どこが変わって、どこがよくなった?──ThinkPad X230と行動をともにする性能が向上しただけでいいのかい?(3/3 ページ)

» 2012年07月11日 19時00分 公開
[長浜和也(撮影:矢野渉),ITmedia]
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Lenovo Turbo Boost+をどう使う?

 CPUはCore i5-3320M、システムメモリの容量は4Gバイトでシングルチャネル構成と、店頭モデルではあり得ない構成の評価機なので、あくまでも参考データとしてベンチマークテストで測定したスコアを掲げておく。

 なお、ThinkPadシリーズの「省電力マネージャー」には、以前から「Lenovo Turbo Boost+」という機能を用意している。これは、ファンの回転数を通常よりも高めることで冷却効率を上げて、TDPのマージンを確保することで、Turbo Boost Technologyの効率も高めて性能を向上することを目指した機能だ。

 その効果が性能にどの程度反映するのかも検証するため、電源プランの“高パフォーマンス”と“マックス・パフォーマンス”のそれぞれで、Lenovo Turbo Boost+を無効、有効にした状態でもベンチマークテストを測定した。

 測定した結果を見る限り、PCMark 07のPCMarksと一部の項目、また、3DMark VantageのProfessional条件で、Lenovo Turbo Boost+を有効にするとスコアが数パーセント向上する傾向が確認できたが、大きな違いとはいえず、CINEBENCH系や3DMark06では、逆に下回る場合もあった。性能向上は確実ではない一方で、ファンから発する音は、耳で聞いても確実に大きくなっている。Core i5-3320Mと搭載するThinkPad X230に限っていうと、Lenovo Turbo Boost+を有効にする意義を見出すのは難しい。

ThinkPad X230はメモリスロットを2基備えている。評価用機材は、4Gバイトのメモリを1基搭載していた。HDDも右側面から取り出せる。レノボ・ジャパンは、現時点でSSD搭載構成は店頭モデルで用意していない(写真=左)。底面からネジを外すとキーボードパネルも外せるが、メモリスロットは底面にあるので、特に増設などでアクセスする必要はない(写真=中央)。左側面奥には“第6世代”のフクロウ羽ブレードを採用したファンを搭載する(写真=右)

評価用機材のWindowsエクスペリエンスインデックス(写真=左)。Lenovo Turbo Boost+は、省電力マネージャーのベーシック表示で電源使用タブの左下に表示する(写真=右)

ベンチマークテスト項目 High Performance +Lenovo Turbo Boost+ Max Performance +Lenovo Turbo Boost+
PCMark7 PCMarks 2454 3077 2967 3000
lightweight 1923 2050 2051 2044
productivity 1479 1630 1617 1609
creativity 6115 6008 6013 6475
entertainment 2319 3111 3004 3025
computation 20738 20328 21952 24084
system_storage 1650 1617 1611 1614
CINEBENCH R11.5 OpenGL 13.9 13.93 13.67 13.98
CPU Multi 3.07 3.08 3.08 3.09
CPU Single 1.33 1.33 1.34 1.34
CINEBENCH R10 CPU Single 5683 5642 5571 5562
CPU Multi 11480 11766 11748 11819
3DMarkVantage Entry E12626 E127556 E12725 E12747
Professional P3177 P3254 P3181 P3213
3DMark06 3DMarks 4866 4902 4930 4896
CPU 3781 3793 3791 3748


 本体のサイズと重さは、従来のThinkPad X220とほぼ同じで、本体に用意するインタフェースは、標準でUSB 3.0を2基搭載するなど、改善された面もある。そして、第3世代Coreプロセッサー・ファミリー世代のCPUを採用したことで、特にグラフィックス関連の性能とバッテリー駆動時間が向上した。ThinkPad X230は、携帯利用を重視するノートPCとして、より使いやすくなったといえる。その姿を大きく変えたキーボードも、本体サイズがより大きいThinkPad T430sとサイズは同等で、従来の7列キーボードとまったく同じとはいえないものの、ストロークの物足りなさも、押した指の力を支えきれない不安もなかった。

 本体のサイズと重さは従来のままで、PCとしての処理能力とバッテリー駆動時間を向上させたThinkPad X230を否定する理由はない。気になるキーボードについても、アイソレーションタイプのキーボードを採用するほかの小型軽量ノートPCと比べて安心して使える、とここでは評価しているが、「いやいや、いまひとつ信用ならぬ」と思うユーザーは、店頭の量販モデルで試し打ちをしてほしい。そこで不満がなければ、ThinkPad X230を買わない理由は、もう残っていないはずだ。

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