インタビュー
» 2016年01月08日 19時00分 UPDATE

CES 2016:日米攻略が鍵を握る、Huaweiのスマートフォン事業トップが語るグローバル戦略

世界市場でシェア拡大を続けるHuaweiだが、スマホ市場はすでに飽和し、大きな成長は望めないという声もある。日米市場をどう攻略するかなど、今後の端末戦略を聞いた。

[佐野正弘,ITmedia]

 1月6日に開幕した「CES 2016」(米・ラスベガス、現地時間)で新しいフラッグシップモデル「Mate 8」などを発表し、シェア拡大を進めるHuawei。スマートフォン市場の飽和傾向が叫ばれる中、同社はどのような戦略で市場開拓を進めようとしているのか。グローバルでのスマートフォン事業を取り仕切っている、ハンドセットプロダクトライン プレジデントのケビン・ホー氏に話を聞いた。

グローバルで世界3位に、シェア拡大に向け積極投資を継続

 CESでの新製品発表を控えるスマートフォンメーカーが増える中にありながら、攻めの姿勢を継続しているのが中Huaweiだ。同社は今回のCESに合わせて、中国で発売している最新のフラッグシップモデル「Mate 8」のグローバル展開を発表したほか、サウンドやペン操作に力を入れたタブレット「Media Pad M2 10.1」、女性向けのウェアラブルデバイス「HUAWEI WATCH Jewel/Elegant」、そして「Nexus 6P」の新色となるマットゴールドモデルを発表した。

 しかしグローバルでもスマートフォン市場は飽和傾向にあり、従来のように大きな拡大は見込めなくなりつつある。Huaweiの端末事業をグローバルで取り仕切っているケビン氏も、「市場全体の規模は依然として大きいが、スマートフォンの伸び率は下がってきている。その影響から、業績を大きく落とす企業も出てきているようだ」と話しており、市場の成長性が落ちてきていることを肌で感じ取っているようだ。

CES 2016のHuawei 発表されたばかりの「Mate 8」を手にし、インタビューに答えるケビン氏

 そうした状況にありながらも、ケビン氏は「ビジネスを発展させるためにも、Huaweiはスマートフォン事業の投資を拡大し、積極的に攻めることで業績を伸ばしている」と話す。確かにHuaweiはグローバルでのシェアを年々拡大しており、2015年に1億800万台のスマートフォンを販売。2015年10月時点でのGFKのデータでは、9.7%の市場シェアを獲得。サムスン、アップルに次ぐ3位にまで伸びてきている。

CES 2016のHuawei GFKのデータによると、2015年10月時点でHuaweiは9.7%の市場シェアを獲得している

 そこでケビン氏は、次のステップとして「グローバルでのシェア15%の獲得を目指したい」と話し、そのためにも積極的な投資を継続する方針を示している。具体的には、優れた製品を投入するためのR&Dや、パートナー企業の協業強化、そして販売チャネル開拓や、プロモーションやマーケティングへの投資に力を入れていくとのことだ。中でもプロモーションに関しては、幾つかのスポーツクラブのスポンサーを継続的に実施しているほか、一部の国ではテレビCM展開も始めているそうで、その積極性をうかがい知ることができる。

最新フラッグシップ「Mate 8」はカメラに注力

 Huaweiは、先に触れた通り今回のCESで4つの製品に関する発表を実施している。中でも力が入れられていたのは、スマートフォンのフラッグシップモデルであるMate 8だ。これは日本でも発売された「Ascend Mate7」の後継となる、6型ディスプレイを採用したスマートフォン。ケビン氏はその特徴について、最もアピールしたいのは大画面ながらコンパクトであること、バッテリー持続時間が非常に長いことなどを挙げているが、中でも「消費者に気づいて欲しいのはカメラ撮影機能だ」と、ケビン氏は話している。

 「カメラ機能は多くのユーザーが利用している機能であるため、市場リサーチにおいても多くのユーザーがカメラに期待していることが分かった」と、ケビン氏はカメラ機能に注力する理由について話している。そうした中でも消費者から人気を獲得した機能の1つとして、流れる水をシルクのように滑らかに撮影できる「ウォーターシルク」という撮影モードがあると、ケビン氏は話す。

