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“第4世代”の進化はホンモノか?――「Let'snote NX1」徹底検証これぞ日本の戦うモバイルPC(1/5 ページ)

» 2012年03月12日 16時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

堅牢性を維持したまま次のステージへ

パナソニックの「Let'snote NX1」

 2012年PC春モデルで最も変化が目立ったのは、パナソニック伝統のビジネス向けノートPC「Let'snote」ブランドではないだろうか。主力となる12.1型ワイド液晶ディスプレイ搭載のモバイルノートPCに、同社が“第4世代の進化”を遂げたとする「Let'snote SX1」と「Let'snote NX1」の2シリーズを投入してきたのだ。

 Let'snote SX1は「Let'snote S」の後継となる光学ドライブ内蔵モデル、Let'snote NX1は「Let'snote N」の後継となる光学ドライブを内蔵しないモデル。いずれもLet'snoteが培ってきた堅牢性を維持しつつ、従来より薄くフラットなボディに仕上げているのが見逃せない。

 すでにレビュー記事を掲載したLet'snote SX1に続いて、今回はLet'snote NX1の店頭向けモデル「CF-NX1GEADR」を入手したので、性能や使い勝手を検証していこう。

フラットに近くなり扱いやすくなった堅牢ボディ

分厚いボディが堅牢性の証しといったLet'snoteだが、前モデルに比べて最大約30%の薄型化に成功している

 ひと目でLet'snoteと分かる特徴的なボディデザインは健在だが、フォルムは先代機にあたるLet'snote N(CF-N10EYADR)から大きく変化している。背面側に厚みのあるくさび形からフラットに近いフォルムになったことが大きな違いで、最厚部では10ミリ近くも薄くなった。

 本体サイズは295(幅)×216.2(奥行き)×25.4〜31.5(高さ)ミリ、重量は約1.33キロだ。後述する軽量バッテリーを装着すると、奥行きは197.5ミリ、重量は約1.12キロとなる。従来モデルは本体サイズが282.8(幅)×209.6(奥行き)×23.4〜38.7(高さ)ミリ(最厚部は41.4ミリ)、重量が約1.28キロ(軽量バッテリー装着時は約1.115キロ)だったが、これに比べて一目で分かるほど薄くなった。

 それでも薄型化がトレンドになっている最近のモバイルノートPCとしてはかなり厚みがあるが、従来よりフラットに近い薄型ボディになったことで、バッグの中での占有スペースが減り、持ち運びやすくなっている。無論、スリム化によって見栄えもよくなった。

 ちなみに、同時に発売されたLet'snote SX1とは、光学ドライブがないだけの違いだ。部材をできるだけ共通化しているため、光学ドライブのカバーにあたる部分のラインもそのまま残されており、ちょっと見ただけでは区別がつかないかもしれない。

耐加圧性能と軽量を維持しながら、天板全体を薄型化している

 薄型になっても従来からの特徴である堅牢性はそのまま引き継いでいる。むしろ、この堅牢性を譲れないからこそ、薄型化を追求したとはいえ、この厚さが必要なのだ。Let'snoteといえば、天板に凹凸をつけることで強度を確保する「ボンネット構造」がボディデザインの顔だが、Let'snote NX1ではリブの角度をアーチ型に成形する技術により、凹凸の高低差を小さくしながら耐加圧性能と軽さを維持することに成功している。

 また、ベースボディが共通のLet'snote SX1において、内蔵の光学ドライブを収容する複雑な部分を別のパーツに分離したことで、これまで困難だったボディの金属化を果たしているのも注目だ。Let'snote SX1とLet'snote NX1では、ベースボディの素材をプラスチックからマグネシウム合金に変更しており、剛性を高めつつ、キーボード入力時のたわみも軽減している。

 さらに、基板や液晶パネルなど内部の主要部品を外装から離して配置し、部分的に固定したり、緩衝材で挟んで支えることで外部の衝撃が伝わりにくくする「フローティング構造」、トップカバー端の凸形状とベースボディ端の凹形状がカバーを閉じたときにかみあうことで落下時などの破損リスクを軽減する「抱え込み構造」といった工夫も健在で、76センチの落下試験、満員電車の中を想定した100キロfの加圧振動試験、液晶ヒンジ耐久試験などをクリアしているという。

