最近では、ブルーライトをカットするメガネなど、ディスプレイを長時間見続けると感じる、“目の疲れ”を抑制するアクセサリが多数登場しているが、ディスプレイ側で解決しようとする動きもある。
半導体エネルギー研究所は、FPD International 2012(2012年10月31日〜11月2日)で目の疲れを抑えることを目的とした“目にやさしい”ディスプレイを展示している。
通常のディスプレイでは、1秒間に約60回以上、画面を書き替えることで、動きのある映像などでも滑らかな表示を実現するが、静止表示のときや、静止画を見ているようなとき(写真のスライドショーなど)ならば、画面の書き替え回数が少なくても問題ない。
このディスプレイはCAAC-IGZO液晶(新技術を採用したIGZO液晶。詳しくはこちら)が持つ、画面の書き替えを減らしても、ちらつきが発生しない、という特性を利用し、書き替え回数を1秒あたり約5回にまで減らした。消費電力も「一般的な同サイズのディスプレイに比べて、約300分の1まで抑えられる」(説明員)という。
ディスプレイが発する光についても、目に有害とされている青色光成分をカットする(420ナノメートル以下の波長をカット)ほか、作業時間により画面輝度を自動で調整し、目の疲労を緩和させる機能も備える。実際にディスプレイを見てみたが、紙に印刷された絵を見ているときに近い感覚で、近くに寄って見続けてもあまり疲れを感じなかった。
本製品は、動画の視聴などには向かないものの、デジタルフォトフレームや、居酒屋/レストランのメニュー表示用の端末など、用途は広い。現在は「この技術に興味を示し、実用化に協力してくれる企業を募集しているところ」(説明員)だ。作業によって、画面の書き換え回数を変えることも可能になるという。近い将来、“PCワーカー向けのディスプレイ”をうたう製品が出てくるかもしれない。
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