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» 2010年09月10日 18時30分 公開

山谷剛史の「アジアン・アイティー」:中国の中古PCショップでThinkPadを買って「痛く」する (1/2)

中国ではThinkPadが人気。怪しげな中古ショップで購入しても黒々としたボディは富と賢者の象徴。おい、せっかく買ったThinkPadに何をする!やめてくれえ!

[山谷剛史,ITmedia]

腐っても鯛。中古でもThinkPad

 景気が好調の中国では、電脳街のビルが次々と改装されて明るくなる一方で、中古PCを扱うショップ街は、「暗くてジメジメした」路地裏に生息している。その独特の雰囲気に加え、中国人同士でも信用できないという“経験則”もあいまって、そういう怪しげな場所で中古PCを買おうとするのは、中国人でも「かなり変わった人」と認定される。

 先日、中国人の友人からPCの購入で相談された。彼は中国全土をさまようバックパッカーで、何が起こるか分からない旅でも安心して使える安いノートPCが欲しいという。すでに、出所がはっきりしない零細メーカーのNetbookを持っているけど、音楽を再生しながら、やたらと重い中国のWebページをブラウジングして、さらに、チャットソフト「QQ」を使おうとすると、Atomではどうにも処理が重くて使い物にならないと不平をいう。「家にあるPentium 4(とはいえ、動作クロックは2GHz程度らしい)搭載のデスクトップPCを置き換えるものがいい」というのが彼のリクエストだ。

 安いけれど性能も必要、となると、日本人としては「じゃあ中古にしようか。盗まれてもショックは小さいし」と提案することになる。しかし、中国人は色をなしてこう反論してきた。「君は中国のことをまだ分かってない。日本なら中古ショップでも信用できるかもしれないが、中国の中古ショップを信用することはとてもできないんだ。店が示すパーツを納品のときに入れ替えて売ることなんか当たり前なんだぞ! 動かしてからだまされたことに気がついたって遅いんだから。店は知らないふりするだけだし」「まあまあ、中国人が中国人をそう悪く言うものではないよ」と、なぜか日本人が中国人をなだめ、その一方で“ある種の期待”を抱きつつ、われわれは中古PCショップへ向かった。

 数年前に中国の中古ショップを数カ所回ったことがある。その当時は、日本から流れてきた「リース流れ品」ばかりが大量に並べられていたが、今回訪れてみると、そういう商品から、2000元台のAthlon 64 X2搭載PCや数百元のPentium III搭載PCという中国で流通するタワー型PCが主流に変わっていた。デスクトップPCほどではないが、ノートPCの中古品も数が多い。メーカーで見ると、中国の国内でも販売数が多いデルやヒューレット・パッカードの製品が最も多く、レノボ製やハイアール製なども並んでいる。日本語が刻印された「日本から流れてきました」ノートPCはごくごくわずかだ。

 中国で、発売から1年もしないモデルが中古市場に出まわることは、まずない。それでも、“Core 2”世代のCPUを搭載した中古ノートPCはそれなりに流通している。ということで、われわれも「最低でも“Core”のつくCPU”を搭載した、コストパフォーマンスの高いノートPC」を探すことにした。

中国の中古PCショップが集まったエリア。いまも昔も街の雰囲気は変わらない(写真=左)。ただ、その扱う製品は、かつての「日本からの流入中古PC」ではなく、中国で流通している自作のタワー型PCに変わってきた(写真=右)

中国で需要が高い中古ThinkPadの専門店

 中国の有力なPCメーカーというと、レノボファウンダー(方正)、そして、神舟が、まず思い浮かぶ。彼らのノートPCも十分に信頼できるが、今回の目的である「バックパッカー旅行で使う」ことを考えると、日本の大和事業所で過酷な拷問テストを合格してきたThinkPadシリーズが望ましい。奇遇にも、ThinkPad X60をとある中古PCショップで発見した。

 しかし、ここであわてて購入しては“危ない”。近くの喫茶店で作戦会議を開く。筆者のノートPCを使って中国最大のオンラインショッピングサイト「淘宝網」(TAOBAO)で扱っている中古PCの相場をチェックすると、どうやら1800元(約2万5000円)から買えるらしい。価格交渉の下準備もできたところで、ThinkPad X60の中古品を並べていたショップに突撃する。

 いざ到着したら、なんとそこはThinkPadを専門に扱う中古ショップであることが判明した。中国でも富裕層は「ThinkPadかVAIOか」というぐらい流通しているモデルなので、このような専門ショップが登場するほどに中古品も出回ることになる。ThinkPad店長も「体裁や見た目のステータスを大事にしたい人にとって、中古品でもThinkPadだからね」と語っている。

 中国でお買い物、となると必須なのが値引き交渉だ。店員は人がよさそうだったので楽勝楽勝、と思ったが、中国人の友人は「甘すぎる」と警戒の姿勢をくずさない。かくして、日本円にして数千円数百円を安くするため、激烈なる値引き交渉が始まった。品探しを始めたのが午後イチで、ThinkPad X60の中古品に決めたのが夕方。それから値引き交渉を開始したため、ほかの店のシャッターが次々を閉まる中、淘宝網の中古品価格を示す“理攻め”や「自分はこんなに貧しいから安くしてくれないと買えないんだ」と訴える“情攻め”などなどの交渉を延々と続けた。その結果、店長が最初に示した2800元(約3万8000円)が、最後には2500元(約3万5000円)+オフィス用クリーナーとPCバッグで決着した。

8畳ほどのスペースの中古ThinkPad専門ショップには若い男性店長と女性店員が2人いた(写真=左)。スペックは細かく列記されているが、肝心の価格は分からない(写真=右)

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