CES 2016のHuawei 水の流れをシルクのように表現する「ウォーターシルク」モード。最新の「Mate 8」にももちろん搭載されている

 また新発表の中で注目されるのが、「Nexus 6P」の新色を新機種と並ぶ形で発表したことだ。このことは、Huaweiがまだ存在感を示すことができていない、米国市場を強く意識した取り組みであるようにも感じる。

 この点についてケビン氏は、「Nexus 6Pは米国だけでなく、世界中で販売されている。しかもゴールドは世界中で人気の色であることから、今回はあくまで世界各地でのニーズを取り入れたものになる」と答えている。しかしながら一方で、「米国でもゴールドは人気が高い。新色で好調な業績を打ち出せるよう取り組みたい」とも話しており、米国市場に向けても、新色の追加が意味のあるものと考えているようだ。

CES 2016のHuawei 「Nexus 6P」の新色となるマットゴールドモデルは、発表会でもMate 8などの新製品と同列に扱われていた

開拓が進んでいない日米市場の鍵とは

 ではHuaweiとして、米国市場に向けてはどのような取り組みで市場開拓を進めようとしているのだろうか。ケビン氏は「米国は重要な市場だが、ビジネスはまだ初期段階。そこで人材への投資だけでなく、マーケティングや販売チャネルへの投資を拡大していく」と話し、販売面での取り組みを拡大させる考えを示している。

 投入する端末に関してはどのように考えているのか。今回発表されたMate 8に関しても、日本同様米国でも当初は販売がなされないことから、米国市場での販売拡大をどのように進めるのか、非常に気になるところだ。

 この点に関してケビン氏は「GoogleとNexus 6Pを展開しているが、このモデルが示す通り、米国ではハイエンドモデルを主体として投入していく予定だ」と話しており、米国で浸透しているグーグルのブランドが生かせるNexus 6Pを主軸に、ハイエンドモデルに力を入れる方針を見せている。

 そしてもう1つ、米国市場攻略の鍵として挙げられたのが、ネット通販専門の「honor」ブランドの米国展開である。実はHuaweiはCESに合わせて、米国のメディア向けにhonorシリーズの最新機種「honor 5X」も発表。今後米国でhonorブランドを積極展開する可能性を示唆している。ケビン氏は「honorブランドでNexus 6Pをベースとしたミドルレンジのモデルを投入する可能性もある」とも話しており、ハイエンドモデルのNexus 6Pと、ミドルクラスを主体としたhonorの2ブランド展開で、米国での浸透を図りたい考えのようだ。

CES 2016のHuawei honorシリーズの最新モデル「honor 5X」もCESに合わせて発表。5.5インチのディスプレイを備えたミドルクラスのモデルで、米国のamazonでは199.99ドルで販売されているようだ

 では米国同様、市場での存在感がまだ大きいとはいえない日本市場での取り組みについてはどのように考えているのだろうか。ケビン氏は日本市場に関して、「日本でのスマートフォンニーズが今後の業界の方向性を決める、影響力のある非常に重要な市場だ」と話す。それだけに日本市場での投資拡大も進めており、2015年には「P8 Lite」の販売が好調に推移するなど、SIMロックフリー市場での実績も出てきているという。

 その一方で、「日本市場は非常にユニーク。私が知る限りAppleのスマートフォンだけで60〜70%の市場シェアを占める」(ケビン氏)など、iPhoneが圧倒的に強い日本市場の開拓には難しさが伴うとのこと。そうした状況を変えるためにも、ケビン氏はデザインに工夫した製品を投入する必要があるのではないかと、考えているようだ。

 ケビン氏は今後の端末事業について、「短期間のうちに出荷台数世界2位を目指す。長期的には1位を目指して攻めていきたい」と、シェア拡大に向け強い意欲を見せた。開拓が進んでいない日米市場を攻略し、AppleやSamsungのシェアを超えることができるのか。今後の端末戦略とその手腕が注目される。

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