方だ。

photo ビジネスツールとして欠かせない存在になりつつあるiPhone

 常に持ち歩き、マイクもスピーカーも付いている。そして大きなバッテリーを搭載したスマホは、ボイスレコーダーとしても優秀なデバイスだ。ICレコーダーなどの専用機と比べると、目的に応じてアプリを入れ替えられ、さまざまな録音機能を使えるのも大きな違い。当然ながら通信機能も備えているため、録音データが取り回ししやすいのも特徴だ。

「キーワード頭出し ボイスレコーダー」とは

 カシオ計算機が3月26日にリリースしたiPhone向けアプリ「キーワード頭出し ボイスレコーダー」(4月30日まで360円、通常価格600円)も、そうしたスマホ向けレコーダーアプリの1つ。名前の通り、録音したデータの頭出しを“キーワード”で行えるのが、ほかのボイスレコーダーアプリやICレコーダー専用機との違いだ。

photo iPhone用「キーワード頭出し ボイスレコーダー」
photophoto 「キーワード頭出し ボイスレコーダー」の録音モード画面

 例えば議事録を作るために1時間の会議を録音したとして、後から1時間のリアルタイムできっちり聞き返すことは少ない。例えば売上報告やスケジュールの確認など、重要な場面のみを聞き返すというのが普通だろう。その聞きたい場面を探すには、これまでは会議の経過時間を頼りに早送り/早戻しするか、録音中にインデックス(記録点)を入れておく必要があった。録音時間が伸びれば伸びるほど、その手間も増えていくのが実情だ。

 キーワード頭出し ボイスレコーダーでは、「売上(うりあげ)」や「スケジュール」といった会話の中のフレーズを入力すると、その発言があった部分を検索。その発言部分からすぐに再生できる。録音時間の長さに関わらず、後から必要な発言のみをスパっと切り出せる。

photophoto ライブラリモードに切り替えると、録音データをリストで表示する(写真=左)。再生画面に検索フォームがあるのが新鮮だ(写真=右)

 その仕組みはこうだ。調べたいキーワードをひらがなかカタカナで入力すると、そのキーワードを「音声特徴化」する。録音した音声に対しても先頭から音声特徴を抽出し、キーワードの音声特徴と比較することにより、キーワードの発言に似た部分を探して検索結果としてリストに表示してくれる。

 この検索を高速に行えるようにするため、録音中に音声特徴を抽出し、後から検索するための音声特徴の検索インデックスを作成して残している。カシオは、検索に必要な音声特徴のみを捉えることで、録音中にリアルタイムで検索インデックスを作成可能にしつつ、精度を維持した検索ができるようにしたという。こうした処理はスマホ内で完結しており、通信を介したクラウドでの処理は使っていない。この高速化には電子辞書に搭載されている音声圧縮技術の開発経験が生かされているという。

取材で使ってみた

 ボイスレコーダーをよく使う業種と言えば、記者や編集者などのマスコミ関係。当ITmedia Mobile編集部でも、取材やインタビューなどで日常的に利用している。例えば自分の場合、普段は専用のICレコーダーを使っているが、キーワード頭出し ボイスレコーダーの登場をきっかけにiPhone 6 Plusでの録音に全面的に切り替えてみた。

photo ICレコーダーから、iPhone 6 Plus+「キーワード頭出し ボイスレコーダー」に移行してみた

 リリースから約半月で10件近い取材で利用しているが、いわゆるテープ起こしにかかる時間が劇的に減るなど、その効果はめざましい。例えば発表会の記事を書く場合、登壇者の発言から重要な所だけを再確認するなどの手間がかなり減った。

photo とある発表会で使っているところ

 具体的な事例として、先日行われたITmedia Mobile主催の「格安SIMタッチ&トライイベント」の様子を録音してみた。イベントでは石野純也氏による講演や弊誌編集長とのトークセッションが行われたが、「通信速度(つうしんそくど)「料金(りょうきん)」「SIMロック(しむろっく)」など、気になるフレーズが出てくる部分をすぐに聞き返すことができる。今までは発言があっただいたいの時間を目安に、前後の話の流れを聞き流しつつ目当ての場所を早送りで探していたが、このアプリならキーワードを入力することですぐに頭出しが可能だ。

 その精度は(録音環境にもよるが)かなり高い。ただし完璧ではないため、似た発音が検索されたり、波形的には似ていても人間の耳には全く違う発音に聞こえるものも検索結果として表示される。特に「SIM(しむ)」などの短い発音だけだと、その傾向が強いようだ。インターネットの検索エンジンと同じように、関連するキーワードをうまく指定する必要があるだろう。

photophoto 「格安SIMタッチ&トライイベント」トークセッションの録音から、「しむろっく」で検索。かなりの精度でSIMロックに関する発言を拾ってくれる

 録音音質は通常録音(16kHz、IM-ADPCM)と高品位録音(48kHz、リニアPCM)の2つモードから選択できるが、記事録や取材なら通常録音で十分だろう。再生時にノイズを低減する機能のほか、再生速度の変更(0.5〜3.0倍)や指定秒数(1〜200秒)ごとにスキップする機能や、無音部分をスキップする機能も備わっている。インデックス機能では普通のタグ付けに加え、用意されたマークや、テキストメモ、そして撮影した写真を記録することもでき、有料アプリということもあって普通のボイスレコーダーとして専用機並みの機能を持つ。

photophoto もっと絞り込むため「しむろっくかいじょ」と長めのフレーズにいれてみた。さすがにちょっと時間がかかるが(写真=左)、しっかり検索してくれる(写真=右)

 ということで、今のところ大きな不満点はないが、録音が連続2時間で止まることには注意したい。すこし長丁場の会議や講義では、ところどころで録音しなおす必要がある。またキーワード検索の結果はマッチする順番に出るため、時系列順ではない。重要なフレーズを拾いつつ、話の流れを沿っていきたい場合はちょっと不便だ。また録音した音声ファイルから、不要な部分を削除するような簡単な編集機能も欲しいと感じた。

photophoto ホームに戻っても録音は続く(写真=左)。アプリで録った音声は、共有メニューからクラウドサービスやAirDropが使えるMacに転送できる

ボイスメモの活用に欠かせないかも

 カシオによると、ICレコーダーの専用機やボイスレコーダーアプリを使い始めたものの、結局聞き返すことがなく、録音した情報を活用できていないケースが多いという。先に説明した通り、早戻しや早送りをしても目的の発言までたどり着くのに時間がかかるためだ。

 その点キーワード頭出し ボイスレコーダーを使えば、目当ての情報に少ない労力でたどり着く。ビジネスはもちろん学習シーンでも大いに役立つだろう。またすでに録音した音声も、iTunesやクラウドサービスを経由することでアプリに取り込み、キーワード検索にかけることができる(検索用インデックスの作成に、録音時間の半分程度の処理時間がかかるが)。

 アプリは今のところiPhoneでしか対応しないが、スマホ以外で録音した音源も活用できる。ビジネスだけでなく、外国語の学習などでも威力を発揮するだろう。ボイスメモの活用を目指している人にはぜひ使って欲しいアプリだ。

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