日本エイサーは10月21日、日本のスマートフォン市場へ本格的に参入することを発表した。その第1弾として、Android 5.1を搭載するSIMロックフリースマートフォン「Liquid Z530」を11月13日に発売する。
同社は、ブックオフのMVNOサービス「スマOFF」用に「Liquid Z200」を2015年1月から販売している。Liquid Z530では、販路を大幅に拡大し、通販サイトや大手家電量販店などでも購入できるようになる。
日本エイサーは、Liquid Z530を皮切りに、AndroidやWindows 10 Mobileを搭載するスマホを順次発売するという。なぜ、競争が激しくなりつつあるタイミングで日本市場に参入するのか。Liquid Z530の発表会で、日本エイサーのボブ・セン社長と、台湾Acerのスマートプロダクトビジネスグループ プレジデントのエス・ティー・リュウ氏がその狙いを語った。
日本エイサーがこのタイミングでスマホ本格参入を決めた理由を考えるヒントとなる言葉が、セン氏・リュウ氏から出た「1 to 100(1から100まで)」という言葉だ。
Acerは47カ国でさまざまなICT機器を販売している。「1 to 100」は、1型画面のウェアラブルデバイスから、100型画面相当の表示ができるプロジェクターまで、さまざまな画面サイズのデバイスをAcerが取り扱っていることを形容しているのだ。
Acerでは、「1 to 100」をつないで、シームレスに物事をこなせるようにする仕組みを製品に取り入れている。このシームレスな体験を、Acerでは「Acer Experience(エイサー体験)」と呼んでいる。AcerのAndroidスマホをPCから操作できる「AcerEXTEND(エイサーエクステンド)」機能は、Acer Experienceの分かりやすい例だ。
「1 to 100」をより強固につなぐ上で、日本市場で決定的に足りないものがスマホだ。日本のスマホ市場に本腰を入れることは、Acer Experienceをより完璧に近い形で日本にもたらすことにつながるのだ。
ただ、日本エイサーのスマホ本格参入は、中国や台湾のスマホメーカーの動きを見ていると、ちょっと遅いような気もする。実際に、「エイサーは日本(のスマホ)市場に今更参入するのか」(セン氏)という声が、複数のメディア関係者から寄せられたという。
中国・台湾のライバルはもちろんではあるが、昨今のMVNOサービス(格安SIM)の普及も相まって、国内メーカーもSIMロックフリースマホに力を入れ始めている。SIMロックフリースマホを巡る競争は、非常に激しい状態だ。生半可な決意でこの市場に参入しても成果を得ることは非常に難しいだろう。
そんな日本のスマホ市場について、セン氏は「非常に成熟された市場だが、これからより変革され、面白く活性化されていく」と分析。その上で、「日本エイサーも(日本のスマホ市場の変革と活性化に)一役買いたい」と、力強く宣言した。
Liquid Z530以降の商品展開については、本格参入第2弾となるスマホが既に決まっていることと、Windows 10 Mobileを搭載するハイエンドスマホ「Jade Primo」の日本市場投入を検討していることが明らかになった。
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