「Radeon HD 6870」「Radeon HD 6850」でGeForce GTX 460を迎撃せよ!イマドキのイタモノ(2/4 ページ)

» 2010年10月22日 11時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

Radeon HD 5800シリーズと基本共通

 アーキテクチャは基本的にRadeon HD 5800シリーズを踏襲している。ただ、AMDが示す資料に「拡張されたテッセレータ」とあるように、演算ユニット単位で細かい改善は施されている。DirectX 11対応では、競合を先制したとはいえ、市販されているDirectX 11対応ゲームタイトルでは、Radeon HD 5000シリーズよりGeForce GTX 400シリーズが高いフレームレートを出すようになってきているだけに、この拡張が性能面でどのように貢献するのか興味深い。

Radeon HD 6870 Radeon HD 6850 Radeon HD 5870 Radeon HD 5850 Radeon HD 5830 Radeon HD 5770
プロセスルール(ナノメートル) 40 40 40 40 40 40
構成トランジスタ数 17億個 17億個 21億5000万個 21億5000万個 21億5000万個 10億4000万個
ストリームプロセッサ 1120 960 1600 1440 1120  
コアクロック 900MHz 775MHz 850MHz 725MHz 800MHz 850MHz
グラフィックスメモリ GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリ接続バス幅 256ビット 256ビット 256ビット 256ビット 256ビット 128ビット
グラフィックスメモリクロック 1050MHz 1000MHz 1200MHz 1000MHz 1000MHz 1200MHz
メモリ帯域幅 134.4GB/sec 128GB/sec 153.6GB/sec 128GB/sec 128GB/sec 76.8GB/sec
ROPs 32 32 32 32 16 16
テクスチャユニット 56 48 80 72 56 40
最大消費電力 151ワット 127ワット 188ワット 151ワット 175ワット 108ワット
アイドル時消費電力 19ワット 19ワット 27ワット 27ワット 27ワット 18ワット

GPU-Zで表示されたスペック情報。左はRadeon HD 6870で右はRadeon HD 6850になる。プロセスルールは40ナノメートルのままでストリームプロセッサ数は従来世代より少ないが、動作クロックは引き上げられている。ROPsやメモリバス幅などはRadeon HD 5800と同様だ

 ストリームプロセッサ数は削減されたものの、Radeon HD 6870はコアクロックが900MHzへ、Radeon HD 6850は775MHzへと、それぞれRadeon HD 5870、Radeon HD 5850から50MHzずつ引き上げられている。また、スペック面で抑えられたおかげで、ピーク時、アイドル時ともにTDPも減っている。補助電源コネクタも、Radeon HD 6870こそ6ピン×2基だが、Radeon HD 6850は6ピン×1基に収まる。なお、Radeon HD 6870のグラフィックスメモリクロックは、1050MHz(GDDR5のデータレートで4.2Gbps相当)というこれまで採用例の少ないクロックに設定されている。

多彩な映像出力インタフェースに注目

 Radeon HD 6800シリーズを搭載したリファレンスデザインのグラフィックスカードの外観で、従来からの変化がすぐ分かるのがクーラーユニットだ。同じシロッコファンを採用するが、デザインは普通のスクエア形状に変更されている。CrossFireX用のコネクタはRadeon HD 6870もRadeon HD 6850も1基だけ用意される。

 カードの長さはRadeon HD 5800シリーズと比べて短くなっている。上位モデルのRadeon HD 6870がRadeon HD 5850相当のサイズで、Radeon HD 6850はそれよりさらに短い。PCケースへの組み込みでは、Radeon HD 5770相当の扱いやすさといえそうだ。

リファレンスデザインのグラフィックスカードでは長さがコンパクトになった。Radeon HD 5870のように裏面にヒートシンクを装着しているようなこともなくシンプル。クーラーユニットを見ていると、Radeon HD 6870はRadeon HD 5850より長く見えるが、基板で比べるとRadeon HD 5850相当であるのが分かる

 映像出力インタフェースもRadeon HD 6800で大きく変わった。Radeon HD 5000シリーズでは、DisplayPort、HDMI、2基のDVIで3画面までのEyefinity Technologyに対応したが、Radeon HD 6800シリーズは、2基のMini DisplayPort、HDMI、2基のDVIとなった。

 Mini DisplayPortは1.2に準拠し、ハブを介したマルチ画面出力やディジーチェーン出力に対応した。6-Eyefinity Edition以外でも、1枚のグラフィックスカードで6画面同時出力が可能となったわけだ。また、HDMIは1.4aに準拠し、フレームパッキング式の3D立体視表示が可能になる。ディスプレイ出力構成の自由度でRadeon HD 6800シリーズは、最新のGeForceをリードするといえるだろう。

最新規格に対応して、その構成を大きく変更した映像出力インタフェースレイアウト。補助電源コネクタはRadeon HD 6870が6ピン×2基、Radeon HD 6850は6ピン×1基となる

低コストを意識したクーラーユニット

 リファレンスデザインのグラフィックスカードに搭載されたクーラーユニットは、Radeon HD 6870で銅製ヘッドに3本のヒートパイプを組み合わせている。ヒートパイプの本数はRadeon HD 5870の4本から1本削減されたことになる。しかし、Radeon HD 6870は消費電力も削減されているので3本で十分ということだろう。低コストを目指すというコンセプトにも合っている。Radeon HD 6850は銅製ヘッドとヒートシンクのみの構成だ。ヒートシンクのサイズもそれほど大きいものではない。

Radeon HD 6870のクーラーユニットと(写真=左)とRadeon HD 6850のクーラーユニット(写真=右)

 グラフィックスメモリはともにHynix製で、チップの刻印には「H5GQ1H24AFR-T2C」とある。5Gbpsの製品で、それぞれ4.2Gbps、4Gbps相当で動作するRadeon HD 6800シリーズにとってはオーバースペックにも思える。パーツベンダーから出荷される市販の製品でも同様のメモリが採用されるかは不明だが、もし、同等のモデルが実装されていれば、オーバークロックの余地があると考えられるだろう。

Radeon HD 6870の基板と(写真=左)、Radeon HD 6850の基板(写真=右)。電源回路の位置などはRadeon HD 5800シリーズとやや異なる。CrossFireX用コネクタが1基のみである点に注意したい

Radeon HD 6870のダイと(写真=左)とRadeon HD 6850のダイ(写真=右)。刻印のわずかな違い以外に、見た目は変わりない

Radeon HD 6870に実装されていたグラフィックスメモリと(写真=左)と、Radeon HD 6850に実装されていたグラフィックスメモリ(写真=右)。ともにHynixの5Gbpsモデルとなる「H5GQ1H24AFR-T2C」を採用する

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