「何よりも大事なことは情熱」――ジョブズ氏の師が語る“スティーブの素顔”「ジョブズ・ウェイ」著者に聞く(6/6 ページ)

» 2012年04月18日 12時15分 公開
[林信行,ITmedia]
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若者よ、経験を積み、リスクをとれ!

―― 先ほど経営者へのアドバイスを頂きましたが、若い人に向けて何かアドバイスはありますか?

Apple創業時のスティーブ・ジョブズ氏(右)とスティーブ・ウォズニアック氏(左)

エリオット スティーブは非常に特殊な存在だ。彼はあまり大学にもいなかったし。若い人には、とにかく人生経験を積んでもらいたいと思う。スティーブは、アップルの外では非常に孤独な人だった。若いころの彼にはあまり生活というものがなかった。考えてみると、彼は24歳にして億万長者で、会社を経営していたんだ。

 人々は、まず人生とは何かを知る必要があり、そのために経験を積む必要がある。これはもしかしたら大学で学べるかもしれない、あるいはいろいろな人と出会うことで得られるかもしれない。誰かに何かを教えてもらったり、良いことにしろ悪いことにしろ、ほかの人たちがどんなことをしてきたのかを聞いたりして。

 いずれにせよ、最終的に「情熱」を持つためには、自分が誰であって、本当にやりたいのは何かを知る必要があるんだ。お金や運に頼るのでなく、世界を変えたくなるような、情熱を傾けられる何かを、自分自身の中に見つけること。そうする中で、リスクを取らなければならなくなることもあるだろう。例えば、クレジットカードの上限を超えるお金を使って、友だちに頼らざるをえなくなるかもしれない。だが、自分の道を追求するうえでリスクは避けられない。これが私の若者へのアドバイスだ。

対話形式の著書「ジョブズ・ウェイ」

―― 最後になりますが、著書「ジョブズ・ウェイ」の簡単な紹介と、読者へのメッセージを頂けますか?

エリオット この本では、世界を変えるリーダーはどうあるべきか、という私の洞察を書いたので、読者にはそれを読み取ってもらえればと思う。私自身の逸話もたくさん盛り込んだ。

 この本を書くときは、誰かに語りかけるようにして書いた。一般的な文語体での語りかけではなく、もしかしたら読者が、この中から隠れた秘宝を見つけ出し、自らの人生に照らし合わせながら、生涯を通して何をやりたいか見つめ直したりしてもらえればうれしい。

 読者の方々の中には、もしかしたらすでに“スティーブ・ジョブズらしさ”が宿っているかもしれないし、宿っていないかもしれない。それは私には分からない。ただ、誰もが自分が進むべき道をもう1度見つめ直して、どうやってそこにたどりつくかを考えなければならないと思う。この本では、その際に役立つチップスをいくつか提供している。

 この本でもう1つユニークなのは、巻末にスティーブへの手紙を掲載したことだね。出版社は「最後にまとめが欲しい」といってきたんだが、私はこれを断って、代わりにスティーブへの手紙を書き、その中で私がどう考えていたかや、スティーブがこれから先、何を見ていかなければならないかを語った。

 おそらく、これらの言葉には読者に対しても同様に大事で、未来へのステップになるものを託せたんじゃないかと思う。

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