 そのほか、衝撃緩衝材(ダンパー)で保護したHDDや高耐久性のUSBポート、摩耗に強く体感温度の低減効果もあるパームレストシート、キートップの文字が消えにくいレーザー印刷キーボードなど、数々の堅牢設計を従来モデルから引き継いでいる。

 実際に持ってみると、ボディサイズから予想される重さよりあまりに軽くて驚くほどだが、その堅牢性は確かに実感できる。むしろ薄型の金属ボディになったぶん、よりソリッドな感触が得られ、ヒンジがグラついたりすることもなく、頑丈さに不安は感じない。

フローティング構造や抱え込み構造といった堅牢性を保つ工夫はそのままに、ボディを薄型化しており、従来モデルから見た目にもスマートになった

バッテリーとACアダプタを2種類ずつ付属

 携帯性、バッテリー駆動時間に関する部分も素晴らしい。バッテリーとACアダプタはそれぞれ2種類ずつ付属しており、用途に合わせて使い分けられる。

 容量47ワットアワーの軽量バッテリーを装着した場合、重量は約1.12キロと、12型クラスのモバイルノートPCで最軽量レベルとなり、公称バッテリー駆動時間は約8時間とされている。また、標準バッテリーの容量は93ワットアワーで、公称バッテリー駆動時間は約16時間だ。前述の通り、軽量バッテリー装着時はボディの奥行きが197.5ミリだが、標準バッテリー装着時は216.2ミリと、20ミリ近く後ろに張り出す。

サイズと容量が違う2つのバッテリーが付属する(写真=左)。軽量バッテリー装着時(上)は奥行きが197.5ミリ、標準バッテリー装着時(下)は奥行きが216.2ミリとなる(写真=右)

ACアダプタとACケーブルは2つずつ付属し、ミニACアダプタ用のウォールマウントプラグまで添付される豪華仕様だ(写真=右)

 標準タイプのACアダプタは、実測での本体サイズが41(幅)×100(奥行き)×28(高さ)ミリ、ACケーブル込みの重量が253グラムだ。

 これでも十分小型だが、ミニタイプのACアダプタは実測での本体サイズが38(幅)×72(奥行き)×27(高さ)ミリ、ACケーブル込みの重量が161グラムとさらに小型軽量になる。ミニACアダプタ向けにウォールマウントプラグも用意されており、ACケーブルの代わりにこれを利用すれば、さらに30グラムほど軽くすることが可能だ。

 だったらミニタイプのACアダプタだけ付属すればいいのではないか、と思うかもしれないが、ミニタイプは使用しながらの充電に対応しておらず、電源オフ、スリープ時、休止状態しか充電できない、充電時間が長いという制限がある。充電しながらPCを使うには、標準タイプのACアダプタが必要なのだ。

バッテリー駆動時間と充電時間
タイプ 駆動時間 充電時間 装着時の重量 装着時の奥行き
標準バッテリー 約16時間 約4時間(電源オフ時/標準ACアダプタ)、約5時間(電源オン時/標準ACアダプタ)、約8時間(電源オフ時/ミニACアダプタ) 約1.33キロ 216.2ミリ
軽量バッテリー 約8時間 約2.5時間(電源オフ時/標準ACアダプタ)、約3時間(電源オン時/標準ACアダプタ)、約4.5時間(電源オフ時/ミニACアダプタ) 約1.12キロ 197.5ミリ

 例えば、一泊程度の出張において移動中や訪問先でPCを使うならば、バッテリー駆動が前提なので、軽いミニタイプのACアダプタを持っていき、本体には駆動時間に余裕がある標準バッテリーを装着しておく。逆にPCの使用中もACアダプタを接続できる環境ならば、長時間のバッテリー駆動時間は不要になる。そういう場合は標準タイプのACアダプタを使いつつ、軽量バッテリーを装着し、本体を軽くできるのはありがたい。短時間の外出ならば、軽量バッテリーだけでも十分だろう。一方で長時間のバッテリー連続駆動が必要な場面では、2つのバッテリーを携帯するという手もある。

 このように、状況に応じて少しでも荷物を軽くしたり、過酷なバッテリー駆動ニーズに応えたりと、モバイルシーンでの電源確保については配慮が徹底されている。

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