世界を変える5G

ソフトバンクが都内で「28GHz帯」の5G実証実験を開始 商用サービスを前提に

» 2018年12月05日 16時50分 公開
[井上翔ITmedia]

 ソフトバンクは12月5日、5G(第5世代移動体通信システム)で使われる予定の28GHz帯の電波を利用した実験試験局免許を取得したことを発表した。今後、ノキアソリューション&ネットワークスとエリクソン・ジャパンの協力のもと、品川エリア(東京都港区の品川駅付近)や渋谷エリア(東京都渋谷区の渋谷駅付近)において、より一般的なユースケースを想定した実証実験を随時実施する。

実験の概要 実証実験の概要。実験試験局は品川・渋谷の他、芝大門エリア(東京都港区の浜松町駅周辺)でも取得している

ミリ波に近い電波を利用→課題を抽出→商用化へ

 日本では、5Gに向けて3.7GHz帯、4.5GHz帯と28GHz帯の電波が通信事業者に割り当てられる予定となっている。

 これらの帯域のうち、28GHz帯は「ミリ波」と呼ばれる30GHz超の電波と同じく、障害物に弱く回折しづらいという問題を抱えている。しかし、5Gにおいてより高速な通信を実現するには、このような高い周波数帯の電波も活用しなくてはならない。

割り当て 日本では3.7GHz帯、4.5GHz帯と28GHz帯を5G用に割り振る予定(総務省資料より:PDF形式)

 従来の5Gにおける実証実験では利用シーンや適用業種を絞ったものが多かったが、今回の同社の実験では、商用サービスを想定して、一般的な利用シーンを踏まえた検証を行うことでミリ波(に近い電波)で通信サービスを提供する際の課題を抽出し、安定した商用サービス提供につなげる狙いがある。

実験の目的 今回の実験の目的

実験の様子

 発表に合わせて、同社は品川エリアで実施した実験の内容を報道関係者に披露した。

 品川エリアでは品川駅の西側に実験試験局を設置。そこから約120m離れた建物と、線路を挟んで約450m離れた説明会場を28GHz帯の5G回線で結び、テレプレゼンスシステムを使ってVR(仮想現実)動画やプレゼン動画・音声をリアルタイムで伝送した。

 伝送は「P2P(ピアツーピア:1対1)通信」ではなく、インターネットを経由している。「一般的な利用シーン」を想定したためだと思われる。

 映像は説明会場正面のモニターだけではなく、Wi-Fi(無線LAN)を介して複数台のタブレット(iPad)やVRデバイス(Oculus Go)にも配信された。伝送速度は「1Gbps未満」(説明員)で、音声に若干の遅延があったものの、映像はおおむね問題なく伝送できていた。

位置関係図 位置関係の模式図。説明員のいる建物と説明会場は直接目視できない位置関係にある
基地局のある方向を望む 説明会場から基地局方面を望む
端末デバイス 5G端末・アンテナ(写真=左)や360度カメラ・モニター(写真=左)といった機器の構成は説明員のいる建物と説明会場で共通
iPadで伝送 Wi-Fiを介してタブレット(写真)やVRデバイスにも映像を伝送

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月18日 更新
  1. 縦折りスマートフォン6機種のスペックを比較する サイズ/カメラ/価格の違いは? (2024年04月17日)
  2. 「ポケモンGO」大幅アップデート より自分に近いスタイル変更、現実世界を反映したビジュアルなど (2024年04月16日)
  3. ソフトバンク版iPhone 15 Pro、Pixel 8 Proの一部容量が実質24円 1年で買い替える人向け「新トクするサポート(プレミアム)」の内訳とは (2024年04月17日)
  4. Back Marketの「リファービッシュ製品」が中古と違うワケ 売れ筋はiPhone 13、バッテリー“100%保証”の計画も (2024年04月17日)
  5. 「なめてんの?」前澤友作さん、Metaの“他責的声明”に激怒 著名人なりすまし広告問題で (2024年04月17日)
  6. HMDとハイネケン、透明で“退屈な”折りたたみ携帯を発表 (2024年04月17日)
  7. ソフトバンク、「新トクするサポート(プレミアム)」を4月18日に開始 対象機種は? 現行プログラムとの違いは? (2024年04月16日)
  8. バッファロー製Wi-Fiルーターに脆弱性 対象機種は今すぐファームウェア更新を (2024年04月17日)
  9. 「改正NTT法」が国会で成立 KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルが「強い懸念」表明 (2024年04月17日)
  10. ガストの「テーブル決済」をPayPayで試してみた 便利だけど思わぬワナも (2024年04月14日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年