KDDIは4月から、新しい金融サービス「auのほけん・ローン」を開始する。ネットや一部の店頭を通じ、ライフネット生命保険の生保、au損害保険の損保、じぶん銀行のローン商品を取り扱う。
商品は「auの生命ほけん」「auの損害ほけん」「auのローン」とauブランドで展開するものの、その内容や保険料、利率などは提供する各社と同一。au以外のユーザーでも加入できるが、auユーザーにはセット割りや特典の提供を予定している。
申し込みはスマートフォンやPCから行う。またローンや保険の販売資格を持つスタッフが相談に乗る専用のコールセンターも設置。「au SHINJUKU」などの直営店にも専用窓口を設けるが、それ以外の店舗では予約に応じて販売資格を持つスタッフを派遣する。
保険・ローンの取り扱い開始についてKDDIの高橋誠専務は、「一人一人の生活に密着した金融サービスを提供し、au経済圏の拡大を目指すため」と説明した。2014年2月に開始した決済・ポイントサービスの「au WALLET」は1810万枚(2015年末、クレジット含む)となり、店頭で申し込むECサービス「au WALLET Market」の会員も170万人を突破。順調に推移している。
一方、単身世帯の増加など生活様式の多様化が進んでおり、高橋専務は「au経済圏のさらなる拡大には、持っている金融サービスの活用が不可欠。スマホとセットで安くなるauでんきも開始するが、2016年は『家計見直しの年』と位置付け、金融サービスを再編集する」と述べた。
KDDIは2011年に電子マネーのWebMoneyに出資し、現在は完全子会社化している。au WALLETはWebMoneyのサービス基盤の上に成り立っており、同社が展開する金融サービスの要といえる存在だ。また2008年には東京三菱UFJ銀行と共同でじぶん銀行を設立、2010年にはあいおいニッセイ損保とau損保を立ち上げ、2015年にはライフネット生命に出資するなど、幅広い分野で金融サービスに取り組んできた。
高橋専務は「今でこそFintech(フィンテック)と呼ばれ、注目されているITを使った金融サービスだが、こうして振り返るとKDDIもスマホ連携の金融サービスを展開し、早くからFintechの準備をしていた」とコメント。特にライフネットが提供する生保については、「Fintechでインフラや人員のコストが下がり、安価な金融商品を提供できる。審査時に必要な書類もスマホで撮影して送るなど、自宅で申し込めるため利便性が高い。また支払いも最短2日と、手続きの処理が速いのも特徴だ」と、Fintechのメリットを強調した。
ただ生保や住宅ローンなど、契約期間が長く金額も大きい金融商品を、PCのみあるいはスマホのみで申し込むには不安もある。そこで生きてくるのが、有資格者による専用窓口や一部店舗での応対だ。リアルな窓口を設けていることが、他のネット直販型商品との大きな違いだという。
具体的なセット割りの内容は調整段階とのことだが、auでんきのようにポイント還元という方法も考えられるとのこと。ただ商品柄、高額な割引は期待できない。高橋専務は「住宅ローンを数百円割引しても……という声は社内でもあった。しかし、セット割りを入り口に、低コストなauの保険やローンを知ってもらう意義はある。またauブランドなら安心してもらえるだろう。通信サービスと合わせて、ライフスタイルの変化に応じた金融サービスを展開したい。末永くご利用いただければと思う」と意気込みを語った。
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