CPUはCore i5-3320M、システムメモリの容量は4Gバイトでシングルチャネル構成と、店頭モデルではあり得ない構成の評価機なので、あくまでも参考データとしてベンチマークテストで測定したスコアを掲げておく。
なお、ThinkPadシリーズの「省電力マネージャー」には、以前から「Lenovo Turbo Boost+」という機能を用意している。これは、ファンの回転数を通常よりも高めることで冷却効率を上げて、TDPのマージンを確保することで、Turbo Boost Technologyの効率も高めて性能を向上することを目指した機能だ。
その効果が性能にどの程度反映するのかも検証するため、電源プランの“高パフォーマンス”と“マックス・パフォーマンス”のそれぞれで、Lenovo Turbo Boost+を無効、有効にした状態でもベンチマークテストを測定した。
測定した結果を見る限り、PCMark 07のPCMarksと一部の項目、また、3DMark VantageのProfessional条件で、Lenovo Turbo Boost+を有効にするとスコアが数パーセント向上する傾向が確認できたが、大きな違いとはいえず、CINEBENCH系や3DMark06では、逆に下回る場合もあった。性能向上は確実ではない一方で、ファンから発する音は、耳で聞いても確実に大きくなっている。Core i5-3320Mと搭載するThinkPad X230に限っていうと、Lenovo Turbo Boost+を有効にする意義を見出すのは難しい。
ベンチマークテスト項目 | High Performance | +Lenovo Turbo Boost+ | Max Performance | +Lenovo Turbo Boost+ | ||
---|---|---|---|---|---|---|
PCMark7 | PCMarks | 2454 | 3077 | 2967 | 3000 | |
lightweight | 1923 | 2050 | 2051 | 2044 | ||
productivity | 1479 | 1630 | 1617 | 1609 | ||
creativity | 6115 | 6008 | 6013 | 6475 | ||
entertainment | 2319 | 3111 | 3004 | 3025 | ||
computation | 20738 | 20328 | 21952 | 24084 | ||
system_storage | 1650 | 1617 | 1611 | 1614 | ||
CINEBENCH R11.5 | OpenGL | 13.9 | 13.93 | 13.67 | 13.98 | |
CPU | Multi | 3.07 | 3.08 | 3.08 | 3.09 | |
CPU | Single | 1.33 | 1.33 | 1.34 | 1.34 | |
CINEBENCH R10 | CPU | Single | 5683 | 5642 | 5571 | 5562 |
CPU | Multi | 11480 | 11766 | 11748 | 11819 | |
3DMarkVantage | Entry | E12626 | E127556 | E12725 | E12747 | |
Professional | P3177 | P3254 | P3181 | P3213 | ||
3DMark06 | 3DMarks | 4866 | 4902 | 4930 | 4896 | |
CPU | 3781 | 3793 | 3791 | 3748 | ||
本体のサイズと重さは、従来のThinkPad X220とほぼ同じで、本体に用意するインタフェースは、標準でUSB 3.0を2基搭載するなど、改善された面もある。そして、第3世代Coreプロセッサー・ファミリー世代のCPUを採用したことで、特にグラフィックス関連の性能とバッテリー駆動時間が向上した。ThinkPad X230は、携帯利用を重視するノートPCとして、より使いやすくなったといえる。その姿を大きく変えたキーボードも、本体サイズがより大きいThinkPad T430sとサイズは同等で、従来の7列キーボードとまったく同じとはいえないものの、ストロークの物足りなさも、押した指の力を支えきれない不安もなかった。
本体のサイズと重さは従来のままで、PCとしての処理能力とバッテリー駆動時間を向上させたThinkPad X230を否定する理由はない。気になるキーボードについても、アイソレーションタイプのキーボードを採用するほかの小型軽量ノートPCと比べて安心して使える、とここでは評価しているが、「いやいや、いまひとつ信用ならぬ」と思うユーザーは、店頭の量販モデルで試し打ちをしてほしい。そこで不満がなければ、ThinkPad X230を買わない理由は、もう残っていないはずだ。
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