ライバルよりチャンス! ――Windows 8エコシステムのメリットを強調するMicrosoftCOMPUTEX TAIPEI 2012(1/2 ページ)

» 2012年06月08日 22時28分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

Microsoftのエコシステムはパートナーの協力で成り立つ

 Microsoft FORUM 2012には、米MicrosoftでOEM担当コーポレートバイスプレジデントのスティーブン・グッゲンハイマー氏が登場。彼は、IT業界を取り巻くエコシステムの現状において、M同社OSを中心に、ハードウェアや周辺機器、アプリケーション群をパートナーらが固めることで成り立っている一方で、Appleといったライバルは、PC(Mac)からスマートフォン、タブレットまでバリエーションをそろえるが、ハードウェアを含む製品は自社のもので、ユーザーに選択肢もない。OEMは、あくまで完成品を作るまでのサプライチェーンに組み込まれるだけとなる。

 また、Androidでは、スマートフォンを中心に、タブレットデバイスまで領域を拡大しつつあるものの、まだ、バリエーションの点でMicrosoftのエコシステムには及ばない。以上の理由から、パートナー企業らにとって、Microsoftのエコシステムが最もビジネスチャンスのあるフィールドだというのがMicrosoftの主張だ。

Windows 8 Release Previewをインストールするデバイス群を紹介する米Microsoft OEM担当コーポレートバイスプレジデントのスティーブン・グッケンハイマー氏(写真=左)。デバイスとソフトウェアを限定するAppleなどのライバルに対し、Microsoftのエコシステムは、多くのパートナーによる協業で成り立っており、そこがビジネスチャンスになっているという(写真=中央)。地味な存在だが、最近では街のあちこちで見かけることができるWindows Embedded搭載デバイスを紹介。デモを行っているのはLGのデジタルサイネージで、透過型ディスプレイに情報を投影する(写真=右)

 Microsoftは、次期主力OSの「Windows 8」発売に向けて多くのリソースを割いているが、それと同時に「Windows Server 2012」やサーバアプリケーション製品、次期Office(“Office 15”)など、Windows 8をベースにした関連製品でリリースの準備を進めている。

 また、地味ではあるが、組み込み用途向けの「Windows Embedded」についても「Windows 8」対応を進めている。従来、組み込み向けWindowsは、デバイスに応じて最適なソフトウェアを構築できるように、既存のWindows OSで持ってる機能をコンポーネント単位で分解可能な「Embedded」と、Windows CEをベースにした「Compact」の系統があったが、現在では「Embedded」のブランドで統合している。用途については主にPOSやサイネージ(KIOSK)、車載のおける利用が中心だったが、現在では、その範囲を拡大して生活の身近なところにWindows Embeddedが存在している。

 先ほど述べた2系統のEmbeddedで、Embeddedについては現在「Embedded Standard」と呼ばれるが、Windows 8をベースとしたEmbedded StandardのCTP版(開発者向けβ版の一種)が提供されはじめたことを、グッケンハイマー氏が紹介した。これはWindows 8そのものであり、Metroスタイルアプリやタッチ関連など、組み込み開発でWindows 8の新機能を利用できるようになる。

 このほかにも、Windows Phone、ならびに、Xbox 360を交えたデバイス連携を紹介している。まず、Windows Phoneについては「次期OS(“Apollo”)についてはこの場で詳細は説明しない」と前置きしつつ、エコシステムにおいて重要なピースであることを強調している。会場では中国語の看板にWindows Phone端末をかざし、自動翻訳により英語で看板が読めるデモを行った。これは、常に持ち運び可能な携帯電話で便利な機能だ。

 またPC側のコンテンツをXbox 360に接続した大画面テレビにストリーミング転送したり、Windows PhoneデバイスをXbox 360のコントローラ代わりにしたりと、エコシステム内でのデバイス連携が可能なことも紹介している。

Windows 8やWindows Server 2012(Windows 8ベースのサーバOS)と同様に、Windows Embedded StandardにもCTP版が登場する。Metroスタイルアプリやタッチ関連の新機能を組み込み開発に持ち込める(写真=左)。Windows Phoneの紹介。デモでは、中国語のメニューをカメラで投影すると、英語に自動変換してくれるアプリを紹介しており、「これで台湾・中国旅行も安心」とのこと。なお、次期Windows Phoneの「Apollo」(Windows Phone 8)の詳細についてはまだ公表できない(写真=中央)。Windows PC、Windows Phone、Xbox 360の連携では、Windows PC上のコンテンツをXbox 360を介して大画面テレビで表示したり、Windows Phoneをコントローラ代わりにしてXbox 360の操作を行ったりできる

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