海外メーカーの携帯電話を1500台以上所有する筆者のコレクションから、過去の懐かしい製品を振り返る「懐かしの海外ケータイ」。今回はMotorolaが2002年に発売した、ベゼル回転式携帯電話「V70」を紹介します。
テンキー部分を隠した携帯電話は、フリップ式のカバーでテンキー部分を覆うスタイルが一般的ですが、V70はテンキーを隠すフリップ部分を180度回転させるという、デザイン性とギミックを兼ねそろえた意欲的な製品でした。
当時の世界の携帯電話市場はNokiaが抜け出し、Motorolaが後を必死に追いかけるという状況。Nokiaが小型アンテナレス端末を次々と出して人気を高める中、Motorolaはアルミボディーの折りたたみ型端末など高級路線にも手を出します。V70は今までになかったエレガントなスタイルを取り入れた携帯電話として、世界中のセレブから注目を集めました。
最大の特徴はディスプレイを縁取る円形のベゼル。そのベゼルの下部に発着信ボタンを備えています。ベゼルと一体化したフリップ部分を回転させるとテンキーが現れます。回転角度は自由な位置で止めることが可能で、端にスピーカーを内蔵しました。自分の顔の最適な位置にスピーカーを配置できるという、優れた設計でもあったのです。
写真ではテンキー部分にテカりや白点が見えますが、これは残念ながら素材の経年劣化によるもの。新品はトランスルーセントの深いブルーの樹脂素材で、当時流行していたiMacに影響を受けたものでしょうか。着信があるとフリップを回して電話を受ける、その姿は誰もがうらやましがるものだったに違いありません。ここまでデザインを意識した製品は他社にはなく、Motorolaのブランドイメージのアップに貢献しました。
ディスプレイ表示はモノクロで、黒字に白文字のELパネルはシンプルな表示でV70のデザイン性をさらに高めてくれます。テンキー部分も背面バックライトで光ります。そしてベゼル部分は着せ替えパーツがあり、ゴールドなど別の色やデザインのものに交換できました。
翌2003年にはカラーディスプレイを採用した「V80」を発表しますが、機能優先でやぼったいデザインとなってしまい人気は出ませんでした。とはいえ、2004年にはアルミボディーの大ヒットモデル「RAZA V3」が発売されます。V70の後継機はデザインが異なるものの、このV3かもしれません。ベゼル回転式モデルはその後2008年に「Aura」を出すものの、既にiPhoneが登場して市場の関心はスマートフォンへと移行し始めていたため、あまり注目を集める存在にはなりませんでした。
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